アカオクロオウム
左側がオス、右側がメス
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
アカオクロオウム(Red-tailed black cockatoo)は、オーストラリアが原産の大型で黒色のオウムである。オスの成鳥は、尾に赤色の特徴的な1対の模様があり、和名及び英名の由来となっている。大陸内の乾燥地域ではより一般的な種である。主にくちばしの大きさが異なる5つの亜種が知られている。北に住む亜種は広く分布しているが、南方に住むforest red-tailed black cockatooとsouth-eastern red-tailed black cockatooは絶滅の危機にある。
通常は、ユーカリの森林か水路沿いで見られる。北部では、大きな群れとしてごく一般的に見られる。主に種子を食べ、幹回りのかなり大きな木、一般的にはユーカリの空洞に巣を作る。オーストラリア南東部の個体数は、森林破壊やその他の生息地変化により、脅かされている。クロオウム属としては、飼育に最も適しているが[2]、オーストラリア以外においては、クロオウムは滅多に出回らず、価格も高い[3]。
分類と命名メス(ノーザンテリトリー)オス(ノーザンテリトリー)
この種は、イギリスの鳥類学者ジョン・レイサムにより、イギリスの植物学者ジョゼフ・バンクスへの献名として、1790年にPsittacus banksiiと命名された[4]。1770年には、バンクスの製図工であるシドニー・パーキンソンが、恐らくクイーンズランド州のエンデバー川で採集されたメスをスケッチし、これはヨーロッパ人がオーストラリア東部で初めて描写した鳥となった[5]。レイサムより少し前に、イギリスの博物学者ジョージ・ショーがポート・ジャクソン湾のどこか(現在のシドニー)で採集した個体をPsittacus magnificusとして記載した[6]。ショーによる命名がレイサムの記載よりも前であったため、長年の間、グレゴリー・マシューズが提案したCalyptorhynchus magnificusと呼ばれてきた[7]。ポート・ジャクソンで採集された当初の個体が本当にアカオクロオウムのものか、それとも恐らくはテリクロオウムのものかは明らかではなかったが、数十年の間、マシューズの提案は広く受け入れられた。1994年、学名としてのCalyptorhynchus banksiiを保留名とする申請が動物命名法国際審議会により認められた[8]。アカオクロオウムは、クロオウム属のタイプ種であり[9]、その学名は、ギリシア語で「隠れた」という意味のcalypto-と「くちばし」という意味のrhynchusに由来する[10]。この変更は、アンセルム・ガエタン・デスマレストにより1826年に初めて行われた[11]。
1827年、Jenningsは、Psittacus nigerという学名を提案した[12]。1758年にカール・フォン・リンネがコクロインコに対し[13]、また1788年にヨハン・フリードリヒ・グメリンがヤシオウムに対して、既に二名法による命名を行っており、そのため、他の種がこの時点で異なる名前で知られていても、無効な名前であった。他の一般的な名前としては、Banks' black cockatoo、Banksian black cockatooあるいは単にblack cockatooというものがあった[14]。ヨーク岬半島中央部の先住民は、Pakanhでは(minha) pachang、Uw Oykangandでは(inh -) inhulg、Uw Olkolaでは(inh -) anhulg等、様々な言葉で呼ぶ(かっこで括った接頭辞minhaまたはinhは、「肉」または「動物」を意味する修飾語である)[15]。グンウィング語やアーネムランドでは、Ngarnarrhまたはkarnamarrという言葉が用いられる[16][17]。中央オーストラリアのアリススプリングス南西部では、ピチャンチャチャラ語で亜種C. b. samueliをirantiと呼ぶ[18]。