この項目では、未発見の素粒子について説明しています。
同名の競走馬については「アクシオン (競走馬)」をご覧ください。
福岡県のスポーツ施設については「アクシオン福岡」をご覧ください。
東京都の株式会社ACSiON(アクシオン)については「ACSiON」をご覧ください。
.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}この記事の項目名には以下のような表記揺れがあります。
アクシオン
アキシオン
アクシオン
組成素粒子
相互作用電磁相互作用
重力相互作用
発見未発見
電荷0
スピン0
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アクシオン(英: Axion)、あるいはアキシオンとは、素粒子物理学において、標準模型の未解決問題のひとつである強いCP問題を解決する仮説上で、その存在が期待されている未発見の素粒子である。冷たい暗黒物質の候補の一つでもある。 標準模型にはCP対称性を破る位相パラメーターが2つ存在する。1つはCKM行列の位相であり、もうひとつは量子色力学の位相である。CKM行列の位相はベル実験を始めとするB中間子崩壊の精密測定によって測られており、CKM行列はCP対称性を大きく破っていることが知られている。一方、量子色力学におけるCP対称性の破れは中性子の電気双極子などを通して観測できるが、量子色力学では極めて高い精度でCP対称性が成立していることが分かってきた。この両者の違いは標準模型の破綻を必ずしも意味しないが、何らかの説明を必要とする不自然なものであると考えられた。この問題は強いCP問題と呼ばれている。 アクシオンは強いCP問題の解決策の1つとして提唱された未発見の粒子である[1]。アクシオンはペッチェイ・クイン対称性
概要
様々な実験や観測を考慮した結果、アクシオンの質量は電子の約1億分の1以下という非常に微小なものだと考えられている。1億分の1というのはあくまで以下というものであって、具体的な数値はわかっていないが、電子の10億分の1程度だと考えられている。また、光子と非常に弱いながらもお互いに反応するため[2]、光子との反応を使った探索方法が有力なものの一つとなっている[3]。特に、磁場とアクシオンの反応によって光子を作る逆プリマコフ変換を利用した実験は数多くある[3]。 代表的な検出原理[4] アクシオンは強い磁場の中で光に変わると予測されており、この性質を利用した検出が世界各国で試みられている。たとえば東京大学のグループは、太陽から飛来するアクシオンに強磁場を印加してX線に変換し検出する試みを行っている。暗黒物質の候補にもあげられているため、京都グループはリドベルグ原子を用いて検出する独自の着想により探索を続けている。アメリカのグループは、超伝導磁石を用いた強磁場の元で暗黒物質のアクシオンが電磁波に変換して検出を試みる最先端にいる。最近では素粒子実験物理学のメッカであるヨーロッパのCERNにおいても、太陽から飛来するアクシオンを大変高い感度で検出を試みる実験が進められている。 2019年、京都大学、東北大学の研究グループは、原始惑星系円盤の観測によるアクシオンの探査法とその研究結果について発表した[12][13][14]。原始惑星系円盤は同心円状の偏光パターンを持っており、アクシオンが存在すれば偏光パターンに渦巻き状の乱れが生じるとされる[12][13]。研究グループはすばる望遠鏡の取得した原始惑星系円盤の観測データを用いて分析を試みたが、偏光パターンの乱れは見つからなかった。この研究により、アクシオンと光の相互作用の強さを示す結合定数の上限値を、これまでの研究の10分の1以下に小さく更新することに成功した[12]。
観測実験
プリマコフ効果でアクシオンを光子に転換
光子を検出
X線領域 : 太陽アクシオン - 半導体検出器による検出
マイクロ波領域 : 暗黒物質アクシオン - CARRACK , ADMX[6]
観測機器
望遠鏡
太陽中心では原子核や電子と黒体放射光子の相互作用により、平均エネルギー 4 keV のアクシオンが作られている可能性がある。このアクシオンを直接観測するため太陽アクシオン望遠鏡(東京アクシオンヘリオスコープ)が作られ観測が行われている[7]。この望遠鏡は、磁場中でアクシオンをX線に変換することにより観測を試みている[7][8]。
CARRACK
強磁場中に置かれた共振空胴内で光子に転換したアクシオンをリュードベリ原子[9][10]に吸収させる。そしてこの原子のみをイオン化しその電子を計数する方式[11][5]。
観測成果
脚注[脚注の使い方]
出典^ 理学系研究科・理学部ニュース 36巻 2号 2004年7月