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無足目(アシナシイモリ目)
分類
アシナシイモリは、両生類 無足目(Gymnophiona【「裸の蛇」の意】または Apoda【「足無し」の意】)に属する、ミミズや蛇に似た外見の生物の総称である。英語圏では、この目のうち、カール・フォン・リンネによって最初に記載された属であるCaecilian(「盲目のもの」の意)の名で一般的に呼ばれる。地中生に高度に適応しており(一部の種は水生である)、極めて特殊化が進んでいるにもかかわらず、現生両生類中最も原始的な形質を残している。 以下の特徴を持つ。
特徴
形態
四肢と肢帯を持たず、体は細長い円筒状で、多くの体節的な環状の皮膚の襞(環帯)を持つためミミズに似ている。環帯を区切る溝が椎骨の末端と一致しているときは一次環帯、一次環帯同士の間にあるものを二次環帯という。
長い尾は持たず、総排出腔は体の末端近くにある。
皮膚は粘液腺に富む。
多くは皮骨鱗を持つ。祖先と考えられる細竜類を経由して遠く魚類から受け継いだものか、二次的に獲得した形質かは説が分かれる。
目は皮膚に覆われている。明暗を感じる程度しか役に立たない。
感覚器官として触手を持つ。引き込むことができ、ヤコブソン器官(鋤鼻器)に匂いを運ぶ。
鼓膜を持たない。空気中を伝播する音はごく低い周波数のものしか(上限200Hzという)聞き取ることはできないが、地面の振動は敏感に感じ取ることができる。
上顎に2列、下顎に1?2列の牙状の歯がある。噛み付いた相手を強力に保持するのに役立つ。
顎を閉じる際、他の顎口類同様に下顎挙筋
頭骨はほぼ完全に骨に覆われている。地面を掘り進むのに使われる。これが原始両生類から受け継いだ特徴なのか、地中生活に適応して新たに手に入れた形質なのかはよくわからない。
椎骨は一般的に見られるようにまず軟骨として形成され、それが置換されていくのではなく、脊索の周りに直接に形成される。これは空椎亜綱と共通する特徴である。
多くの場合、左肺は痕跡的で、右肺が袋状に発達している。ミズアシナシイモリ科は左右の肺が共に発達している。例外的に肺を持たない種が2種(ミズアシナシイモリ科の Atretochoana eiselti (南米)、Caecilia iwokramae )発見されている。皮膚と口もガス交換に使われる。
生態
地中生の種は、環帯の間にある襞を収縮させることによって地中をゆっくりと動き回る。水辺の湿った土の中、畑の柔らかい土の中、林床の落葉の中などに住む。夜間には餌となる節足動物や小型の脊椎動物を探して地上に出てくることもあるという。
水生の種はヒレ状になった胴体後部を使って泳ぐ。水底の石や倒木の下に住む。
外敵に襲われたとき、多くの種では皮膚から大量の粘液を出して相手の手から滑り抜けようとする。毒液を出す種も少数いる。毒の種類については詳しい研究は進んでいないが、他の両生類の毒とはかなり異なったものらしい。また、大型種はかなりの力で噛み付くこともできる。アシナシイモリ科に属する Geotrypetes seraphini は口から相当な力で水弾を撃ち出すという。
繁殖
全ての種で体内受精を行う。オスの総排泄腔の後部が反転して陰茎状の交接器 (phallodeum) になり、メスの総排泄腔に2?3時間挿入して精子を渡す。
オスでもミュラー管が退化せずに発達し、腺構造となる。おそらく精子に栄養を与える器官と思われる。
25%の種が卵生であり、一般に母親が抱卵して守ることが知られる。水生の幼生期を過ごす種と、孵化前に変態を終えて直接発生する種がある。幼生は外鰓と側線器官をもつが、変態するとそれらは失われる。
75%の種が胎生である。母親の卵管の上皮が増殖して分泌物を含んだ袋ができ、卵管内の幼生は卵黄を吸収し終わった後、それを歯でこすり落として食べる。この歯は胎児期に特有のもので、成体のものとは異なる。成体の歯は生後まもなく生えてくる。ふつう胎児は変態を終えてから生み出される。
抱卵する種であるBoulengerula taitanus では、生まれた子は、母親の表皮を食べて育つ。母親の皮は、三日で再生する。
分布無足類の分布
熱帯域に広く分布する。