アクマイザー3
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アクマイザー3
ジャンル
特撮テレビドラマ
原作石森章太郎
脚本長坂秀佳ほか
監督奥中惇夫ほか
出演者

千葉治郎

小塙謙士

声の出演

井上真樹夫

矢田耕司

八奈見乗児

ナレーター田中信夫
音楽渡辺宙明
オープニング「勝利だ!アクマイザー3
エンディング「すすめザイダベック」
言語日本語
製作
プロデューサー

宮崎慎一

後藤武彦

平山亨

鈴木武幸

制作NET

放送
放送局NETテレビ系列
放送国・地域 日本
放送期間1975年10月7日 - 1976年6月29日
放送時間火曜19時 - 19時30分
放送分30分
回数38
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『アクマイザー3』(アクマイザースリー)は、1975年10月7日から1976年6月29日まで、NET(現:テレビ朝日)系で、毎週火曜日19時 - 19時30分に全38話が放送された、NETと東映制作の特撮テレビ番組。および作品内に登場する3人のヒーローのグループ名である。
概要

秘密戦隊ゴレンジャー』の大ヒットを受けて製作された、いわゆる「集団ヒーローもの」のひとつ[1][2]。『ゴレンジャー』と同じく石ノ森章太郎が原作を担当した。初期は「悪の組織の一員が正義の心に目覚め、かつての仲間と戦う」というストーリーが展開され、主人公ザビタンの苦悩が描かれた。

変身ブームの沈静化を受けて変身しないヒーローとして製作された[3]。ザビタンたちは普段から異形の姿のままで行動しており、その性格描写には通常のヒーロー以上に力が注がれた。ザビタンやイビルの仮面には数種類のタイプの目を用意して、これを付け替えることで感情を表現した。しかし平山亨によると本作品ではザビタンたちに人間性を持たせるための描写に苦労し、「結局、人間の顔を持たないとダメなんです」と述べている[4]

第2クールからはザビタンたちが強力な魔法力(まほうりき)を使用するようになり、ザビタンは特定の人間の姿に変身するようになる。一方で着ぐるみキャラクター同士の掛け合いも増え、ストーリーもコメディ色が強くなった[5][2]。当時は漫画『がきデカ』が人気を博しており、同時期には『ゴレンジャー』もコメディ路線に移行している[3]

予算面では厳しく、プロデューサーの鈴木が「『仮面ライダー』の半分程度」と証言している[6]。ザビタンたちが異形のままなのも変身前の役者を雇う予算を節約したかったからだそうである[6][7]

制作は東映生田スタジオで行われたが、当時『仮面ライダーストロンガー』と『秘密戦隊ゴレンジャー』の制作も行われていたため[8]、スタジオの空きが出ず、夜遅くか早朝にしか撮影ができなかったと鈴木武幸は述べている[8]

変身前の俳優がいない代わりに声優のキャスティングには拘っているとされ[8]、本作品の登場キャラクターは主に「青二プロダクション」の声優陣が担当した。当時、生田スタジオにはアフレコルームが無く、大映東京撮影所の土間ステージに機材を運び込んでアフレコしていたが[6][8]、「タバックと違い環境が良くなかった」とザビタン役の井上が語っているように[9]、収録環境は悪く、声優陣が助監督と揉めるといったこともあったため、後にスタジオを借りることになったと鈴木武幸は述べている[8]

アクマ族などの設定は前年からのオカルトブームの流れを汲むものであり[3]、物語の軸となる「ダウンワールド」は、当時流行していた「地球空洞説」から着想を得たものである[10]
ストーリー

地底世界ダウンワールドに住むアクマ族が地上への侵攻を開始した。アクマ族と地球人(地上人)の混血であるザビタンはアクマ族のやり方に反発し彼らに敵対した。それを倒すため送り込まれたイビル、ガブラはザビタンの正々堂々の心意気に引かれ、逆にメザロードの卑怯な振る舞いを見て、ザビタンへの協力を決意。3人はアクマイザー3を結成し、アクマ族の地球(日本)侵攻を阻止すべく立ち上がる。
登場キャラクター
アクマイザー3

アクマ族の中でも平和を愛し、人間に味方するために一族を裏切った三銃士。
ザビタン
アクマ族の父と人間の母を持つ混血児。地上侵略を始めたアクマ族に反感を抱き、ダウンワールドを脱走して人間の味方となり、イビル、ガブラと共にアクマイザー3を結成。リーダーとなる。一人称は「俺」
[注釈 1]。正義感あふれる真面目な性格で、仲間を思う気持ちは誰よりも強い。一方で、相手をからかうために魔法力を使うことも多い。3人の中では最も知恵者で、悪側を欺いて危機を脱したことが何度もある。他種族との混血児ゆえに他のアクマ族にはない多くの能力を持ち、ザラードを縦に構えた「ザビタン一文字構え」から華麗な剣技を繰り出す。大きい耳ゆえに聴力が優れており、視力を失った際には聴力のみで戦った[ep 1]。頭部に埋め込まれたアクマ回路のため、アクマの紋章を前にすると善と悪の心の葛藤によって頭部に赤い亀裂が走り、激痛に襲われるのが弱点。サイレーンとは子供のころからの親友で、ザビタンはサイレーンから人間の素晴らしさを教わった。基本的に無表情だが、戦闘時のみ目に怒りのラインが入る。また、第16話のラストで一度だけ笑顔の表情を見せたことがある。
南雲 健二(なぐも けんじ)
第17話から登場。魔法力「変わるんだら?」によって変身するザビタンの人間態。当初は敵に対する変装用だったが、後に人間界での活動用となる[11]。肩書は東都タイムズ所属の記者。南雲がザビタンだと知っているのはイビル・ガブラ・ダルニアのみで、敵の前で正体を現すことがあったにもかかわらず、島一平ら人間の仲間には秘密のままだった。
イビル
「正義の貴公子」を名乗るアクマイザー3の1人。当初はザビタンを処刑するため、ガブラと共に派遣された精鋭討伐隊だったが、その心意気に惚れ込みアクマ族を裏切る
[注釈 2]。口調は古風で、一人称は「拙者」だが、まれに「俺」ということもある。戦闘に勝利した時の決め台詞「どんなもんじゃい!」が印象的。古風でクールかつ戦いを楽しむ好戦的な性格の持ち主。アクマ族に協力した子供に対して冷酷な処罰も辞さなかったが[ep 2]、普段は子供に優しい。軽快な身のこなしとスピードを活かした、イラードによるアクロバティックな剣術を得意とする。銃の使い手でもあり、ジョーガンの腕前はザビタンも一目置いているほど。たとえ反射による鏡像であっても自分の姿が二つ存在することが信じられず[注釈 3]、鏡や水面といった鏡面の前では動けなくなるのが弱点。また、古風な性格ゆえに上下関係を重んじ、悪と知りつつも師匠であるオオカミーダには逆らうことができなかった[ep 3]ダイヤンガー(本名ダイアナ)という恋人がいる。戦闘時や怒っている時には目が吊り上がり、硬直した際には垂れ下がる。首に赤いマフラーを巻いているが、登場初期とオープニングでは巻いていない。

企画書では、「斗いを調子よくスポーツ感覚で楽しんでいるゆえ、アクマの紋章の影響を受けない」とされている[12]

ガブラ
アクマイザー3の1人で、自称「良い子の味方ガブラちゃん」。イビルと同じくザビタン精鋭討伐隊の一人だったが、ザビタンに助けられたことがきっかけとなりアクマ族を裏切った。
関西弁風の口調で、一人称は「ワイ」。やや知性に欠けており、性格はお人好し。ゆえに敵の策略にはまりやすく、頭が悪いことを口癖のように言うが、学歴は高くアクマ国立大学を出ているらしい[ep 4]。怪力の持ち主で、ガラードによる剣術よりも豪腕やデンブルを振り回した戦法を得意としている。普段は腕に取り付けられたスプリングによって力を抑えているが、戦闘時には解除する。火に強く水をエネルギー源としているが、半面、腹に穴を空けられると水が漏れて弱体化してしまうのが弱点。そのためか常時「巨大バンソウコウ」を所持している。イビルとは付き合いが古く、ダイヤンガーとも面識がある。他の2人とは異なり表情の変化は見られない。

企画書では、「鈍感で善の意識がはっきりしないため、アクマの紋章の影響を受けない」とされている[12]

ガブラッチョ
第25話から登場。魔法力「変わるんだら?ガブラッチョ」によって変身する
ダチョウ。自称も「子供の神様」になっている。足が速くなり、ダチョウでありながら空も飛べる[注釈 4]。嘴による攻撃や様々な魔法力を使えるようになり、場合によってはギャリバードより役立った。
アクマイザー3の協力者
島 一平(しま いっぺい)
東都タイムズの新聞記者
[11]で、アクマイザー3の理解者の一人。アグマー程度なら倒すだけの実力はあるものの、少々ドジなところがあり「俺って未熟だなぁ」とよく呟くが、記者としてアクマイザー3の仲間としてその勇敢さは時にアクマ族に目をつけられることもある。結構清潔で短髪にもかかわらず毎日洗髪している[ep 5]。南雲がザビタンの変身であることに最後まで気が付かなかった。

演じた千葉治郎は、自ら志願して三枚目を演じたと述べている[13]

渚 ジュン(なぎさ ジュン)
東都タイムズの女性カメラマン。アクマ族が人間狩りを行った際にザビタンに助けられて以降ザビタンの理解者となり、さらに第10話ではマジョルカの件でダルニアと心を通じ親友となった。第28話以降は登場していない。
島 光彦(しま みつひこ)
小学生で、一平の弟。「どうして?」が口癖。ダルニアとは一緒に遊びに行くほど仲がよい。第38話(最終回)で一度だけザビタンが化けたことがある。
有沢 美子(ありさわ よしこ)
第5話から登場する銀座に所在する科学研究所に勤める女性科学者。アクマ族の陰謀を知り、以降はザビタンたちを科学的な側面から支える。第12話を最後に登場していない。
秋田 源作(あきた げんさく)
東都タイムズの編集長。「どうして?」を連発する光彦には手を焼いている。アクマ族や超能力も信じない俗人で、一平やジュンの報告をことごとく無視しているが、よく災難に遭う。部下では唯一、南雲(=ザビタン)だけを頼りにしている。
白鷺 千代(しらさぎ ちよ)
ザビタンの母。メザロードによってザビタンの目の前で殺された。
アクマ族
メザロード
アクマ族の警備連隊長
[注釈 5]で、アクマイザー3の仇敵とも言うべき存在。本来はイビルの上官になるはずだった人物。登場回数も多く隊長怪人の作戦に直接指示を与えることも多い。冷酷かつ残虐の限りを尽くす卑劣漢で、ザビタンの両親や親友サイレーンの命を奪った張本人。この他にもイビルは恋人ダイアナを殺され、ダルニアは姉マジョルカを死に追いやられた[注釈 6]。専用のジャンケルや物体を消滅させる怪光線を放つ指令棒を武器とする。ザビタンを目の敵にしており、常時アクマの紋章を携帯している。自らを「不死身」とうそぶくように、何度倒されてもパワーアップして蘇る悪魔力メザロード再生を持ち、事実上メザロードを倒すのは不可能である。第37話において、バスカルたちから伝授されたニューライトアタックを使ったアクマイザー3により、岩に閉じ込められ、それに伴い再生能力を無効化され封じられる。ノッペラー親子[ep 6]やバスカルの父・キリンダー[ep 7]、ナメナメーダ[ep 8]が登場した際にも姿を現し、「平和党四人衆」とは浅からず因縁がある。『S.I.C. HERO SAGA』においては「ザビタンの父・初代ザビタンの幼馴染」という設定が追加されている。
隊長怪人
メザロードの命令の下、兵士アグマーを率いて作戦行動を行なう指揮官たち。アクマイザー3の魔法力に対してアクマ力(アクマりき)を使い、大半のメンバーはジャンケルを所持している。隊長の証である角を1つから2つ以上頭部に付けているが、まれに付けていない者もいる(マジョルカなど)。基本的に邪悪な者が大半だが、後述のように平和を望む者や、どこかユーモラスな性格の者も存在する。アクマイザー3の友人やかつての恋人が送り込まれることもあり、アクマイザー3を精神的に苦しめる。しかし不毛な戦いばかりではなく、後に「平和党四人衆」となったノッペラー・ノッペラーJr.・ナメナメーダもこの戦いで改心した。
ゲベル
第37話・第38話に登場。アクマ族総師団長で、大魔王ガルバーの右腕的存在。大魔王ガルバーから与えられた「不滅の盾」でアクマイザー3に挑み、これを駆使した「地獄パンチ」が得意技。腰にジャンケルも装備しているが本編では未使用。大魔王ガルバーは、本作品にはゲベルやメザロードとの会話の声のみでしか登場しないため、ゲベルが本作品におけるアクマイザー3の最大最強の敵となっている。
大魔王ガルバー
第37、38話に声のみ登場。ゲベルとメザロードの陰にいた謎の支配者。自身の右腕であるゲベルに不滅の盾を与え、その盾に秘められた呪いによってアクマイザー3の魂をカプセルに閉じ込めた。その存在と正体は続編となる『
超神ビビューン』で明らかになる。
兵士アグマー
隊長怪人に率いられるアクマ族の一般兵士。レイピアや二股の槍を武器とする。第18話以降、頭部の形状が異なりマントを着用したメザロード直属の、第37話からはゲベル直属の親衛隊も登場した。戦闘要員以外にも、隊長怪人の強化手術などを行う科学者タイプもいる。
アクマイザー3の味方および中立的なアクマ族
ダルニア
第2話から登場。ピンクの花吹雪とともに現れる、戦いを見ることを好むアクマ族の花の精
[11]。卑怯な行為を嫌い、度々アクマイザー3の危機を救う。ザビタンに恋心を抱いているが、嫉妬深い一面もみられる。専用のジャンケルケン銃は電子剣からミサイル銃に変形させることができる[11]。両眼から破壊光線ダルニアビームを放つ他、腰を叩くことで姿を消す能力[11]や敵の武器を消滅させる魔法力も使える。アクマ族を裏切ってからは人間らしく優しい心を育むようになるが、それと引き換えにダルニアビームが連射できなくなるなど戦闘能力が衰え、次第に非戦闘要員となっていった。諜報活動などでザビタンに協力する。アクマイザー3はその異形の容姿から地上界の人間から恐れられ、そのため公の場では一般の人の目には写らないように活動しているが、彼女だけは何事も無く人間社会で暮らしており、光彦と遊びに出かけても他の人間からも驚かれる描写もない。また光彦と一緒におやつを食べる場面も多い。マジョルカという姉がいたが、二人に組み込まれていた双生児アクマ回路のために悲しい別れをすることになる[ep 9]


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