アイリッシュ・トラヴェラー
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アイリッシュ・トラヴェラー
(Irish Travellers)
アイリッシュ・トラヴェラー、1954年撮影
居住地域

 アイルランド   
言語
アイルランド語シェルタ語アイルランド英語
宗教
ローマ・カトリック、その他
関連する民族
アイルランド人ロマ、スコティッシュ・トラヴェラー(英語版) など

アイリッシュ・トラヴェラー(Irish Travellers、アイルランド語: an lucht siuil、アイルランドの漂泊民の意)は、移動型民族集団の1つ。広義のジプシーに含まれることがある。

パヴィー (pavees) 、ティンカー (tinkers) 、パイキー (pikeys) 、パディー (paddies) 、ジプシー (gypsies) といった名称でも呼ばれることがある。[1][2] 主に英語を話すが、一部はシェルタ語やそれに似た符牒 (en:Cant (language)) を話す。ほとんどがアイルランドにいるが、イギリスアメリカにもかなりの人数で存在する[3][リンク切れ]。

彼らの起源については様々な意見がある。アメリカの1万人前後の人々のうちほとんどがジャガイモ飢饉の起こった1845年から1860年までの期間にアイルランドを去ったトラヴェラーの移民の子孫であり[4]、そのうちの約2,500人がサウスカロライナ州ノースオーガスタ郊外のマーフィー村 (Murphy Village) に住んでいる[5]
語源

トラヴェラーが自分自身のことを表現するときは、ミンキヤー (Minkiers) [6]、パヴィー (Pavees) 、あるいはアイルランド語のan Lucht Siuil("歩く人々"を意味する)といった言葉を使う。

その他、トラヴェラーはアイルランドでは、単語の意味そのままにティンカー (Tinkers、鋳掛屋の意味) やアイティナラント(Itinerants、不定住者や遊牧民の意味)、あるいは差別語としてナッカー(en:Knackers、廃馬処理業者の意味)[7][8][リンク切れ]といった表現も使われる。 このような表現のいくつかは伝統的に彼らによって担われてきた仕事を意味している。tinker(またはtinsmith)は、例えば、瓶 (pot) や鍋 (pan) といったブリキ細工の修理であり、knackerは屠殺 (en:horse slaughter) 対象の古馬や死馬の取得を意味する。ティンカーと特にナッカーは、アイルランドにいるトラヴェラーに対する差別用語として使われている。

ジプシー (gypsy) という言葉は、イングランドスコットランドに住む大陸からイギリスに来たロマエジプト民族と考えられた)に対する表現として、16世紀の記録に初めて登場する [9]。その他、ひどく見下した表現として、パイキー[10]、ジッポ(gypoないしgippo[11]、Gypsyのなまり)といった言葉も使われる。
各国のアイリッシュ・トラヴェラー
アイルランド

アイルランド共和国における2006年の国勢調査は、アイリッシュ・トラヴェラーの人口を22,369人と報告している。[12] 1千7百人から2千人が北アイルランドにいると見られている[13]

2006年のアイルランド共和国の国勢調査によって、都市部の人口が20,975人が、農村地帯の人口が1,460人であることが明らかにされた。共和国全体の人口に占める割合は0.5%だが、高い比率を示す地域がいくつかある。チュアムでは人口の7.71%を占める。年齢別でみると、0歳?14歳は9,301人であり、トラヴェラーの人口の41.5%を占める。15歳?24歳は3,406人であり、15.2%を占める。また、トラヴェラーの人口の半数近くである48.7%が0歳?17歳の子供である。

アイルランド全国トラヴェラー健康調査(All Ireland Traveller Health Study、2008年現在の評価)によると、北アイルランドでの人口は3,905人、共和国では36,224人とされている[14]
イギリス

2011年、 アイリッシュ・トラヴェラー(Irish Traveller)が、広義のジプシー/トラヴェラー (Gypsy/Traveller) の一部として、国勢調査のカテゴリーに初めて導入された。自己申告のジプシー/トラヴェラーとアイリッシュ・トラヴェラーを合わせた人口は63,193人となった[15]。ただし、最近のイギリス在住のトラヴェラーについての見積もりは、イギリスのジプシー/ロマや他のトラヴェラーのグループを構成する全体概算30万人の 一部として[16]、1万5千人前後で推移している[17]

ロンドンハーロウブレントの2つの特別区は、アイリッシュ・トラヴェラーの人口が目立つ地域である。そのような様々な公的な居住地に加えて、何人もが地方自治体住宅(Local Authority Housing)に住んでおり、そのほとんどが子供たちに良質な教育を受けさせたいと考えている女性である。彼女たちやその子供たちの中には夏に旅する者もいるかもしれないが、その場合であってもより広いトラヴェラーの居住地と連絡を取り続けている[要出典]。

ホーム・カウンティーズ (en:Home Counties) と呼ばれるロンドン周辺地域には、いくつものアイリッシュ・トラヴェラーのコミュニティが存在する[18]
アメリカ

彼らのプライバシーを尊重するため、アメリカにはトラヴェラーの人口を示す公的あるいは法的な数字情報がない[19]。 事実、アイリッシュ・トラヴェラーはアメリカの国勢調査において単独の民族集団として認識されていない[19]。ある資料ではアメリカにおけるトラヴェラーの人口を1万人と見積もっているが、他の資料には4万人という数字が書かれてもいる。メアリー・E・アンデレク(Mary E. Andereck)の調査によれば、ジョージア州のトラヴェラー(Georgia Travelers)のキャンプは約800家族で構成され、ミシシッピ州のトラヴェラー(Mississippi Travelers)では約300家族、テキサス州のトラヴェラー(Texas Travelers)では50家族弱である[19]

アメリカのトラヴェラーは、自分たちを歴史的な居住拠点から、オハイオ州 (Ohio Travellers) 、ジョージア州 (Georgia Travellers) 、テキサス州 (Texas Travellers) 、ミシシッピ州 (Mississippi Travellers) といったいくつかにグループ分けしている[19]。最大の居住地はサウスカロライナ州ノースオーガスタの町の外にあるマーフィー村であり、約2,500人が住んでいる[20]

他のコミュニティとしては、ホワイト・セトルメント (en:White Settlement, Texas) があり、ここでは各家族は冬季のみ滞在し、夏の間は別の地域に移動している。同じような孤立地域はジョージア州アラバマ州ミシシッピ州にわたって見受けられる[21]


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