この項目では、非営利組織について説明しています。古代インドの王については「アショーカ王」をご覧ください。
アショカ(正式名称:Ashoka: Innovators for the Public)は、世界中で社会起業家のネットワークを構築し支援する国際的な組織である。創設者はビル・ドレイトン。本部はワシントンDC。現在93カ国、3,800名以上の社会起業家をアショカ・フェローとして支援している。 [1] [2]
ビジョンとして「Everyone a Changemaker (誰もがチェンジメーカーである世界)」すなわち「個人が自由に自信を持って、サポートを得ながら社会問題へ取り組み、変化を起こすことのできる世界」を目指している。幼少期からのエンパシー教育、若者のチェンジメーキング能力、そしてあらゆる組織での流動的なチームワークと新しい形のリーダーシップが必要であると説き、世界中の誰もがこの能力を身に着けられるような社会を目指して活動をしている。[3] 公式なミッションとして「社会起業家が活躍し、世界中の誰もがチェンジメーカーとして考え行動できる、起業家精神と競争力を備えたグローバルな市民セクターを形成する」ことを掲げている。
ちなみに「アショカ財団」と記載されることがあるが、財団ではない。
沿革
1981年、マハトマ・ガンジーや市民権運動に影響を受けて育ったビル・ドレイトンにより始動。インドで新しい学習法EVS (Environmental Studies)を考案し、その取り組みを広めようとしていたグロリア・デスーザをアショカ・フェロー第一号として認定。彼女がこの活動に専念できるよう、3年間の生活費を支給。
創設後約10年間は、ラテン・アメリカ、アフリカ、アジア、中欧地域を対象として社会起業家を支援。
2000 年 中東、北アフリカ地域に拠点設置。また、先進国で初めて、米国でフェロー発掘活動開始。
2002 年 カナダで発掘活動開始。
2005 年 西ヨーロッパ初となるアショカ・ドイツ発足。
2011 年 東アジア圏で最初の拠点となるアショカ・ジャパン発足。
2013 年 アショカ・コリア及びアショカ・ギリシャ発足。
2014 年 アショカ・イタリア発足。
2016 年 アショカ・ポルトガル発足。
2021年9月現在、39カ国に拠点を置き、スタッフは約500名。フェローは93カ国約3,800人。[4] アショカは、社会問題への解決策を見出し、社会に大きな変革をもたらすことを目指す一流の社会起業家を発掘している。アショカが探しているのは、ビジョンと創造性、強い意志を持ち、個人の利益よりも公共の利益のために行動する人物である。 アショカ・フェローとは、1970年代に、アショカ創設者のビル・ドレイトンが創った厳格な基準をクリアした一流の社会起業家「システミック・チェンジメーカー」のことである。ドレイトンは、社会にある多くの問題を解決するのは、応急処置ではなく、それらの歪みを生み出している仕組みそのものの変革である、と考え、彼はこれを「システムズ・チェンジ」と呼んだ。 システムズ・チェンジのアイデアを生み、実行し、継続させる能力を備えたシステム・チェンジメーカー(ソーシャル・アントレプレナー) が、アショカ・フェローとして認定される。彼らの活動が拡大、加速するシステムを構築するのがアショカの取り組みである。2020年10月現在、93カ国で3,800人を超えるアショカ・フェローが活動し社会変革を推し進めている。 アショカ・フェローのうち、74%が5年以内に国家レベルでの政策変更(=法律改正・成立)を実現させており、90%が他の組織、国家、政策に模倣されている。ちなみに「模倣されること」は、ビジネス界とは違い、以下の基準4にもあるように、変革が拡大していることを意味する。また、金銭的なサポートが必要なフェローに対しては、活動に専念できるように生活費 (stipend)を3年間支給するが、彼らのうち85% が5年以内に自身の生活も取り組みも成り立つようになったというデータが出ている。[5] アショカ・フェロー選出の面接は、幼少期から遡り、人生でどのような選択を行なってきたか、どのようにしてアイデアが生まれてきたのか、今までにどのようなインパクトを生み出してきたのかなどを徹底的に聞くため、十数時間に及ぶこともある。 ホームページに記載されている5つの基準は以下の通り。[6]このうち、最初の"New Idea"はKnock-out testと呼ばれ、この基準に当てはまらない候補者は選考の対象外となる。
アショカ・フェロー
アショカ・フェロー選出の基準
New Idea すでに存在する解決策に微調整を入れたアプローチではなく、全く新しい視点から 生まれた発想であるか。或る歪みが社会に存在し様々な解決/軽減の方法が試されているなか、慢性的な状況は一向に変わらない。その遅々として進まない状態に揺さぶりをかける、全く違う視点から生まれた、これまでなかったアプローチであるか、そして国境を超えて変革を起こすポテンシャルを孕んでいるか、が最初のチェックポイントとなります。
Creativity 世の中の綻びに一石を投じるには、問題を生み出している構造上の欠陥を突き止め、 的を射たゴール設定をするための創造性や想像力といった能力が求められます。一 つのプロジェクトを成功に導く限られた能力ではなく、その人が世界を見る”レンズ” 自体が創造的であるかを問います。ある時代のある社会に浸透している在り方や考 え方を超えた視点を持つ人が、新しい意識に裏打ちされた新しい現実を生み出しま す。
Entrepreneurial Quality 「真のソーシャルアントレプレナー」は、自分の頭に描く世界が目の前に現れるま で歩を緩めることなく刷新し続けます。つまり、滞っている現実の足枷は何かを突 き止め、それまでの「当たり前」を一転させるための戦術を巧みに実施し続ける人 でもあります。理想を語るだけではなく、理想を新しい現実として創り出します。 同時に、自分が注目されることに興味はなく同じ目標に向かって進む仲間と柔軟な チームをつくり、目に見える結果に究極の充足感を味わう人です。
Social Impact of Idea アショカ・フェロー選出は、国レベル、大陸レベル、ひいては世界レベルのインパ クトに繋がる潜在性のあるアイデアのみを選考の対象としています。ノミネートの 時点で、すでにある程度のインパクトのエビデンスがあることも問われます。また、 巨大なインパクトを生むことが目標なので、その目標に近づくために自分の取り組 みが他の人々や組織に模倣されることを歓迎する人でもあります。
Ethical Fiber アイデアの斬新性やスケールと同様に重要視されるのは、候補者の人となりです。 他者の立場や思いを考慮する心の余裕があるか。自分や自分の取り組みが注目され ることよりも、同じ方向を目指す他の多くの人たちとリソースを共有し協力し合い ながらゴールに向かって邁進する人であるか。一定のグループ(人種、国籍、性別、 年齢など)に属する人々だけでなく、すべての人々に対する配慮とエンパシーがあ るかも、基準となります。
主なアショカ・フェロー
ムハマド・ユヌス ? グラミン銀行(バングラデシュ)創設者
ジミー・ウェルズ - Wikipedia創設者
ウェンディ・コップ (Wendy Kopp・アメリカ) - Teach for America 創設者。
メリー・ゴードン
アンドレアス・ハイネッケ