アイアンキング
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アイアンキング
ジャンル
SF、アクション
脚本佐々木守
監督田村正蔵、外山徹、福原博、枝川弘湯浅憲明
出演者石橋正次
浜田光夫
森川千恵子
右京千晶
堀田真三
村松克己
依田英助
加藤寿
オープニング子門真人「アイアンキング」
エンディング子門真人「ひとり旅」
製作
プロデューサー橋本洋二(TBS)
小林利雄
制作TBS宣弘社

放送
放送国・地域 日本
放送期間1972年10月8日 - 1973年4月8日
放送時間日曜 19:00 - 19:30
放送枠タケダアワー
放送分30分
回数26
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『アイアンキング』は、1972年10月8日から1973年4月8日まで毎週日曜日19:00 - 19:30に、TBS系で放送された宣弘社製作の特撮テレビ番組(全26話)、および作品中に登場する変身ヒーローの名称である。1958年2月から続くTBS・日曜の『タケダアワー』17作目である。

後述の通り映像ソフトの販売はこれまで繰り返し行われており動画配信でもAmazon Prime Video[1]、「BF STREAM」[2]で行われている。
ストーリー

かつて大和朝廷に滅ぼされた少数民族の末裔・不知火一族が、日本の現体制を転覆させるべく巨大ロボットを操り、破壊活動を開始した。この危機に際し、国家警備機構は腕利きだが当局上層部の意向に逆らいがちなエージェント・静弦太郎と、彼のサポート役として霧島五郎を不知火一族の討伐に向かわせる。

五郎は普段、ドジでマヌケで暇さえあれば水をガブガブ飲んでいるが、その正体は国家警備機構の津島博士が極秘裏に開発したサイボーグであり、を動力源とする巨大戦士・アイアンキングへの変身能力を持っていた。五郎は弦太郎が危機に瀕した時には変身して助太刀するが、弦太郎は五郎がアイアンキングであることを知る由もない。

弦太郎と五郎はさまざまな人々との出会いと別れを繰り返しながら戦いの旅を続けた末に不知火一族を倒し、さらに怪獣型ロボットを操るテロ組織・独立幻野党や、宇虫人(昆虫型宇宙人)タイタニアンとの戦いに身を投じてゆく。
特徴

前々番組『シルバー仮面』に続き、宣弘社が制作した特撮ヒーロー番組である[3][4][5][6][7]。『シルバー仮面』を担当した佐々木守が本作品にも参加し、全話の脚本を執筆した[4][5][7]。実制作も『シルバー仮面』と同様に日本現代企画が担当した[8]

『シルバー仮面』がヒーロー番組としては重い内容であった反省から、本作品では弦太郎と五郎の能天気な凸凹コンビの珍道中を基本とし、コミカルなやりとりや軽快なアクションが志向されたが、敵組織に「権力闘争に敗れた反体制派」が存在したり、多くの人を守るためには1人の命を犠牲にするのもやむなしという、反権力的な立ち位置の佐々木らしい「権力(弦太郎は国家公務員である)の非情さ」など、その世界観は特撮ヒーロー番組としては異彩を放っている[5]。また、佐々木は「主人公と組織の距離が近いと怪獣(=事態)に対するリアクションや台詞回しなども組織の一員としての紋切り型なものが多くなってしまい、演じる役者もつまらないだろうと思ったので、主人公側は組織から極力遠ざける設定にした」と後年に述懐している[要出典]。敵は佐々木が唱えていた「日本原住民」の思想がかなり反映されており、佐々木の反天皇制の思想もストーリーに組み込まれている部分もある[9]

主演を務めたのは放映当時、歌手・俳優としてアイドル的な人気を誇っていた石橋正次と、吉永小百合の相手役として数々の日活作品で活躍した浜田光夫という、ヒーロー番組としては異色かつ豪華な組み合わせである。石橋は本作品以前に『君たちは魚だ』(1972年4 - 8月放映)への出演で佐々木脚本とは縁があり、「オファーがあった時は『ヒーローものなんて…』と思ったが、脚本を佐々木さんが書くと聞いたので出演した」と後年に述懐している[10]。また、「佐々木が全話を担当すること」を出演の条件としたとされる[注釈 1]

浜田と佐々木は1970年に佐々木の作品であるテレビドラマ『お荷物小荷物』に出演して以来の交友があり[15][13]、石橋は「経験豊富な浜田さんが共演者だったから、自分はのびのびやれた」と語っている。

この他本作品は夏純子大川栄子岡崎友紀坂口良子など、当時の人気女優や女性アイドルがゲスト出演しているのも特徴である。これについて宣弘社社長の小林利雄は「かなり話題にはなったものの、製作会社としては逆に辛かった」と述べている[16]

田村はそれまではスポットでの監督参加が多かったが、本作品で初めてパイロットを務めた[6]。これについて、田村は『シルバー仮面大全』では佐々木守に全話執筆を依頼する代わりに要望された旨を述べている[14]が、『宣弘社フォトニクル』では『シルバー仮面』での働きを橋本洋二に認められたためとしている[6]

本作品はいわゆる変身ヒーローものらしからぬ雰囲気を多数持っているが、特撮ヒーロー番組の爛熟期を迎えていたことから、類似作品との区別を図り、他にも多くのパターン破りを行なっている[17]。その最も象徴的な一例が、「物語の主人公は番組タイトルのヒーロー・アイアンキング(霧島五郎)ではなく静弦太郎である」というもので[18]、この「ヒーローは主人公のピンチを救う相棒、しかも主人公は相棒の真の姿を知らない」という設定は、本作品と同じ宣弘社製作、タケダアワー枠のヒット作『隠密剣士』における「秋草新太郎(主人公)と霧の頓兵衛(相棒)」の関係をヒントにしている[19][20][11][5][17][6][7]

アイアンキングには「水をエネルギー源としているが、その消耗が激しいために活動時間が短い」という弱点が設定されており、設定上の活動可能時間は1分間である。このため、シリーズ序盤(特に第1話から第10話までの不知火一族編)では、弦太郎の助っ人として登場したはずのアイアンキングが逆にピンチに追い込まれてしまい、弦太郎の反撃によってひとまずその場を凌ぎつつ、再戦時に弦太郎とともに敵組織の怪獣やロボットを撃退するという展開が多く見られた。これは視聴者に生身のヒーローという親近感を持ってもらうこと[21]や、「1回の放送でアイアンキングを2回登場させることにより、見どころの多さをアピールする」という効果を考えての設定であり、第15話までは敵にとどめを刺すのは必ず弦太郎だった。

第16話のトラギラス戦では、戦闘中に弦太郎が気絶してしまったため、初めてアイアンキングが単独で敵を倒している。これ以降は「弦太郎とアイアンキングが互いに支援しながら敵と戦うが、最後に敵怪獣やロボットを倒すのはアイアンキングの役目」という特撮変身ヒーロー番組の王道的なストーリー展開も多く取り入れられた。ただし、アイアンキング自身については劇中で「新しい必殺技を習得した」あるいは「強化改造を受けた」などの明確な描写が特になく、唐突に新しい光線技を駆使するなどして感覚的にパワーアップを示唆するにとどまっていた。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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