この項目では、遠州弁の連語について説明しています。日本放送協会のテレビドラマについては「やらまいか!」をご覧ください。
遠州弁が話される旧遠江国(赤)
やらまいか(英語: yaramaika、IPA: /ja?amaika/)は、遠州弁の連語の一つ。共通語では「やろうじゃないか」[1]という意味である。遠州っ子の気質や遠江国の風土を代表する言葉としても知られている[2]。 日本語の方言の一つである遠州弁は、かつての遠江国(遠州)、のちの静岡県の西部を中心に使用されている。「やらまいか」とは、この遠州弁の連語の一つであり、共通語では「やろうじゃないか」[1][2]という意味にあたる。「やってやろうじゃないか」[3]あるいは「とにかくやってみよう」[1][2]といった気概や心情 静岡県は7777平方キロメートルに及ぶ広大な県域を持ち、かつての遠江国(遠州)、駿河国(駿州)、伊豆国(豆州)の3つの令制国によって構成されている。3か国の寄り合い所帯であるため、同じ静岡県でも旧遠江国、旧駿河国、旧伊豆国では県民性が大きく異なっているとされている[8]。かつての遠江国である静岡県の西部では、新しい物事に積極果敢に挑戦する進取の気風が根付いており[1][3]、起業家精神に富むとされる[1]。これらを表す言葉として「やらまいか」が挙げられている[1]。 一方、かつての駿河国である静岡県の中部および東部の一部は、新しい物事に対して慎重で保守的な傾向が強いとされる[8]。それを端的に表しているのが「遠州のやらまいか、駿河のやめまいか」という言葉である。新しい物事に対して「やらまいか!」(=「やろうじゃないか!」)と積極的になるのが遠州っ子、「やめまいか」(=「やめようじゃないか」)と消極的になるのが駿河っ子、というわけである。同様に「浜松のやらまいか、静岡のやめまいか」[5][8]という言い回しもあるが、これは西部を代表する都市である浜松市と、中部を代表する都市である静岡市の市民性を比較した言葉であり、「西部のやらまいか、中部のやめまいか」も同様の意味である。 静岡県の西部では、「やらまいか精神」と称される挑戦を重んじる気風が根付いており[1][3][9]、起業家活動を支援する者も多く[9]、他郷出身者も受け入れる地域の開放性も備わっていた[9]。これらの風土の下で起業家や研究者を多く輩出してきた[1]。その結果、静岡県の西部において、音楽産業、輸送用機器産業、光・電子産業といった様々な分野で数多くの企業が産声を上げた[3]。 やらまいか精神が起業家に与えた影響についての論考は、ジャーナリストの梶原一明が嚆矢とされる。梶原は『超合理経営の発想』をはじめとするやらまいか精神について論じる書籍を多数上梓している[10][11][12][4][13][14]。そのほかにも、経営学者の伊丹敬之や実業家の晝馬輝夫による著作をはじめ[15][16]、経済学者の太田耕史郎の著作などが知られており[17]、地域経済学などの学術研究にて静岡県西部の起業家活動を論じる際に言及されることが多い。 このような背景により、静岡県の西部から多様な起業家が次々と現れた。その結果、静岡県の西部においては、繊維産業、繊維機械産業、工作機械産業、楽器産業
概要
住民性
起業家精神山葉寅楠が創業した日本楽器製造の流れをくむヤマハの本社(静岡県浜松市)河合小市が創業した河合楽器製作所の本社(静岡県浜松市)鈴木道雄が創業した鈴木自動車工業の流れをくむスズキの本社(静岡県浜松市)[注釈 1]山葉寅楠が創業した日本楽器製造から分社化され発足したヤマハ発動機の本社(静岡県磐田市)豊田佐吉が創業した豊田自動織機製作所から分社化され発足したトヨタ自動車工業の流れをくむトヨタ自動車の本社(愛知県豊田市)