われら
[Wikipedia|▼Menu]

われら
Мы

作者エヴゲーニイ・ザミャーチン
言語ロシア語
ジャンル長編小説ディストピア
ウィキポータル 文学 ポータル 書物
テンプレートを表示


『われら』(ロシア語: Мы)はエヴゲーニイ・ザミャーチンの長編ディストピア小説で、1920年から翌年にかけて執筆された。ソ連本国では発表出来ず、1927年チェコで出版された。ソ連ではペレストロイカ後の1988年になってようやく出版された。.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}ポータル 文学
概要

物語は宇宙船の建造技師Д-503による日記という形式で進められる。26世紀、全世界は『緑の壁』に覆われ『恩人』が支配する『単一国家』によって統治されていた。そこではガラス製の集合住宅、道路には盗聴器が仕掛けられ、空には監視用の航空機が飛行するなどプライバシーは一切無かった。全ての住民に番号が割り振られ、同じ時間に目を覚まし、毎日同じ制服を着て合成食料を食べ、命令された通りに仕事をし、性行為さえ当局が関与する完全な管理社会であった。

主人公であるД-503を含め、そういう社会を誰も疑問視せずに統制された生活を送っていた。ところが、一人の女性I-330が国家転覆を企てていると知ったД-503は次第に感化され、科学だけでは割り切れない人間の行動や感情を取り戻して行く。しかし、Д-503が製作を手伝った宇宙船インテグラル号が飛行実験を行った直後、密告により計画は失敗に終わり、I-330は拷問・処刑され、Д-503は想像力摘出手術を受けさせられて元の管理された生活に戻されてしまった。

作中で出てくる『守護局』はチェーカー、『守護者』はチェキスト、『恩人』はレーニンを暗示している。
登場人物

Д-503 - 宇宙船の技師

I-330 - Д-503を誘惑する女性。『単一国家』の転覆を狙っている。

О-90 - Д-503の性行為の相手として割り当てられた女性。

R-13 - Д-503の友人。公開処刑の際に詩を朗読する係でもある。

Ю - Д-503の住居のエントランスを監視する女性。

S-4711 - Д-503の前に現れる『守護者』。体がS字にカーブしている。

恩人 - 『単一国家』の支配者。

評価.mw-parser-output .ambox{border:1px solid #a2a9b1;border-left:10px solid #36c;background-color:#fbfbfb;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .ambox+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+link+.ambox{margin-top:-1px}html body.mediawiki .mw-parser-output .ambox.mbox-small-left{margin:4px 1em 4px 0;overflow:hidden;width:238px;border-collapse:collapse;font-size:88%;line-height:1.25em}.mw-parser-output .ambox-speedy{border-left:10px solid #b32424;background-color:#fee7e6}.mw-parser-output .ambox-delete{border-left:10px solid #b32424}.mw-parser-output .ambox-content{border-left:10px solid #f28500}.mw-parser-output .ambox-style{border-left:10px solid #fc3}.mw-parser-output .ambox-move{border-left:10px solid #9932cc}.mw-parser-output .ambox-protection{border-left:10px solid #a2a9b1}.mw-parser-output .ambox .mbox-text{border:none;padding:0.25em 0.5em;width:100%;font-size:90%}.mw-parser-output .ambox .mbox-image{border:none;padding:2px 0 2px 0.5em;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-imageright{border:none;padding:2px 0.5em 2px 0;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-empty-cell{border:none;padding:0;width:1px}.mw-parser-output .ambox .mbox-image-div{width:52px}html.client-js body.skin-minerva .mw-parser-output .mbox-text-span{margin-left:23px!important}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .ambox{margin:0 10%}}

この節には独自研究が含まれているおそれがあります。問題箇所を検証出典を追加して、記事の改善にご協力ください。議論はノートを参照してください。(2016年6月)

共産主義批判の小説として、ジョージ・オーウェルの『1984年』を三十年近く先行していた事は特筆に値する。西側において、合理主義的世界観に立脚した科学技術への疑問が顕著になるのは1960年代になってからであった。H.G.ウェルズ以降のSFでは科学技術の進歩が人類に幸福をもたらすという前提に立った小説が隆盛を極めた。

ただし、科学技術の危険性というテーマは19世紀のウェルズやジュール・ヴェルヌの作品に既にみられ、SFの初期から存在していたものである。同時代のソ連の作家であるアレクサンドル・ベリャーエフも、科学的道具立てを応用したディストピアものを執筆している。ザミャーチンのオリジナリティは、科学技術そのものの危険性を指摘したことではなく、科学技術と結びついた近代合理主義・設計主義的価値観への批判を示したところにあるといえる。

以上のような評もなされるが、実際には異なる事情がある。

一つには、オルダス・ハクスリーによる『すばらしい新世界』が1932年に出版されている。つまり『1984年』に対し、突然先行して現れていたわけではない。二つには、1917年のロシア革命から1922年のソビエト社会主義共和国連邦の建国に至るまでの出来事がある。ザミャーチンはこれを見ており、そこから着想を得ている。三つには、科学技術の危険性に関するものである。先に書いたように、ザミャーチンは科学技術に対して書いたわけではなく、むしろ人間の理性の危うさについての作品である。この点については作中の集会や像が挙げられる。集会は認知バイアスに関する状況であり、ザミャーチンが見た状況を反映している。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:16 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef