もつ
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この項目では、食べ物について説明しています。歌手については「motsu」をご覧ください。

もつとは、鳥獣肉の臓物(ぞうもつ=内臓)のこと。

「ホルモン」[注釈 1]、「畜産副生物[注釈 2]、「内臓肉」、「バラエティミート」、「ファンシーミート」とも呼ばれている。

広義には、臓物全般を指す。この場合、肝臓心臓を「赤もつ」、を「白もつ」と呼んでいる。狭義には「小腸」を「もつ」「ホルモン」と呼ぶ。「Offal」は、食料に使う動物の各種臓物を指し、「Organ Meats」は消化器系の内臓を指す。
もつの分類牛肉豚肉鶏肉も参照

心臓:「ハツ」「ハート」「ココロ」「ヘルツ」

動脈:「コリコリ」「ハツモト(心臓付近の動脈)」「タケノコ」「ヨメナカセ

気管:「ウルテ」「フエガラミ」

肺臓:「フワ」「フク」「プップギ」「バサ」「ホッペ」

食道:「シキン」「ネクタイ」

肝臓:「レバー」「キモ」「血肝(鶏の肝臓)」

:「ミノ(牛の第一胃)」「ハチノス(牛の第二胃)」「センマイ(牛の第三胃)」「ギアラ(牛の第四胃、赤センマイとも)」「ヤン(ハチノスとセンマイの繋ぎ目)」「ガツ(豚の胃)」「砂肝(砂嚢。砂ズリと呼ぶ地方もある)」

脾臓:「タチギモ」「チレ」

膵臓:「シビレ(牛の胸腺を含む)」

腎臓:「マメ」

乳房:「チチカブ」「オッパイ」

横隔膜:「ハラミ(=アウトサイドスカート Skirt steak、腹側の肋骨に接する部分)」「サガリ(=ハンギングテンダー Hanging tender steak、背側の腰椎に接する部分)」

小腸:「コプチャン(小腸)」「ホルモン[注釈 3]」「コテッチャン」「マルチョウ(小腸の一種)」「シロ(牛の小腸)」「ヒモ」「ホソ」

大腸:「テッチャン(大腸)」「ホルモン」「シマチョウ」「シロ(豚の大腸)」

直腸:「テッポウ

子宮:「コブクロ」

卵巣:「キンカンの腹卵)」

精巣:「ホーデン」「タマ」

卵管:「タマヒモ(鶏の卵管と腹卵)」

以下は日本畜産副産物協会では畜産副生物として扱っているが、厳密には臓物ではないので、もつとは区別される場合もある[2]

:「タン」「ツンゲ」

:「ホホ(ホホニク)」「カシラ」

:「ノドスジ」「ノドシビレ」「ドーナツ(豚の喉仏)」「ウタゴエ(喉の軟骨)」「ワッカ」

:「ミミ」

アキレス腱:「スジ[注釈 4]

:「テール

豚足:「トンソク」「テビチ」

栄養価

タンパク質脂肪分、11種類のビタミンと8種類のミネラルを豊富に含んでいる。コラーゲンも豊富に含まれており、経口摂取すると、消化器官で消化分解されてアミノ酸として吸収されたのち、血流に乗って全身に輸送されていき、身体づくりの材料として使われる。なお、コラーゲン自体は動物性食品全般に豊富に含まれており、もつ肉に限った話ではない。
流通と保存性

内臓肉は常温では腐敗速度が速いので、正肉と比較して保存が悪く廃棄物とされていた。牛の正肉の場合、「死後硬直を経て1週間から3週間くらい経過してからのほうが美味となる」とされている[3]が、それに比較して内臓肉は、上記のとおり保存性が悪い。これを食用とするためには基本的には新鮮なうちに食べるのがよく、店で売ったりある程度の期間保存したりする場合には冷凍をする。肉食動物が獲物を捕らえて食べる際には、その獲物の内臓から食べ始める。

食肉卸売業のセリを通らずに供給されることや、保存性が低いことから[4]安価である。
食品衛生的観点

屠殺から解体までの間に、牛の消化管内の細菌や解体作業環境中に存在しているサルモネラ、糞便系大腸菌群、腸管出血性大腸菌、カンピロバクター( C. jejuni , C. coli )のような食中毒の原因となる細菌が付着しているが、加熱調理が必須であるため、内臓肉はそのまま流通している[5]

もつを食べたことが原因と思われるE型肝炎の症例が報告されており、十分な加熱調理と調理器具や手・指の消毒・洗浄が重要である[6]
日本におけるもつ
歴史

日本においては7世紀に内臓を食する料理が存在しており、肝臓は肝(きも)、胃袋は?(みげ)と呼ばれ、塩辛にして食べられていた。

7?8世紀頃に編まれた『万葉集』には「我が宍は御膾はやし、我が肝も御膾はやし、我がみげ(胃)は御塩のはやし」と、鹿の肝臓をに、胃袋を塩辛にして食べたことが記されている[7]。また、9世紀頃の字書『新撰字鏡』には食用であるかは分からないが「?/肚也、牛百葉、三介又三乃」と書かれている。

935年(承平5年)に編纂された辞書『和名類聚抄』には、「屠児が牛馬を屠り肉を取り鷹?の餌とする」との記述がある[8]

1933年、戦時の食糧難対策として発行された『非常時に於ける栄養食に就いて』には、牛の心臓を短冊形に切ってバターでよく炒り、ブラウンソースの中で野菜と一緒に長時間煮込み、コショウで味付けする方法が提示されている[9]。また、大阪市道頓堀弁天座にあったフランス式料理店で今藤長太郎は、家畜内臓料理を提供している[9]

1935年に発行された『国民百科大事典』には、鶏の内臓を鍋にして食べる方法が記されているが、「獣類の臓物も近来漸く知られ、之等の特殊の栄養価値が認められるに至った」とあり、あくまでも西洋料理として紹介されている[10]

第二次世界大戦が終わって間もない頃は、内臓肉は精肉より劣化が早く、独特の外見や匂いがあることから消費者の好みが分かれるものであり、一般の人々が口にしたり店頭で見かける機会は少なかった。しかし、居酒屋のメニューとしてしばしば用いられるようになり、各地に特徴のあるもつ料理が開発されるようになる。一時期はもつ料理・もつ鍋がブームとなったが、2000年代初めにBSE問題が発生して以降、(特に牛もつ系について)ブームとしては急速に衰退した。
料理もつ各種もつ焼きもつ煮込

ホルモン焼きもつ・もつを直火であぶり焼いて食べる焼肉や、鉄板上で焼いて食べる鉄板焼が代表的。

焼き鳥(さらに牛・豚)のもつを串に刺し、たれや塩をつけてあぶり焼いたもの。地方によっては、豚肉を用いた焼き鳥をやきとんともいう。1920年頃から食べられていた[11]

もつ煮[12]:豚もつ(もしくは牛もつ)を野菜やこんにゃくと共に味噌味または醤油味で煮込んだもの。

もつ鍋:牛・豚・鶏のもつをニラキャベツと一緒に煮込んで食べる鍋料理。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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