めぞん一刻
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この項目では、高橋留美子の漫画、ならびにそれを原作とする関連作品全般について説明しています。アニメ化作品については「めぞん一刻 (アニメ)」をご覧ください。

めぞん一刻
ジャンルラブコメ青年漫画
漫画
作者高橋留美子
出版社小学館
掲載誌ビッグコミックスピリッツ
レーベルビッグスピリッツコミックス ほか
発表号1980年11月号(創刊号) - 1987年19号
巻数単行本・新装版:全15巻
ワイド版:全10巻
文庫版:全10巻
コンビニ版:全6巻
話数全161話
映画:Apartment Fantasy めぞん一刻
原作高橋留美子
監督澤井信一郎
脚本田中陽造
音楽久石譲
制作東映キティ・フィルム 
配給東映
封切日1986年10月10日
上映時間97分
ドラマ
原作高橋留美子
監督本木克英(浪人編)
赤羽博(完結編)
脚本岡田惠和
音楽周防義和
制作テレビ朝日東北新社クリエイツ
放送局テレビ朝日ほか
放送期間2007年5月12日 - 2008年7月26日
話数全2話
アニメ作品一覧


テレビアニメ(1986 - 1988)

OVA

移りゆく季節の中で(1988)

一刻島ナンパ始末記(1991)


劇場版

めぞん一刻 完結篇 (1988)


テンプレート - ノート
プロジェクト漫画映画テレビドラマ
ポータル漫画映画テレビドラマ

『めぞん一刻』(めぞんいっこく、ラテン文字表記: Maison Ikkoku[1])は、高橋留美子による日本漫画。『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)にて、創刊号である1980年11月号から1987年19号まで連載された。2007年5月時点で累計発行部数は2500万部を記録している[2]

「時計坂」という町にある「一刻館」という名の古いアパートの住人・五代裕作と、管理人としてやって来た若い未亡人・音無響子を中心としたラブストーリー。人よりも苦労を背負い込んでしまう世渡り下手な青年・五代裕作と、生来の鈍感さと亡き夫へ操を立てるがゆえの真面目さを合わせ持つ、美貌の管理人・音無響子の織り成す恋愛模様を描く。

1986年にはテレビアニメ化。同年10月には実写版映画が公開された。また、1988年には劇場版アニメが公開されたほか、OVAも製作された。さらに2007年にはテレビドラマ化もされた。
物語

非常に古い木造アパート「一刻館」に新しい管理人、音無響子がやってきた[3]。5号室に住む浪人生の五代裕作は可憐な彼女に恋をする[4]。うら若い未亡人の管理人と年下の下宿人、ふたりの淡い恋愛模様を中心に、個性的な人々が集う一刻館の賑やかな日常を描く。
序盤
響子は夫の惣一郎を1年前に亡くし、未だ気持ちの整理がつかないでいた[5]。一刻館の大家である義父が彼女にこの仕事を薦めたのは、少しでも寂しさが紛れればという心遣いだった[6]。一刻館の住み込み管理人として働き始めた響子は、多忙な毎日を過ごす[7]。裕作の想いは知りながらも、いつも素知らぬ態度ではぐらかす[8]。それでありながら彼がガールフレンドと親しげにしているのを見聞きするとつい、やきもちを焼いてしまう[9]。他の住人たちは冷やかし半分、裕作の部屋に押しかけては彼の恋路の一喜一憂を酒の肴に連日宴会騒ぎをして楽しそうだ[10]。そしてもう一人、響子はテニススクールで知り合ったコーチの三鷹瞬からも熱心なアプローチを受けるが、一向に答えは出そうにない[11]
中盤
歳月を重ねる中で彼らはそれぞれの岐路に立つ。大学を卒業し、就職浪人を経験した裕作は周囲の人達に助けられながら保育士を目指す[12]。犬が大の苦手だった三鷹は犬好きの見合い相手にベタ惚れされ、ひょんな勘違いが元で彼女にプロポーズするに至る[13]。しばらく続いた裕作―響子―三鷹の三角関係だが、徐々に響子は自らの裕作への想いに素直に向き合おうとする。ところが、それでもすれ違いの関係は続き、裕作とのもどかしい距離を縮めて楽になりたいと考えた響子は自ら彼に体を委ねる決意まで見せるが、裕作が響子の亡き夫を意識してしまったために不調に終わる。しかしながら、すでに二人ともお互いの気持ちが確かであると自覚する段階へと達していた。一刻館で二人きりとなったその晩、ついに結ばれて共に朝を迎えた裕作に対して、ようやく響子は本当はずっと好きだったことを告白するのであった[14]
終盤
裕作との結婚を控え、響子は惣一郎の遺品を義父へ返すことにしたが、それは響子なりのけじめと裕作の気持ちを配慮してのことであった。遺品返却を報告するために響子は惣一郎の墓前へ赴くが、そこには偶然にも裕作がいた。惣一郎の墓前で裕作は、出会った時に既に響子は心に深く惣一郎を刻んでおり、そんな響子を自分が好きになった、だからそれゆえに、響子の惣一郎への想いをも全て含めてずっと響子を愛していくことを誓う。その裕作の言葉を気付かれぬ場所で耳にしていた響子は、裕作と出会えたことを亡き惣一郎は喜んでくれると確信する。改めて裕作の前に立った響子には、裕作と新しい人生を歩んでいくことに迷いは無かった。惣一郎の遺品について裕作は無理に返さなくて良いと言ってくれたのだが、響子は「いいの。……これでいいの。」と毅然と言い、惣一郎の墓前で改めて裕作との出会いに感謝するのであった[15]
エピローグ
結婚後も裕作と響子は一刻館で暮らしている。翌年の春には長女、春香も生まれた。しばらくは共働きで、管理人の仕事も続けるつもりでいる。裕作は早々に新居を探すつもりでいたが、引っ越し代も馬鹿にならないというのが響子の言い分である。何よりここは、ふたりが初めて出会った場所なのだ[16]
作品解説
時代背景・場所

時代は連載と同じく進行し、1980年代の初期から後期にかけて。連載当初はアメリカ経済の行き詰まりによる輸出の停滞など不況の真最中であり、不景気というセリフが何度か出るなど描かれる世相にも浮ついた雰囲気は全くない。バブル経済下での売り手市場の就職戦線はまだ到来しておらず、「名前を出したとたんに人事担当者に急用ができる」レベルの無名大学出身の五代も就職浪人を経験することになる。

舞台は架空の時計坂という街であるが、描かれる風景は西武池袋線東久留米駅の北口の一帯がモデルではないかと指摘されている。連載当初、作者は東久留米市に居住していた。例えば「時計坂駅」は東久留米駅の各所がモデルとなっており、同駅の特徴が見て取れる[17][注釈 1][注釈 2]。連載当時の東久留米駅は現在の北口駅舎しかなく、原作中にみられる時計坂の描写の多くは、東久留米駅北口から徒歩数分圏内の町並みをモデルに作画されていることが愛好家らの研究[18] により発見されている。一刻館のモデルは、高橋が大学生時代の中野のアパートの裏にあった、大学の寮らしいと言われていた「アパート形式の変な建物」で、「割れた窓ガラスに本が差し込んであった」「玄関の上の部屋の窓には剣道の籠手と面が乾してあった」。狭い道がその建物への生活道路に接道していた通路で、高橋の部屋に面していたが「トランシーバで通路と部屋とで話していたが、大声で丸聞こえで怒鳴りあってるだけで、無線機の意味がない」など変なエピソードが続き、たたずまいは一刻館と似ている[19]。キャラクターは全て自分で作ったもので、モデルはない[19]。2009年8月1日の12時から17時までの5時間だけ、駅舎改築での取り壊しを前に地元商店街のイベントと連動して東久留米駅北口駅舎の駅名表示を時計坂駅に変更していた(その後2010年に駅舎は建替え)。しかし、物語が完結してからすでに30年以上経っているため、現在の町並みからその面影はわずかに確認できる程度である。なお、作者は当作品の連載中に、同じ西武線沿線の練馬区に転居しており、それと時を一にして東久留米の町並みが描かれることはほとんどなくなり、物語の初期と後期とで描写の違いが見られるようになる[注釈 3]。中期頃の原作に郵便物で「東京都練馬…音無響子様」(61話)と描写されるシーンが登場する<。 なお、「めぞん一刻」という名前のアパートは都内に実在するが、近年大手ディベロッパーにより新築物件に命名されたアパート名であり、当作品の連載経緯とは直接関係はない。

@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}1970年代に山本晋也監督の「未亡人下宿」シリーズと呼ばれる日活ロマンポルノの連作がヒットしたが、成人誌への連載であることから、作品の設定に何らかの影響があったのではないかと指摘する声がある[要出典]。なお、作品中五代が悪友の坂本に「未亡人三本立て」を上映中の成人映画館に「お前の好きなやつ」と誘われ、怒る場面がある。

アニメ化に際して、中央・総武緩行線の列車が登場したこともある[注釈 4]。アニメ31話では「立川」、「津田沼」の行き先を出した電車が描かれており、92話では「西船橋」の方向幕を出した電車が描かれているが、その一方で原作の舞台を走る西武線の車両も登場しており、アニメ47話では、特急レッドアローと思しき電車が時計坂駅前の踏切を通過するシーンがある。

アニメでは「都内時計坂市時計坂町1-3-10」と書かれた手紙が54話、61話に登場した(劇場版アニメ『めぞん一刻 完結篇』においては「〒177 東京都練馬区時計坂三-三-九」と記されている)。

物語は、超人的な設定や、それまで作者が得意としていたSF色を一切排し、主人公の五代と管理人の二人の視点でアパートを舞台に繰り広げられる人情ドラマであり、転居するまで他の住人の影響を強く受けざるを得ないアパートの日常を描くという内容だった。その後、恋愛物語へと方向性を修正し作者が得意とするシチュエーション・コメディとなり、すれ違いと誤解の繰り返しが各話の基本構造となっている。当時はすでに固定電話(いわゆる黒電話)が普及していたが、五代は経済的余裕がなく電話を引けず、当初は管理人室の電話で取り次ぎを依頼し、すぐに共用ピンク電話)が備えられた。なお6号室、2号室にも電話が引かれているが、その電話が使用される場面は1回しかなかった。裕作と、そのガールフレンドのこずえと響子の三角関係においてこずえから五代宛てにかかってくる電話をめぐって起こるトラブルを楽しむ悪癖を持つ住人らが取り継ぐなど、携帯電話・スマートフォンが広く普及した現在ではまず考えられないシチュエーションから生ずる数々のすれ違いと誤解、住人たちの干渉などは、物語のための大きな舞台装置となっている[注釈 5]
登場人物の特徴

登場人物はそれぞれが際立った個性を持ち合わせている。「非常識のかたまり」とも言える一刻館の住人をはじめとして、アクの強いキャラクターたちが織り成す奇妙でおかしな行動の数々も、物語の重要な要素である。

住人の苗字には、居住する部屋番号と同じ数字が入っている。また、ヒロインの響子の姓は零を意味する「無」を含んでおり、旧姓は千草である。住人以外の三鷹瞬、七尾こずえ、八神いぶき、九条明日菜にも、苗字に数字が入っている。ただし作者いわく、住人の苗字と部屋番号を一致させる点は意識していたが、それ以外の登場人物に関しては偶然とのこと。ファンレターにて、音「無」を零と捉えると登場人物が数字でつながっていると指摘され、初めて気が付いたという(※2017年18号週刊少年サンデー、サンデー非科学研究所)。

際立った個性をもつ典型的なキャラクターを使い、回話ごとにキャラクターを軸に物語を展開させる手法はコメディの正統にあり、主要登場人物のキャラクターの系譜は他の高橋作品にもしばしば登場している。
作品のきっかけ

高橋が大学の卒業の目途が立って少しゆとりができて、前の『うる星やつら』の担当者が青年誌に転勤して声を掛けられ、アパートものがしたかったので当時住んでいた中野のアパートの裏にあった学生寮らしい建物のたたずまいと雰囲気のみを舞台に引いた。オリジナルキャラクターで、豊かではないが底辺でもない当時の人々の生活の人間模様で喜劇を描いてみた[19]。当初は恋愛作品の予定ではなかったという。初期には浪人の五代を一刻館の住人がからかうストーリーが多かったが次第に恋愛中心のストーリーになっていった。この下宿は1980年の春に取り壊され、連載を決めたときにはすでに建物はなかった[20]
登場人物
一刻館の住人
五代 裕作(ごだい ゆうさく)
声 -
二又一成渡辺久美子(幼少期)、櫻井孝宏(CRめぞん一刻版)本作の主人公[21][注釈 6]。一刻館5号室の住人。善良で心優しいが、押しが弱く優柔不断、トラブルに巻き込まれやすい。
概歴
血液型はA型[22]。両親は健在で故郷で定食屋を営んでいる。高校卒業後、浪人生として上京し、一刻館に入居する。当初は一刻館の非常識な他の入居者に馴染めず、頻繁に転居を決意しては断念する日々であったが、管理人として赴任した音無響子に一目惚れして住み続けるようになった。1年間の浪人生活を経て三流私立大学に合格。大学では教育学部に在籍し、響子の母校である高校で国語科教育実習を行ったが教職に就く意思はなく、就職活動は全て一般企業であった。大学を卒業するが、就職内定していた企業が倒産してしまったために就職浪人することになる。「しいの実保育園」でアルバイトを始め、その経験から保父(現在で言う保育士)を目指すようになる。なお、アニメでは就職浪人しておらず、原作とは大学4年目から1年ほどタイムラグが生じている。人員削減で保育園のアルバイトを解雇された後は、キャバレーにて宣伝部部員(呼び込み)や福利厚生部長(ホステス達の子供の世話係)として働く。2年近く専門学校に通って保育士免許を取得した後、欠員がでた「しいの実保育園」に保育士として正式に採用され、響子に求婚、結婚し翌春に長女・春香をもうける。
人物・エピソード
善良であるが意思が弱く流されやすい性格のため、要らぬ苦労を背負い込み、トラブルに巻き込まれることが多い。大学の合格発表[23] までフルネームで公表されておらず、響子は「五代浪人」が本名だと思っていた[注釈 7]。金魚すくいが得意で小さいころは「お祭り裕ちゃん」と呼ばれていた。高校時代はラグビー部に所属。五代の住む5号室は部屋の荷物が一番少ないという理由で一刻館の住人たちが集まる宴会場にされることが多く、試験勉強中などは、度々住人に邪魔されたりからかわれたりしていた。朱美と四谷曰く、五代は「一刻館の玩具」。また、響子が高校生時代の制服を着たことから始まったコスプレ宴会では、後述の花枝に促される形ながら高校時代の学ランを着て参加していた(原作第51話・アニメ第37話)。手先が器用で、大学1年秋に成り行き上所属した人形劇サークル(入部当初を除き全くサークルには顔を出さなかった)では人形を、キャバレーではホステスの子供達のために積み木等の玩具を作ったりもした。物語当初は喫煙する描写があるが、途中から無くなる。アニメ版では響子のために禁煙したと発言している。妄想癖があり、響子のことを考えるたびに妄想してはしばしば壁や電柱などに頭から突っ込んでいく。響子に対しては「管理人さん」と呼んだり「響子さん」と呼んだりしていたが、響子と結ばれてからは「管理人さん」とは呼ばなくなり、最終話で挙式後は「響子」と呼ぶようになった。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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