アスファルト混合物(アスファルトこんごうぶつ)は、主に道路のアスファルト舗装の表面に使われている複合材料である。アスファルトコンクリート、アスファルト合材(アスファルトごうざい)ともよばれる。粒砕石や砂などの骨材とフィラーに石油アスファルトを混合したもので構成される。舗装の施工では、上層部を構成する基層および表層に用いられるほか、上層路盤にも用いられることもあり[1]、平坦に敷かれてローラーなどで締め固められる。 道路舗装工事で、作業員がアスファルト混合物を敷き均す作業の様子。目次 アスファルト舗装の表層材で使用されることから、一般的に「アスファルトの道路」というように、単に「アスファルト」とよばれることが多いが、本来アスファルトは骨材を結合するために用いられる接着剤(バインダー)を指しており、道路などで普段目にするものは、「アスファルト混合物」が専門的・学術的に使用されている呼び名である[2][3]。別名を、アスファルトコンクリート(英語: asphalt concrete,asphaltic concrete )またはアスファルト合材ともいい、業界などではアスコン[4]、合材などと略称されている。 アスファルト混合物は、温度が高い状態で骨材とアスファルトを混ぜ合わせ接合させた、アスファルト舗装で用いられる材料である[2]。重量比で90%程度が粗骨材と細骨材、5%程度がフィラー(石粉)、残りの成分がアスファルトで構成されており[注釈 1]、純粋なアスファルト分を除いた骨材+フィラー(石粉)の割合が全体の約95%を占めている。また各組成物のうち、砕石(粗骨材)以外の部分は、アスファルトモルタルとよび、細骨材(砂)・フィラー(石粉)・アスファルトの黒い混合物である(右図参照)[6]。組成物の大部分を占めている骨材の品質によって、アスファルト混合物の品質や耐久性が大きく影響されるため、使用する骨材には制約が規定されており、品質試験により規定どおり満足しているか確認される[7]。 骨材は、粒径の大きな粗骨材と、小さな細骨材に分けられる。 粗骨材は、アスファルト混合物の骨格を形成する組成物で、車などの交通荷重を支える役割がある[8]。一般に砕石を用いるが、このほか玉砂利
1 名称
2 組成物
3 種類
3.1 常温アスファルト混合物
3.2 加熱アスファルト混合物
3.3 用途別
4 配合設計
5 製造
6 施工
7 劣化修繕とリサイクル利用
8 脚注
8.1 注釈
8.2 出典
9 参考文献
10 関連項目
11 外部リンク
名称
組成物 アスファルト舗装の断面
右写真:灰色に見える部分が砕石(粗骨材)で、黒い部分はアスファルトモルタルとよばれる、砂(細骨材)・フィラー(石粉)・アスファルトの混合物。
左図:舗装の表層(上)と基層(下)では、使用するアスファルト混合物の粒度が異なる。
粗骨材に要求されている性質は、
適度な粒度を持ち、硬く均質で、割れやすり減りに対する抵抗性が高い。
細長くなく、かつ薄くない角張った形状で、表面に適度な粗さがある不規則な形状。
密度が大きく、吸水率が小さく有機物や不純物を含まないものであって、加熱によって変質や破壊することなく、アスファルトとの付着性が高いもの。
細骨材は、粗骨材の隙間を充填する組成物で主に砂が用いられ、舗装の安定性や水が入り込まない状態を高める役割がある[8]。日本では2.36 - 0.075ミリメートル以上の骨材が用いられている[2]。粗骨材と同様に細骨材に要求されている性質は、硬く均質で耐久性が高く、有機物や不純物を含まないものとされている[9]。天然砂、人工砂[注釈 2]、スクリーニングス[注釈 3]が使われるが、海砂のように塩分を含んでいても、コンクリートと違ってアスファルト混合物の品質には影響を及ぼすことはない[9]。
アスファルト再生骨材は、再生アスファルト混合物を製造する際に使用される骨材で、撤去した古いアスファルト版を破砕して分級した、粒径13ミリメートル以下の再生骨材が利用される[6]。
フィラーは、骨材の隙間を埋める充填剤のことで、0.075ミリメートル以下の鉱物質微粉末で[2]、石灰岩を粉末にした石粉が最も一般的に使われる[12]。適度な量を配合することでアスファルトの見かけ上の粘度を増加し、骨材同士の隙間を充填して接着性を高めたり、アスファルト混合物の耐久性を高くすることが可能となる[7][12]。ただし、配合量が多すぎるとアスファルトがフィラーに吸収され過ぎてもろくなり、ダマができてしまい適切な混合物が出来なくなったりする場合がある[7]。反対に、少なすぎるとアスファルト混合物の空隙が大きくなり、気温が高い時期に塑性変形によるわだち掘れが生じやすくなる[13]。このため、アスファルト混合物の各素材の配合量を適切にすることが重要となる[7]。