アイスホッケー
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コンピュータゲームについては「アイスホッケー (任天堂)」をご覧ください。

アイスホッケー(: ice hockey)は、天然または人工氷のスケートリンク上で、スケート靴を履いて行われる団体スポーツ競技。陸上で行われるホッケーの形式を氷上に持ち込んだものである。2チームが長方形(楕円形)をしたリンクの中で、スティック (Ice hockey stick) (長い柄の先端部分に角度をつけ湾曲させた杖状の用具)を用いて硬質ゴムでできた扁平な円柱状の パックを打ち合い、相手方のゴール (Goal (ice hockey)) に入れることで得点でき、その得点を競うゲームで、いわゆる『氷上の格闘技』とも呼ばれている[1]。漢字を当てて氷球(ひょうきゅう)と表記される。2006年トリノオリンピックの試合の模様(動画)

スケートを用いるため、グラウンド上の同種競技と比べ格段に速いスピードが出てゲームをスリリングなものにするが、接触等による危険が高いため全身に防具を装着してプレーを行うことが義務づけられている。

アイスホッケーが盛んな国として、世界ではアメリカカナダロシアスウェーデンフィンランドチェコスロバキア1993年以前、前2国はチェコスロバキア)、ベラルーシラトビアスイスなどが挙げられている。冬季オリンピックなどでこの競技を統括する国際アイスホッケー連盟(IIHF)の加盟国(または地域)は2015年現在で74か国になっている。
歴史『氷上の光景』Hendrick Avercamp (1585-1634)

アイスホッケーの起源については、さまざまな説がある。

16世紀のオランダの絵画(例えば、Romeyn de Hooghe や Hendrick Avercamp の作品)には凍結した運河の上で、市民がホッケーに似たようなスポーツを行っている光景が描かれている。もっとも、これらの絵画で描かれているスポーツは、ホッケーというよりはむしろゴルフポロに近いとする説もある。

スコットランド発祥のシンティ(Shinty)、アイルランド発祥のハーリング(Hurling)、ネイティブアメリカンのチペア族のプレイしたバゲタウェイ(Baggataway)などのスポーツが起源であると考える説もある。これらのスポーツについて近代的なアイスホッケーとの主な相違点を挙げると、シニーやハーリングにあってはゴーリーが不在、スケート靴を履かない点があり、バゲタウェイにあっては出場選手の数が多い点などがある[1]。このほかにもホッケーの原型に当たる競技として、イングランドのバンディ(Bandy)やフィールドホッケー(Field Hockey)、カナダのシニー(Shinny)やリケット(ricket、ノバスコシア)、米国のアイス・ポロ(Ice polo)などが挙げられる。

1763年フランスからカナダ領土を勝ち取ったイギリス人兵士達は、フィールドホッケーの経験と、ノヴァスコシアの原住民が行っていた競技、ラクロスを組み合わせ、凍結した河川、湖、池などでカナダの長い冬の慰みとしたと伝えられる。フィールドホッケーのボールは余りにも飛びすぎて危険だったため、ボールを小さめにして飛ばないように工夫をされたという。またサッカーやフィールドホッケーと同じくゴールの代わりとして氷柱を代用したり、また両チームが均等な人数ならば試合が可能とされていた時代もあった。

近代的なアイスホッケーの起源のみに限定しても、カナダのモントリオールとする説の他、キングストン、ウインザー、ノヴァスコシアなどもその発祥地として名乗りを上げている。初期の屋内リンク

今日行われるような屋内でのアイスホッケーのルーツは19世紀、カナダフィールドホッケーを氷上で行った遊びにあるとされている(モントリオール市の公報には、1875年3月3日に初の屋内試合が行われたとの記録がある)。

1877年には、マギル大学の学生であった、ジェームス・クライトン、ヘンリー・ジョセフ、リチャード・F・スミス、W.F.ロバートソン、W.L.マリー、フランク・パトリック、レスター・パトリックらが、乱雑であった試合に意味を持たせるためラグビーなどのルールを参考にして7つのルールを整備し、地方紙上で発表した[2]。ルール整備によってゲームが洗練されると、アイスホッケーの人気は高まり1883年にはモントリオールの冬祭り(Winter Carnival)の行事に組み込まれるようになった。

この前後からアイスホッケーはカナダ各地で実施されるようになり、1887年にはオンタリオ州でアイスホッケーのリーグ戦も開催された。さらに1896年にはアメリカでも公式戦が開催され、1897年にはカナダ・モントリオールで現在のルールが制定されるなど、アイスホッケーは北米を代表するウィンタースポーツとしての地位を確立した。

1888年に時のカナダ総督スタンレー卿は、この冬祭りを見物した折にこの競技に感銘を受けて、ベストチームに優勝杯を贈ろうと考えたとする説がある(もっとも、彼の妻や子供達の方がこの競技に熱心であったという説も有力である。)。これが今もNHLの優勝チームに授与されるスタンレー・カップの起源とされる。なお、スタンレー卿の子供が本国のイギリスにアイスホッケーに関する知見を持ち帰って、そこからヨーロッパにこの競技が広がったといわれる。

世界初のプロ選手によるリーグ戦ナショナルホッケーリーグ(NHL)は1917年度からカナダで開始され、以来毎年11月から翌年6月にかけてアメリカ、カナダの各地で氷上の格闘技といわれる激戦の数々を開催してきた。また1997年のシーズン開幕戦は初めての海外興行として日本の東京(代々木第1体育館)で「バンクーバー・カナックス vs マイティーダックス・オブ・アナハイム」の試合が開催された。

オリンピックで初めてアイスホッケー競技が実施されたのは、1920年のアントウェルペン(アントワープ)大会。当時はまだ、冬季オリンピックが実施されておらず、夏季オリンピックで実施された。次の1924年大会から冬季オリンピックが開催されたため、アントワープオリンピックのアイスホッケー競技は、夏季オリンピックで実施された唯一の大会である。

1998年長野オリンピックからは、プロ選手の出場が認められており、現在でも冬季オリンピックの大会中でもメイン競技のひとつに挙げられている。
ゲームの概要
競技場

試合は、ホッケーリンクと呼ばれる表面に氷を張った専用の競技場で行われる。

リンクには、中央のいセンターライン(またはレッドライン)とそれをはさんだ2本のいブルーライン(またはオフサイドライン)という3本の太い線があり、他にゴールラインという赤の細い線もある。ブルーラインを境界として、敵ゴール側をアタッキングゾーン、味方ゴール側をディフェンディングゾーン、中間をニュートラルゾーンという。フェイスオフ・スポットは、リンク中央の他に、オフサイドライン手前、アタッキングゾーン、ディフェンディングゾーンでそれぞれ左右に設けられ、全部で9箇所ある。オフサイド、アイシング・ザ・パック、センターラインパスの判定は、この線を基準に行われる。なお、専用リンクの外周はボードと言われるフェンス状の囲いで覆われており、このボードをパックが越えない限りアウトオブバウンズとはならないので、プレーをいたずらに中断させることがなく、またボードの反発を利用したパスを行うことも可能である。

アイスホッケーにおいては、ゴールの裏側においてもプレイ可能であり、他の競技にはない大きな特徴となっている。攻防の要衝となる非常に重要なエリアである。リンク
プレーヤーの人数

氷上に一度に出ることができる選手は、各チーム6名(キーパー1人を含む)までと決められている。その際、選手はスケート靴を着用する。また、危険を伴う競技のため、防具は正しく装着されていなければ出場できない(なお、近代的なアイスホッケーのルールが整備された19世紀後半においては、プレーヤーの人数は当初、各チーム9人であった。1884年にモントリオールでフィギュアスケートの選手からの「あまりホッケーの人数が多いとリンクが傷みやすく危険である」との声を受けて7人に減少し、その後6人となった経緯がある)。

1チームは通常、氷上およびベンチ入りの選手を合わせ、2人のゴールキーパーを含めた18名から23名程度のロスター(登録)選手で構成される場合が多い。控え選手 (Substitute) 、コーチ監督は、リンクサイドのボックスに入る。運動量が多く疲労がたまりやすいので、攻撃陣、守備陣(ゴールキーパーを除く)は、あらかじめセット・ユニット・ラインと呼ばれる組を編成する。競技の特性から長い時間プレーを連続することが難しいため、40秒から50秒程度で組を随時交代しながら試合を行う。
役割


フォワード (アイスホッケー)

ディフェンス (アイスホッケー)

ゴールテンダー(ゴールキーパー)

エンフォーサー (アイスホッケー)(英語版)(別名:fighter、tough guy、goon) ‐ 非公式な役割で、反則や乱暴なプレーが起こされる場面に対応・牽制することを求められる。

キャプテン


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