アイスワイン
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「アイスヴァイン」はこの項目へ転送されています。ドイツ料理については「アイスバイン」をご覧ください。
ソーテルヌ AOC の最高峰、シャトー・ディケム(1973)。

デザートワイン(dessert wines : AmE / pudding wines : BrE)とは、主に食後に提供される甘口のワインである。フランスソーテルヌ地方の同名 AOC のワインや、ドイツワイン(アウスレーゼ、ベーレンアウスレーゼなど)、ハンガリートカイトカイワインなどが有名。
定義屈折糖度計屈折率の変化量から液体の糖度を求める。

「デザートワイン」に単純な定義はない。イギリスでは、食前酒として供される酒精強化ワインのフィノやアモンティリャード、食後のポートワインマデイラワインなどと対比させる形で、食事中に料理と共に楽しむ甘口のワインをデザートワインと呼ぶ。従って大部分の酒精強化ワインはデザートワインと区別されるが、あまりアルコール度数の高くないペドロ・ヒメネス(Pedro Ximenez)やミュスカ・ド・ボーム・ド・ヴニーズ(Muscat de Beaumes-de-Venise)などは便宜上デザートワインに含まれている。

一方アメリカではデザートワインには法的な規格があり、14度以上のアルコール分を含有する(酒精強化を含む)ワインはこれに全て該当する。デザートワインにあたる酒類には通常のワインよりも高い税率が適用される。これはアメリカのデザートワインが専ら酒精強化によって造られていた時代の名残であり、近代的な醸造法とブドウ栽培によって酒精強化無しで15度以上のアルコール分を実現できるようになった現代では既に時代遅れの区分である。アルコール含量で区分するアメリカのような国がある一方、ドイツのデザートワインのアルコール度数は低く、一般に8-10度程度である。
製法

デザートワインの製法には、高い糖度とアルコール度数を両立できることが要求される。アルコール発酵を経ることでアルコールに変換されるので、この制御が重要となる。ワインの糖度を高くする代表的な方法を以下に示す。

糖度の高い果実を作る。

高糖度品種の選定

日照時間の確保

遅摘み、房の選別、粒の選別


糖分を加える。

発酵前に糖や蜂蜜を加える(補糖)。

発酵後に未発酵の果汁(マスト)を加える(ズースレゼルヴ)。


酵母が糖を使い切らないよう、発酵を途中で停止させる。

アルコールを添加して酵母の働きを止める(酒精強化)。

ソルビン酸を添加して酵母の働きを止める。

濾過遠心分離により酵母と発酵液を引き離す。

加熱により酵母を死滅させる。


脱水して糖度を上げる。

収穫したブドウを干して乾燥させる(ストローワイン)。

果実が凍るまで収穫を遅らせ、水分が氷結して糖分が濃縮されるのを待つ(アイスワイン)。

果実に特定のカビ(灰色かび病菌、Botrytis cinerea)が付いて水分が抜けるのを待つ(貴腐ワイン)。

果実を人為的に凍結させてアイスワインと同様に濃縮する(凍結濾過もしくは低温搾汁、クリオ・エクストラクション)。

果汁を逆浸透膜に通して濃縮する。


自然の甘味結実が制限され、手入れされたブドウ棚。赤ワイン用品種ブラオフレンキッシュ(Blaufrankisch)。

特別な技術を使わなくても、甘い果実を使えばデザートワインを作ることができる。ブドウのいくつかの品種、例えばマスカットモスカートを含む)、オルテガ、フクセルレーベ(Huxelrebe)などは他の品種に比して糖度の高い果実を実らせる。しかしながら糖の蓄積は往々にして芳香成分を犠牲にして進行するため、できたワインは退屈で面白味に欠けるものとなる場合もある。またブドウの生育条件も、最終的な果実の糖度に大きな影響を与える。果実の収穫を完熟まで待つ、あるいは摘果や剪定を行って日照を確保することも重要である。摘果は夏季に余分な房を摘み取り、から送られてくる光合成産物を少数の果実に集約するものである。

アルザスで作られるやや甘口のワインではこれらの自然な製法が駆使されており、このタイプの甘口ワインの代表例である。しかし消費者の多くはドライな辛口のワインか、もしくはしっかりした甘味を持ったワインを望んでおり、自然に任せる手法は時代遅れであるというのが多くの作り手たちの理解である。とは言え、マスカットを使った古いタイプのデザートワイン、例えば南アフリカの著名なデザートワインであるコンスタンシア(Constantia)などは、このような方法で作られていたと考えられている。また特に甘口ワインの製造を目的としなくとも、摘果や剪定による果実の品質管理はブドウ栽培において一般的に広く行われている作業である。
補糖

果汁に糖分を補って、ワインの最終的なアルコール度数を確保することを補糖(chaptalization)という。古代ローマ時代には、ワインの甘味やアルコール分を補うために蜂蜜が添加されていた。しかし現在では補糖はブドウが不作である年に、甘味よりもアルコール度数を稼ぐために加えることが主である。補糖は多くの国で行われているが、自然の甘味か否かを厳しく区別するドイツワインでは、最上級の格付けである QmP(Qualitatswein mit Pradikat)において補糖は一切許可されていない。
ズースレゼルヴ

ズースレゼルヴ(Sussreserve、「甘味の保存」の意)とは、ドイツで採用されている甘口ワインの製造法の一つである。発酵前に果汁の一部を別途保存しておき、発酵完了後に(酵母の働きを止めてから)再びワインに戻す。


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