アイルランド系アメリカ人
Irish American
Gael-Mheiriceanach
上段左から
ジョン・F・ケネディ、マザー・ジョーンズ、ジョージ・M・コーハン
アイルランド系アメリカ人(アイルランドけいアメリカじん、英語: Irish American, アイルランド語: Gael-Mheiriceanach)は、アメリカ合衆国国民のうち、アイルランドに出自を持つ者たちを指す名称である。約3,600万人(総人口のおよそ12%)のアメリカ人がアイルランド系であると自認している。これらの数字にはスコッツ=アイリッシュは含まれない。
スコッツ=アイリッシュ(Scots-Irish)は、一般的にアルスターから移民してきたアイルランド人を指し、アルスター=スコッツ(Ulster-Scots)とも呼ばれる(後の北アイルランドを含むアルスター地方にはスコットランド人プロテスタントが多く入植していた)。彼らの中には自分がアイルランド系アメリカ人であると考える者もいる。これは、アイルランドのプロテスタントとカトリックとの宗教対立に起因するもので、プロテスタント系移民はスコッツ=アイリッシュと呼ばれ、カトリック系の移民はアイルランド系アメリカ人と呼ばれることを好んだ。近年はこの区別は厳密なものではなく、多くのスコッツ=アイリッシュは、自身をより広義なアイルランド系アメリカ人の一種であると見なしている。スコッツ=アイリッシュは(アイルランド系アメリカ人とは別に)500万人以上にのぼる。 プロテスタント系のアイルランド人移民は18世紀から19世紀の産業革命期にアメリカに移民し、特に当時辺境地域だったペンシルベニア州、バージニア州、ノースカロライナ州、サウスカロライナ州へと定住した。1845年から1849年にかけて起こったジャガイモ飢饉の際には、数百万人のカトリック教徒が北アメリカへと押し寄せた。彼らの多くは、棺桶船と称される病気の蔓延する船でカナダに到着した。彼らの一部はカナダ、特にトロントやオンタリオ州に残ってアイルランド系カナダ人となり、残りはアメリカ合衆国へと移動した。 1820年から1860年にかけて、アイルランド人はアメリカ国内の移民のうち3分の1を占め、1840年代には移民の半分を占めるようになっていた[1]。 当初アイルランド人は歴史的にアメリカ人の圧倒的多数を占めるイングランド系のルーツであるイングランドに支配された地ということ、カトリック教徒であることから不当な差別を受け、アイルランド人の利用を公然と拒んだ店も存在した。この差別に立ち向かうためにマフィアとなったアイルランド系も少なくなかった。 初期の移民の職業は警察官、消防士、軍人などが多く、アイルランド系の警官、消防士、軍人が活躍する映画が多い[2]。これは移民として比較的後発だったため、命がけの危険な仕事にしかありつけなかった歴史的事情や、血気盛んなアイルランド気質ともマッチしている要因が挙げられる。このことからアイルランド系移民には、それぞれの家代々で警官や消防官を勤める者がいる場合も少なくない。また文化・伝統的側面においても大いに影響があり、警察や消防では慶弔様々な式典においてバグパイプ隊による演奏が行われる。
概要