みゆき_(漫画)
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みゆき
ジャンル
少年漫画
漫画
作者あだち充
出版社小学館
掲載誌少年ビッグコミック
レーベル少年ビッグコミックス
発表期間1980年17号 - 1984年18号
巻数全12巻
アニメ
原作あだち充
総監督西久保瑞穂
脚本金子裕、西久保瑞穂、柳川茂土屋斗紀雄
大橋志吉島田満、彦坂健二
キャラクターデザイン遊佐和重
音楽ライオン・メリー、天野正道
安西史孝
製作キティ・フィルムフジテレビ
放送局フジテレビ系列→フジテレビほか
放送期間1983年3月31日 - 1984年4月20日
話数全37話
テンプレート - ノート

『みゆき』は、あだち充による日本漫画作品。1980年から1984年まで『少年ビッグコミック』(小学館)で連載された。あだち充の代表作の1つであり、ラブコメディにスポーツを絡めた青春モノを得意とするあだち充作品群の中でも、本作は恋愛のみにスポットを当てている「ラブコメ」の王道作品であり[注 1]、主人公の若松真人とヒロインである2人の「みゆき」の三角関係を主題としている。また本作の漫画連載は、連載当時の実際の時間軸とリアルタイムでほぼ連動しており、作品の中での時季・年月経過と現実の時季・年月経過が同じで進行していた。そのため主人公など登場人物も高校生から受験浪人を経て大学生になるなど現実の時の流れに合わせて成長しており、(連載期間である)1980年から1984年までの4年間が作中で描かれている。

第28回(昭和57年度)小学館漫画賞受賞。本作はキティフィルムによってテレビアニメ化され、1983年3月から1984年4月にかけてフジテレビ系列で全37話が放映された。このアニメ版みゆきは原作漫画の連載途中での放映だったため、原作漫画の後半はアニメ化されていない。また、同じくキティフィルムによる実写映画が1983年9月に東宝系で公開された。さらにはフジテレビと共同テレビの共同制作という形でテレビドラマ化され、1986年8月4日にフジテレビ系列『月曜ドラマランド』枠で放送された。

2020年4月時点で累計発行部数は2500万部を記録している[1]
作品背景

作品の中心となるふたりの「みゆき」という登場人物のアイデアは、あだち充の担当編集者が発案したもので、そのモデルとしたのは歌手の中島みゆきだったという[2]。2022年に出版した講談社の編集者だった石井徹の著書『「少年マガジン」編集部で伝説のマンガ最強の教科書 感情を揺さぶる表現は、こう描け!』には、「ある時○○さん(担当編集者)が中島みゆきのコンサートに行った。そこでびっくりした。中島みゆきの曲はたいがい『暗い』けれど、コンサートでトーク中の中島みゆきは超『明るい』。コンサートが終わって会場の外に出た瞬間、設定が浮かんだのだそうです。『同じ名前で、まったく違う性格の女の子ふたりに、主人公が好かれたら面白いのではないか』と。あとの細かいことは、歩きながら記憶のフラッシュバックのように浮かんだそうです。だからタイトルは『みゆき』なのです」と、インタビューの内容について、このように書かれてある[2][注 2]

なお、あだちは2012年に本作について「単にかわいい妹を描きたかったんですよ。妹がいない自分の妄想です(笑)。で、スポーツ抜きでどれだけもたせられるかなぁ、というところではじめたんですけどね……持ちました!」[3]と改めて語っている。
若松みゆき

担当編集者との打ち合わせにより、「理想の妹」を描くことと、前作『ナイン』ではサブヒロインだった安田雪美のようにガラッパチな妹キャラをメインヒロインに据えることを軸にして、本作の企画が始まった。当時「みゆき」という名前の女性芸能人が複数人活動していた[注 3]ため、作者はヒロインの名を「みゆき」と決定する。

若松みゆきの言動のモデルは、中学生の頃から毎日のように作者の仕事場に出入りしていた女性だという証言がある。本作連載当時は高校生であり、妹のいなかった作者にとって格好の素材となったとされる[4]
鹿島みゆき

設定や人間関係についての打ち合わせを重ねる中、作者は担当から明朗活発な「若松みゆき」だけでなく、しっとりしたもう1人のヒロインがいたほうが良いとアドバイスを受ける。作者はファンであるミュージシャンの「中島みゆき」について、歌のしっとりした面と人柄のガラッパチな面の両方があると担当に語っており、それが担当にヒロインは2人必要だと気付かせるきっかけとなったという。「鹿島みゆき」という名は「中島みゆき」から取られている[5][6][7]
あらすじ

高校1年生の夏休みに、若松真人は友達と一緒に泊まりがけで海辺の民宿にアルバイトに出かける。真人が憧れを抱く同級生の鹿島みゆきも同じバイトに来ており、彼女が自分に気があることを偶然知り、デートの約束にこぎつける。しかし、その直後ある出来事でフラレてしまう。友人たちは落胆する真人に、海で見かけた美少女を誘うようにそそのかす。いい雰囲気になり、デートの約束もした2人だったが、実は彼女は6年ぶりに海外から日本に帰国した血の繋がらない1つ年下の妹の若松みゆきだった。

家に帰ると、妹のみゆきとの2人きりの生活が始まる。真人は若松みゆきはあくまで妹であると、惹かれていく心を制しながら、鹿島みゆきとの関係も良好に続き、2人のみゆきの間で心は揺れつつも高校生活の日々は流れていく。元気な妹みゆきも真人に一途な想いを寄せながらも、真人(と鹿島みゆき)の幸せを最優先に考え、一人の女性・妹という狭間に揺れながら自らの想いを心の中に留めている。

真人は鹿島みゆきとの関係を進展させていこうとするが、男にモテる妹みゆきには、喧嘩は強いが落ちこぼれの間崎竜一や教師の中田虎夫などが寄ってきて、妹みゆきが他の男と付き合うことを許容出来ないでいることもあり、中々思い通りにもならない。2人のみゆきには男からのアプローチが幾度となくあるので、気が抜けない日々を送る。そんな一進一退を繰り返し、色々な出来事もあり成長し、高校卒業、受験浪人を経て大学生となる。

兄妹としての生活は約4年間続き、ある日、幼馴染でありサッカー日本代表のスター選手になった沢田優一が、子供の時以来久しぶりに若松家を訪ねてくる。沢田を兄のように慕っていた2人だったが、沢田は成長した若松みゆきを一人の女として見てしまい、結婚を申し込む。沢田の良い人柄を知っている真人には反対する理由など無い。沢田は若松みゆきの気持ちに内心気づきながらも、次々に話を進めていく。そして迎えた披露宴の最中、真人はついにみゆきに思いを告げる。こうして、沢田との結婚は破談となり、みゆきは真人の気持ちを受け入れる。数か月後、父親のいるフィリピンにて3人で挙式、長年秘めていた愛を成就させる。みゆきは再会当初から真人と血縁関係がないことを知っていたことが、日本にいる竜一とその母との会話からほのめかされ[注 4]、2人も涙を浮かべながら真人とみゆきの結婚を祝福した。

一方、鹿島みゆきは父の勧めで北海道へ傷心旅行をする。そこで彼女は沢田と偶然再会し、失恋した二人の新しい恋を予感させるように物語は幕を下ろす。
登場人物
主人公とヒロイン
若松 真人(わかまつ まさと)
物語の
主人公。青華高校1年A組に所属(その後2年B組、3年B組所属となる[注 5])。妹のみゆき(以下はみゆきと記す)は2人目の母親の連れ子なので、真人との血縁関係はない。ごく普通の高校生だが、母親と2度死別している。それ故、人に対する思いやりが人一倍強い点が最大の長所といえる。軟弱で優柔不断でなおかつスケベで単純な性格ではあるが妹や恋人、友人のために自らの危険を顧みず、幼少の頃、命懸けでサーカスのライオンに立ち向かって行ったり、高校ではトラックに撥ねられそうになったクラスメートの香坂を救ったり、鹿島みゆき(以下鹿島と記す)とのデートの最中に不良グループに囲まれても怯まず抵抗するなど、いざというときに仲間想いで勇敢な一面もある。意中の鹿島が自分に気があることを知ったが、海外赴任中の父親について行ったみゆきがとても魅力的に成長して帰国したため、2人の「みゆき」の間で揺れつづける。みゆきと血縁関係がないことに気づくのは、6年ぶりに妹と再会して数日後のことであり、それまでは実の兄妹と認識してきた。真人は、「みゆきは血の繋がらない兄妹である事実をまだ知らない」と思っているため、それを隠し、表面上は普通の兄妹のように振舞い続ける。とても可愛いみゆきを一人の女として見てしまうこともしばしばで、「その気になれば結婚だって出来る」と頭を過ることもあるが、何とか理性を保っている。みゆきに対しては、時に父兄の立場でやや冷たい態度も垣間見えるが、みゆきのことをとても心配しており、それと同時に好意も抱いているため、みゆきが他の男性に求婚されたり、引き離されそうになったときはすぐさま妨害している。事実、真人は鹿島に逢えないことよりもみゆきと逢えなくなってしまうことの方がよほどつらいらしく、一定期間みゆきに逢えないとすぐに体調を崩してしまう[注 6]ほどである。また、普段は鹿島に想いを寄せているためデートも彼女を優先しがちでみゆきを邪魔者扱いにしていたが、物語が進むにつれてみゆきとの約束も守り、優先させる機会も増えていった。高校3年生の時に青秀大学を受験したが落ち、たまたま高校卒業前に青華高校のすぐ目の前にできた英青予備校で1浪して青秀大学に入学する。幼馴染で兄と慕うサッカー界のスター選手沢田優一が急遽帰国し、共同生活が始まる。真人は沢田に全幅の信頼を寄せ「妹の幸せを願う兄にとって理想の相手」としながらも、沢田がみゆきにプロポーズした辺りから、焦燥感と同時にみゆきに対する本当の感情が時折無意識に出始める。最終的に沢田とみゆきの披露宴スピーチの最中、自分の本当の気持ちに気付き、みゆきに告白する。そして数か月後海外でみゆきと結婚する。血液型はAB型[注 7]。プロ野球チーム・巨人(読売ジャイアンツ)ファンで、特に江川卓のファン。
若松 みゆき(わかまつ みゆき)
本作のヒロイン。真人の血の繋がらない妹で、旧姓は倉本である。兄とは異なり、成績優秀、運動神経・スタイル抜群。帰国後の9月に白樺女子学園中等部の3年生として転入し、複数の女子生徒からラブレターをもらうなど人気を得る。翌年真人を追って共学である青華高校に入学し、学園のアイドル的存在になり、2年次にはクラス委員長に選ばれる。高校は1年C組に所属(その後2年A組、3年A組に所属する)帰国子女であるためか、英語で書かれた手紙を普通の手紙のように読むことが出来て、普段着も水着を含めて露出度の高いものが多い。再会当初から真人に好意を持っており、真人が鹿島を優先すると素っ気無い態度をとったりする。時折見せる自分の気持ちに素直ではない小悪魔っぷりも魅力の一つである。勝ち気で何事もはっきりいう明朗快活な性格である一方、冷静である。真人に対してはやさしく献身的で、家庭的[注 8]である。動物好きで思いやりがあり、男女分け隔てなく優しく接するため、異性からだけでなく同性からも好かれる人気者。しつこく求愛してくる者が後を絶たないが、その中に本命はいないようで、女友達が真人の悪口を言うと感情的[注 9][注 10]になって怒ったり、みゆき自身の言動・行動・回想シーンから真人を一途に想ってる様子がうかがえる。とはいえ、真人は自分に対して妹として接し、更に鹿島みゆきという敵わない恋人がいるため、自分の想いを留めている。かわいい妹でいようとするが相当なヤキモチ焼きで間接的に兄のデートの邪魔をしたり、鹿島が若松家に1週間同居する際も鹿島と仲良くさせまいと画策したりする。学内トップクラスの成績で有名大学も入れたが、真人の立場を考えて同じ志望大学に現役合格。当初は鹿島に対して恋敵目線で素っ気無い態度であったが、徐々に彼女の人柄・優しさ・女としての家庭的な技量を認め、家族ぐるみの付き合いになるほどに仲良くなっていく。だが、反面真人を想うが故に、自分には母親がいない、いれば鹿島に近づけた女になっていただろう、というコンプレックスも感じてしまう。妹という手前、鹿島の前で真人に好意がある素振りは一切見せておらず、自分の幸せより真人の幸せを一番に望んでいるため、葛藤する。急遽帰国した幼馴染でサッカーのスター選手である沢田から求婚され、思い悩む。生年月日は1966年2月9日。血液型は真人と同じく、AB型。みゆきは、真人との血縁関係はないことを早くから気づいていたようである。
鹿島 みゆき(かしま みゆき)
真人の同級生で、恋人。若松みゆきと共に本作のヒロイン。才色兼備で清楚・おしとやかなクラスのアイドル。少々天然で控えめな性格の割に、たまに真人に対して大胆なアプローチを見せる時もある。そそっかしく勝ち気な一面もあり、真人の頬に平手打ちすること数回。料理裁縫など女性らしい技術は一流で[注 11]良妻賢母のような女性。女友達からも頼られ面倒見が良く、当初から真人に好意を持っており一途に思いを寄せる。物語が進むにつれ公認の彼女になる。自らが一人っ子なだけに兄妹を羨ましく思い、真人とみゆきの仲の良さに内心ヤキモチをしつつも表に出したことは一切なく、妹思いの真人・兄思いのみゆきの兄妹を「自分の理想の兄妹像」である、と真人に理解を示している。ほとんど欠点のない女性で、若松みゆきに「今まで出会った中で一番の女性。鹿島さんのようになりたい」と言わしめるほど。ただみゆき曰く唯一の欠点は、真人に惚れているところ、らしい。学年で1、2を争うほど成績優秀で、2年次にはクラス副委員長も務める。しかし、大学志望校を真人に合わせるためにレベルを下げ、現役合格したにもかかわらず真人が落ちてしまったため、真人のために浪人を選択[注 12]。1年後真人と同時に青秀大学に入る。真人と妹みゆきが血縁関係のない兄妹であることは、沢田とみゆきの披露宴前に控室で親族がその旨について談笑している会話を偶然立ち聞きし知ってしまった。真人が妹のみゆきに告白したことで、最終回、単身北海道に傷心旅行に出た。その旅先で同じ境遇の沢田と運命的に出会い、双方の笑顔が二人の将来を暗示させている。生年月日は1965年2月9日(若松みゆきと1年違いの同じ誕生日)。血液型はAB型。
高校の友人・関係者.mw-parser-output .ambox{border:1px solid #a2a9b1;border-left:10px solid #36c;background-color:#fbfbfb;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .ambox+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+link+.ambox{margin-top:-1px}html body.mediawiki .mw-parser-output .ambox.mbox-small-left{margin:4px 1em 4px 0;overflow:hidden;width:238px;border-collapse:collapse;font-size:88%;line-height:1.25em}.mw-parser-output .ambox-speedy{border-left:10px solid #b32424;background-color:#fee7e6}.mw-parser-output .ambox-delete{border-left:10px solid #b32424}.mw-parser-output .ambox-content{border-left:10px solid #f28500}.mw-parser-output .ambox-style{border-left:10px solid #fc3}.mw-parser-output .ambox-move{border-left:10px solid #9932cc}.mw-parser-output .ambox-protection{border-left:10px solid #a2a9b1}.mw-parser-output .ambox .mbox-text{border:none;padding:0.25em 0.5em;width:100%;font-size:90%}.mw-parser-output .ambox .mbox-image{border:none;padding:2px 0 2px 0.5em;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-imageright{border:none;padding:2px 0.5em 2px 0;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-empty-cell{border:none;padding:0;width:1px}.mw-parser-output .ambox .mbox-image-div{width:52px}html.client-js body.skin-minerva .mw-parser-output .mbox-text-span{margin-left:23px!important}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .ambox{margin:0 10%}}

この節の加筆が望まれています。

間崎 竜一(まさき りゅういち)
真人と同じ1年A組に所属。若松みゆきに一目惚れ[注 13]し、一緒の修学旅行、一緒の卒業式、一緒の同窓会のために追試まで棄権し留年し、みゆきと同じ1年C組所属となる。年齢は真人の1つ上(中学卒業後高校浪人ため、1浪1留となる。大学浪人はしなかった)。誕生日は9月で、本作開始(夏休み)からほどなくして17歳の誕生日を迎えている。とても積極的な惚れっぽい性格で、様々なドタバタエピソードを残すが、根は義理堅く真面目な努力家でもある。腕っ節は強く、数人相手の喧嘩も負けない。喫茶店「ドラゴン」を母親と切り盛りし、喫茶店のマスターもしている。ホンダのバイクを愛用している。当初は、若松みゆきに好意的に接してもらえたが、2年時に2年E組所属となって彼女と別々のクラスになってしまい会う機会が減った。その後3年E組所属となる。2013年、あだち充の別作品『MIX』にラーメン屋ドラゴンのマスターとして登場。
中田 虎夫(なかた とらお)[登場 1]
体育教師をしている独身男性。初登場時に白樺女子学園中等部で体育教師をしていたが、みゆきが青華高校に入学すると、追いかけて転職する。高校転任時からソフト部顧問となる。校内風紀担当。かすみ荘というアパートで一人暮らししている。竜一とは恋敵で、二人の関係は諺の「竜虎相見(まみ)える」に喩えられている。1947年12月24日生まれで、初登場時点で32歳[注 14]。みゆきとは20近く歳が離れている。母親が見合い話をたくさん持ってくるが、みゆきにしか興味がないので相手にしていない。一度、勘違いで同名の美由紀(みゆき)という女性と婚約したが、結婚直前で破談。土下座までしてみゆきに求婚したりする入れ込み様だったが、みゆきが真人と結婚した後、母親の見合い話を承諾する。
香坂 健二(こうさか けんじ)[登場 2]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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