アオサ藻綱
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アオサ藻綱

(上) チシマアナアオサ[1] (アオサ目)
(下) イワヅタ属の1種 (ハネモ目)
分類

ドメイン:真核生物 Eukaryota
:植物界 Plantae (アーケプラスチダ Archaeplastida)
亜界:緑色植物亜界 Viridiplantae
:緑藻植物門 Chlorophyta
:アオサ藻綱 Ulvophyceae

学名
Ulvophyceae
K.R.Mattox & K.D.Stewart, 1984
英名
ulvophytes, ulvophyceans
下位分類


ウミイカダモ目 Oltmannsiellopsidales

スコティノスファエラ目 Scotinosphaerales

ヒビミドロ目 Ulotrichales

アオサ目 Ulvales

イグナティウス目 Ignatiales

スミレモ目 Trentepohliales

シオグサ目 Cladophorales

カサノリ目 Dasycladales

ハネモ目 Bryopsidales

アオサ藻綱 (アオサそうこう) (学名:Ulvophyceae) は、緑藻植物門に属する綱の1つ。2020年現在2,000種ほどが知られ、アオサ、シオグサ、カサノリ、イワヅタ (イワズタ[2][3][4]) など海藻として知られる緑藻のほとんどはアオサ藻綱に属する。多くは多細胞性または多核嚢状性の大型藻であるが (右図)、微細な単細胞や糸状体の種もいる。

核分裂は閉鎖型 (核分裂中も核膜が維持される)、中間紡錘体は後期まで残存する。細胞質分裂はふつう細胞膜の環状収縮によって起こり、その際にファイコプラスト (分裂面に平行な微小管群) は生じない。鞭毛細胞の鞭毛装置は回転対称の交叉型であり、向かい合う基底小体は上から見て反時計回り方向にずれて配置する。有性生殖を行うものでは、配偶体胞子体の間で世代交代を行うものが多い。多くは海 (沿岸域) に生育するが、マリモのように淡水に生育するものやスミレモのように陸上に生育するものもいる。ヒトエグサアオノリクビレヅタ (海ぶどう) など食用とされるものも含まれる。
特徴
体制

アオサ藻綱に見られる体制 (大まかな体のつくり) は単細胞性群体性、多細胞性多核嚢状性と極めて多様である[5][6][7][8][9][10][11] (下図1)。多くは肉眼視できる大きさの藻体を形成するが、顕微鏡でなければ判別できない微細藻もいる。アオサ藻綱の中で、ウミイカダモ属 (ウミイカダモ目) のみは栄養体鞭毛をもつ (単細胞性または群体性)[12][13]。多細胞性のものの中には、無分枝糸状 (下図1a)、分枝糸状 (下図1b)、管状または膜状のもの (下図1c) などが知られる[6][7][9][10]。シリオミドロ属 (ヒビミドロ目) やシオグサ目のように、多核細胞からなる糸状体を形成するものもおり、このような体制は多核有隔性 (siphonocladous) ともよばれる[7][10] (下図1a, b)。カサノリ目ハネモ目の藻体は細胞隔壁を欠く多核嚢状性(siphonous, coenocytic)であり、単純な糸状のもの(例:ハネモ属)から無隔壁の細胞糸が複雑に絡み合った藻体を形成するもの(例:ミル属など;下図1e?g)まである[7][8][9][10]

多細胞や多核嚢状性のものでも複雑な組織・器官分化は見られないが、付着部が仮根状になるもの (例:アオサ属) や葉緑体を多く含む膨潤部(小嚢)が表層に密集した藻体を形成するもの (ミル属; 下図1g)、茎状部・葉状部・仮根をもつもの (イワヅタ属; 下図1e) など、ある程度の分化を示すものはいる[7][8][9][10]原形質連絡をもつものは、スミレモ目に限られる[7][9][10]。.mw-parser-output .tmulti .thumbinner{display:flex;flex-direction:column}.mw-parser-output .tmulti .trow{display:flex;flex-direction:row;clear:left;flex-wrap:wrap;width:100%;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .tmulti .tsingle{margin:1px;float:left}.mw-parser-output .tmulti .theader{clear:both;font-weight:bold;text-align:center;align-self:center;background-color:transparent;width:100%}.mw-parser-output .tmulti .thumbcaption{background-color:transparent}.mw-parser-output .tmulti .text-align-left{text-align:left}.mw-parser-output .tmulti .text-align-right{text-align:right}.mw-parser-output .tmulti .text-align-center{text-align:center}@media all and (max-width:720px){.mw-parser-output .tmulti .thumbinner{width:100%!important;box-sizing:border-box;max-width:none!important;align-items:center}.mw-parser-output .tmulti .trow{justify-content:center}.mw-parser-output .tmulti .tsingle{float:none!important;max-width:100%!important;box-sizing:border-box;align-items:center}.mw-parser-output .tmulti .trow>.thumbcaption{text-align:center}}1a. 無分枝糸状のジュズモ属 (シオグサ目)1b. 分枝糸状のシオグサ属 (シオグサ目)1c. 膜状のアオサ属 (アオサ目)1d. 大きな多核細胞からなるバロニア属 (シオグサ目)1e. 多核嚢状性であるイワヅタ属 (ハネモ目)1f. 多核嚢状性であるミル属 (ハネモ目)1g. ミル属の体のつくり: 細長い細胞糸 (隔壁無し) が絡み合って藻体を形成し、藻体表層では細胞糸が膨潤して小嚢を形成している。
細胞壁2. 細胞壁が石灰化するサボテングサ属 (ハネモ目)

栄養細胞は細胞壁で囲まれるが、鞭毛性のウミイカダモ属のみは細胞外被を欠く[12]。細胞壁を構成する繊維性多糖はふつうセルロースであるが、キシランやマンナンを主成分とするものもおり、同一種でも世代によって変わることがある[6][7][9][14]


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