アウレリアヌス城壁
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アウレリアヌス城壁
ローマの一部
イタリア

アウレリアヌス城壁(赤線)とその門を示した古代ローマの地図。黒線は紀元前4世紀のセルウィウスの城壁
種類城壁
地上高最高10m
施設情報
所有者イタリア政府
一般公開公開されている
現況残存部分は半壊状態のところと修復されたところがある。
歴史
建設紀元271年 - 275年
建設者古代ローマ軍
建築資材コンクリート
煉瓦
モルタル
解体部分的に中世期に破壊された。
主な出来事ローマ略奪など多数
駐屯情報
駐屯部隊プラエトリアニ
使用者ローマ人

アウレリアヌス城壁(アウレリアヌスじょうへき、イタリア語: Mura aureliane)は、271年から275年、ローマ皇帝アウレリアヌスプロブスの治世の間にイタリアローマに建設された都市の城壁である。

ローマの七丘に加えてカンプス・マルティウステヴェレ川の右岸であるトラステヴェレ地区を囲んでいる。しかし、カンプス・マルティウスのテヴェレ川の河岸には何の防備もされていなかった。目次

1 概要

2 歴史

3 後世における利用

4 門

5 脚注・出典

6 外部リンク

概要

全周19kmで、13.7平方kmの領域を取り囲んでいる。壁はローマン・コンクリートを煉瓦で覆う形で作られており、厚さは3.5m、高さは8mで、100ローマンフィート (29.6m) ごとに塔がある。

5世紀には高さを倍増させ16mにする改修が行われた。紀元500年には、383の塔、7,020個の挟間胸壁の凹凸、18の大門、5つの通用口、116の公衆便所、2,066の大きな窓があった[1]
歴史 メトロニア門付近の歩哨通路

3世紀までにローマは古いセルウィウスの城壁で囲まれた領域よりも市街地が広がっていた。セルウィウスの城壁は共和政ローマ時代の紀元前4世紀末ごろに建設された城壁である。ローマはその後拡大し続け、数世紀に渡って事実上無防備だった。3世紀の危機の時代、北方から異民族が侵入してくるようになり、ローマ軍がそれを防いでいたが、より防御が必要となってきた。270年、アラマンニ族ヴァンダル族が北イタリアを侵略し、ローマ軍はプラケンティア(現ピアチェンツァ)で大敗を喫した。その後271年の夏にはローマで労働者の反乱が起きた。その戦いの中で数千人が命を落とした[2]

アウレリアヌスが城壁の建設を急いだのは、この270年に始まった異民族の侵略への対策のためである。歴史家セクストゥス・アウレリウス・ウィクトルは、これをローマの脆弱性を多少なりとも解決するためのものだったと明記している[3]。それはまた、アウレリアヌスが皇帝として権力を握ることに対して、市民がそれを支持し続けることをアウレリアヌスが信じているという政治的合図でもあった。城壁建設は当時のローマでは最大の建設事業であり、ローマ帝国の強大さが続くことを示していた[2]

城壁は5年という驚異的な短期間で完成したが、アウレリアヌスはその完成前に亡くなった。工事を短縮し資金を節約するため、既存の建築物を城壁に組み込んだ。例えば、カストレンセ円形闘技場、カストラ・プラエトリア、ガイウス・ケスティウスのピラミッドなどがあり、マッジョーレ門付近のローマ水道であるクラウディア水道の一部も城壁の一部とされた。全周の最大6分の1で既存の建築物を城壁の一部としたと見られている[2]。城壁のすぐ内側は整地され、非常時に兵を迅速に配置できるよう歩哨通路が建設された。

ローマの守備隊は城壁の規模に対して人数が少なく、この城壁が実際役に立ったかどうかは疑わしい。プラエトリアニ、cohortes urbanae、vigiles というローマにいる軍勢を全部合わせても2万5千人であり、城壁の全周の防備には明らかに人数が足りない。しかし、この城壁は長期の攻囲戦を意図したものではない。異民族の軍勢は食料供給が十分ではないため、都市を取り囲むような戦法を採らなかった。むしろ、防御が弱いところを狙って電撃的な攻撃を加えることが多かった。城壁は、そのような戦法への対策だった[4]

マクセンティウスは城壁の一部の高さを倍増させ、監視塔も改良した。401年、ホノリウスの時代にも城壁と門を改修している。このとき、テヴェレ川対岸にあったサンタンジェロ城も防御用の要塞として城壁に組み込まれた。545年、東ゴート王国トーティラ王は城壁を破壊し、ゴート戦争東ローマ帝国がローマを防御する可能性をつぶそうとした。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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