アクトン・ベイビー
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『アクトン・ベイビー』
U2スタジオ・アルバム
リリース1991年11月19日
録音1990年
ハンザ・スタジオベルリン
ウィンドミルレーン・スタジオ(ダブリン
ジャンルロック
時間55分23秒
レーベルアイランド・レコード
プロデュースブライアン・イーノ
ダニエル・ラノワ
専門評論家によるレビュー


Allmusic Link

チャート最高順位

全英2位

全米1位

U2 アルバム 年表

魂の叫び
(1988年)アクトン・ベイビー
(1991年)ZOOROPA
(1993年)

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『アクトン・ベイビー』 (Achtung Baby)は、アイルランドのロックバンド、U2アルバムである。1993年のグラミー賞において最優秀ロック・グループ受賞。
概要

ルーツ・ミュージックに接近した1980年代後半の音楽性と決別し、対極的な「1990年代型U2」を宣言した作品。硬派なロックサウンドから、打ち込みを駆使したダンス・ビートへ転向し、歌詞も官能や不道徳を赤裸々にさらけだすものになった。ボーカルのボノはファーストシングル「ザ・フライ」について「4人の男でヨシュア・トゥリーを切り倒している音だ」と表現した[1]

その衝撃的な変身ぶりは、ファンを中心に多くの物議を醸した。しかしそれと同時に多くの新たなファンを獲得した作品でもあり、それまでの商業的な大成功の後でのこの大胆な路線変更は、以前とは違い多くのミュージシャンからも評価を得るものとなった。

U2が新路線を見出した背景には東西冷戦構造崩壊後の混沌とした世界情勢や、湾岸戦争の衛星テレビ中継(テレビの中の現実)、当時の若者を魅了したダンスミュージック・ムーブメント(「セカンド・サマー・オブ・ラブ」や「マッドチェスター」)があった。レコーディング前にエッジは、Einsturzende NeubautenNine Inch Nails、The Young Gods、KMFDMなどのインダストリアルミュージックを聴き込み、『Red, Hot & Blue』というチャリティアルバムに提供した「Night and Day」と『時計じかけのオレンジ』の舞台に提供した「Alex Descends into Hell for a Bottle of Milk」でその成果を披露した(後者は「The Fly」のシングルのB面に収録され、ウィリアム・ギブスンが監督し、キアヌ・リーブス北野武が共演した映画『JM』のサントラにも収録された)。

そして、これら新時代の流れをシニカルかつスタイリッシュに捉えたのが本作である。また、本作のコンセプトを拡張した「ZOO TVツアー」の奇抜なステージセットやライブパフォーマンスも話題を呼んだ。

レコーディングはベルリンの壁崩壊(1989年11月)後の巨大なうねりの中に位置していたベルリンで始まり、本作をプロデュースしたブライアン・イーノがかつてデヴィッド・ボウイと共にベルリン三部作を生み出したハンザ・スタジオを使用した。新作の方向性を巡ってメンバーの意見がまとまらず、ボノ曰く「10段階でいうと、解散の危機の9の段階まで来ていた」「バンドのラインナップを拡大して他のミュージシャンを入れることすら考えた」という状況だった[2]。しかし、メンバーが気に入っていたが没になった第二ブリッジを「ワン」のイントロに作り変えたことが、新たなU2サウンドを紡ぎだす突破口となった[2]

アルバムのタイトルの候補には、『Man』(Boyと対の意味)、『69』、『 Zoo Station』、『Fear of Women』、『Cruise Down Main Street』(The Rolling Stonesの『Exile on Main St』が由来。恐らくジャケットもこのアルバムを意識してのもの)など色々挙がっていて、アントン・コービンが撮ったアダムのヌード写真をジャケットに使って『Adam』というタイトルにしようという案もあったが、レコード会社が難色を示してボツに。[3]結局、バンドのサウンドマンであるジョージ・オハーリーがアルバム『?』以降U2が自らの音楽スタイルを変化させながら巨大な存在へと変貌していく姿を描写して名づけた“デンジャラス・ベイビー”から『Achtung Baby』と付けられた。Achtung(アハトン)とはドイツ語で「注意」(英語でいうattention)の意である(ただ『U2 by U2』によると、ジョー・オーハリーが口癖のように使っていたメル・ブルックスの『The Producers』という映画に出てくる「Achtung Baby(注意しろ、ベイビー」というセリフが、リスナーにアルバムの内容に予断を持たせなくていいということでタイトルに採用されたとのことである[4])。

ローリング・ストーンの選ぶオールタイム・ベストアルバム500(大規模なアンケートで選出)において62位。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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