みんな〜やってるか!
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みんな?やってるか!
Getting Any?
監督
ビートたけし
脚本ビートたけし
出演者ダンカン
白竜
ビートたけし
撮影柳島克己
編集太田義則
配給日本ヘラルド映画
公開 1995年2月11日
上映時間110分
製作国 日本
言語日本語
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『みんな?やってるか!』(英題:Getting Any?)は、1995年公開のビートたけし監督によるコメディ映画

「北野武」名義も含めた場合は5作目に当たる。それまでは「北野武」名義で映画監督を行ってきたが、初のコメディ作品となる本作は「ビートたけし」名義での製作となった[1]。そのため「ビートたけし第一回監督作品」と銘打たれる(日本国外では、北野武名義の作品となっている)。

淀川長治は「斎藤寅次郎マック・セネットの再来」と評価した。
作品解説

「女とヤリたい」というモヤモヤした欲望から、主人公・朝男が異常な行動へ駆り立てられていくさまを描いた映画である。

"帝銀事件"、"三億円事件"といった史実事件から「座頭市」「ザ・フライ」などの創作ものに至るまで様々なパロディが作中に展開された。

バイク事故を起こす直前に完成、復帰後に公開された。北野映画初のコメディとして注目された映画であるが、たけし自身が「反応自体がない」「良いという評判もないけれど、要は悪口も聞かなかった」[2]と語るように反応は薄かった。

その一方で、監督自身はロシア版での映画の特典インタビューにて、「自分の部屋で一人でお酒飲みながら見てるとこれほど楽しい映画はない」「いままで十本映画Dollsまで撮った[3]んだけれども、そうですね、3本の指に入る大傑作だと思うね」「お笑い自体も馬鹿にした」「ギャグ自体もいい加減に作ったという一周りしたらとんでもない前衛的な作品」[2]と肯定的な評価を述べている。また自身で「世界の北野の原点、これがオイラのワースト3」として本作を『夏の秘密!』『コミック雑誌なんかいらない!』と共に挙げ[4]、「『シベリア超特急』『北京原人』『REX』と並ぶ日本映画四大作」と評している[4]。また、映画評論家淀川長治は、たけしのこの作品に置ける筋立てや演出には、サイレント映画時代の短編コメディの集中上演会であるニコニコ大会と共通する部分が多いと評しており、ダンカンが性的な妄想を行い、それが現実の形として描写される場面などもサイレント映画のコメディ俳優にも類似した演出がしばしば見られたとしている。淀川はたけしが無数の笑いのアイデアを次々に作中に投入しながらも破綻無く仕上げている点が、フェデリコ・フェリーニの「8 1/2」やジュリアン・デュヴィヴィエの「舞踏会の手帖」に通じる所があるとも述べており、たけし流のエロティックな演出を除いては、サイレント時代のコメディの要素と本質的には同じであったと肯定的な評価を残している[5]

「ビーチク(乳首)」や「ポンギー(六本木)」「ルービー(ビール)」、「ナオン(女・女性)」等の業界用語やその他の字幕に映画字幕翻訳者である「戸田奈津子」の名前が登場する。

通常、劇場にて販売される映画パンフレットや、サウンド・トラック盤CDが、存在しない。
あらすじ

モテない青年・朝男はある時AVカーセックスを見て「女にモテるには車だ!」と思いつき、自動車販売店に訪れる。しかし、金がほとんどない朝男は欠陥車を買わされてしまい、その車で何人かの女たちをナンパするがもちろん誰からも相手にされない。その後がっかりした朝男が空を見上げると、飛んでいた飛行機を目にして客室乗務員と親しくなることを思い浮かべる。

しかし金がない朝男は大金を盗むことを考えて銀行強盗しようとするがミスを犯し、その後もあの手この手で金をふんだくろうとするが結局失敗に終わる。女にモテるため今度は俳優を目指すことにした朝男は、映画のオーディションに端役で受かると主役の途中降板により急遽主役に抜擢される。しかしその役は全盲の役で、朝男が役になりきり目を閉じて演技すると、またしてもミスの連続で現場を混乱させてクビになってしまう。

後日セスナ機に乗った朝男はあろうことか同乗した殺し屋を誤って殺してしまい、着陸後出迎えたヤクザたちの勘違いから殺し屋のフリをする羽目に。その後朝男は2つの組の抗争に巻き込まれるが、その場にいた大親分を手違いで死なせて周りがパニック状態になっているすきに何とか逃げ通す。その後朝男が銭湯の前で「女風呂を覗きたいな」とつぶやくと、たまたま通りかかったとある博士から声をかけられる。

その博士は透明人間の研究をしており、研究所に案内された朝男は実験台になり特別な装置を使って見事透明化に成功する。博士が喜んだのもつかの間、姿が見えないことを良いことに朝男は「これで女の裸が見られる!」と、研究所からいそいそと飛び出してしまう。堂々と銭湯の女湯やAVの撮影現場で裸を見る朝男だったが、特殊なゴーグルをかけて追ってきた博士に捕まり再び研究所に連れ戻されてしまう。元に戻った朝男は博士に再び装置に入れられるが、運悪くそこに紛れ込んだハエと合体し巨大な“ハエ男”と化してしまうのだった。
出演者(登場順)
朝男
演 -
ダンカン主人公。女好きだがモテない男。おバカで考えが浅くいつも行きあたりばったりな行動をしており、何をするにもミスが多い。無職なのかは不明だが、金はほとんど持っていない。
ポルシェの男
演 - 沢村一間冒頭のAVの出演男優。夜の街にオープンカーを走らせていた所、路上で出会った女を車に乗せてカーセックスに誘い、その後2人で楽しむ。
ポルシェの女
演 - 立野しのぶ冒頭のAVの出演女優。夜帰宅しようとするがタクシーが通らず困っていた所、偶然通りかかったポルシェの男から車に乗るよう誘われる。
自動車店店長
演 - 日野陽仁朝男から「カーセックスのできる車が欲しい」と言われ、要望に合う車を提示する。真面目そうに見えて結構変わり者な人物。
社長風の男 自動車店の客
演 - 芹澤名人妻と小学校低学年ぐらいの息子と自動車店に来る。息子が高級車にいたずらをして店長に注意されるのを目の当たりにする。
バス停の若い女
演 - 上野美津恵ある時バス停でバスを待っていた所、車で通りかかった朝男から声をかけられる。
朝男の祖父のジジイ
演 - 小池幸次まとまった金が必要になった朝男に騙されて、肝臓と腎臓を医師に売ることに協力する。
臓器移植の子供
演 - 雨空ライポ(〆さばヒカル)・玉袋筋太郎肝臓と腎臓が悪い2人の少年。臓器移植をしてもらえることになり、付き添いであるそれぞれの母親たちと4人で喜ぶ。
鋳物工場のオヤジ
演 - 横山あきお朝男の妄想シーンで登場。川口市の鋳物工場を経営しており、朝男の目的がピストルの密造であることを知らずに作業員として雇う。
鋳物工場のかみさん
演 - 絵沢萌子朝男の妄想シーンで登場。夫との夜の営みをするが、住み込みの外国人労働者が隣の部屋から見ているのもお構いなしに行為に及ぶ。
血まみれのヤクザ・流しの男
演 - 寺島進作中で数回登場する。毎回血を流して瀕死の状態で現れ、偶然通りかかった朝男にその都度自身が持っているものを預かるよう頼む。
強盗
演 - 雨空トッポ(〆さばアタル)銀行で銃で行員を脅して金を要求していた所、偶然にも後から朝男が銀行強盗しに訪れる。
銀行の部長
演 - 久保晶保健所職員を騙る朝男から「近所で伝染病が発生したため予防薬を飲んで下さい」と言われ、マメカラを片手に職員たちの前で乾杯の音頭を取る。
宮路年雄
演 - 宮路年雄(特別出演)本人役(公開当時有名だった電器店社長)。作中では「4,000万円の現金を持ち歩く激安王」と称されており、街中で尾行していた朝男を含めた約20人の男たちから金を狙われる。
石川五右衛門
演 - つまみ枝豆宮路年雄が持つ大金を盗もうとするが、なぜか彼の車の上に乗って見得を切る(見得について詳しくは、歌舞伎を参照)。
二枚目俳優
演 - 坂田雅彦朝男の妄想シーンに登場。飛行機内の座席に座っていた所、ファンの女から声をかけられる。
二枚目俳優のファンの女
演 - 松本コンチータ同じ飛行機で偶然に合わせた二枚目俳優に声をかけてある頼み事をする。
オーディションの審査員
演 - 白竜劇団の新人オーディションを審査するが、変な参加者ばかりで適任者がなかなか見つからず頭を抱える。
腹話術師
演 - ドリームかずよしオーディションに参加し、審査員の前で子連れ狼の設定で腹話術を披露する。
スターリン(トスカルビッチ)
演 - 岡田真澄(友情出演)別のスタジオで撮影中の作品の出演者だが、スタジオを間違えて劇団の新人オーディションの審査会場に来ていた。ロシア軍人の役らしく、作中では常にロシア語らしき言葉で話す。
座頭市の監督
演 - 上田耕一映画「座頭市」の撮影中アクシデントで主役が降板し、現場にいた朝男の“UCLAで演技を学んだ”という嘘を信じて代役に抜擢する。
座頭市の俳優
演 - 高木均大物俳優で映画「座頭市」の主演。


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