みなみじゅうじ座
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「南十字星」はこの項目へ転送されています。その他の用法については「南十字星 (曖昧さ回避)」をご覧ください。

みなみじゅうじ座Crux
みなみじゅうじ座の恒星
属格形Crucis
略符Cru
発音[?kr?ks]、属格:/?kru?s?s/
象徴十字架[1]
概略位置:赤経 11h 56m 13.7s -  12h 57m 45.2s[2]
概略位置:赤緯−55.68° - −64.70°[2]
広さ68.447平方度[3]88位
バイエル符号/
フラムスティード番号
を持つ恒星数19
3.0等より明るい恒星数4
最輝星α Cru(0.667
メシエ天体数0
隣接する星座ケンタウルス座
はえ座

みなみじゅうじ座の星と暗黒星雲コールサック。
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みなみじゅうじ座(みなみじゅうじざ、Crux)は現代の88星座の1つ。16世紀末に考案された新しい星座で、十字架をモチーフとしている[1]。現代の88星座の中で最も小さい[3]。4つの明るい星が形作る十字は「南十字星(みなみじゅうじせい)」「南十字」や「サザンクロス (: Southern Cross) 」として知られる[4][5]
特徴

領域面積が68.447平方度と、現代の88星座の中で最も小さい[3]。東西北の3方向をケンタウルス座に、南方向ははえ座に囲まれている[1]。領域の北端でも−55.68° と南天の深い位置にあるため、北緯34度以北の地域からは星座の一部すら見ることができない。α星とγ星を結んだ線分を、α星に向けて約4.5倍するとおよそ天の南極に到達する[6]。天の南極付近には南極星と言えるほど目印となる星がないため、大航海時代以降は天の南極の方角を知るために南十字が使われたとされる[7]

α・β・γ・δの明るい4つの星が形作る十字のアステリズムは「南十字星(みなみじゅうじせい)」「南十字」や「サザンクロス (: Southern Cross) 」と呼ばれる[4][5]。この4つの星が作る十字は、星の明るさが不揃いでまた小さいことから、明るさも揃ってより大きく見える「にせ十字」と間違われやすい[4]。にせ十字と取り違えずに南十字を探すために、ケンタウルス座α星からケンタウルス座β星に向けて結んだ線分をβ星方向に伸ばす、という方法が知られている。そのため、英語圏でこの2星は Southern Pointers(南の指極星)や The Pointers(指極星)と呼ばれる[4]「The Pointers」と呼ばれるケンタウルス座α・βのペア(左)の線分を西に伸ばしてたどると南十字(中央)を見つけることができる。

日本国内でも沖縄県小笠原諸島などで観望が可能である。特に宮古列島八重山列島からなる先島諸島では観光資源となっている。国内最南端の有人島である波照間島では1994年(平成6年)に波照間島星空観測タワーが建設され、観望ツアーも企画されていた[注 1]。また2019年7月には、石垣市が南十字星を「市の星」に定めている[9]。この地域で観望できる時期は12月下旬から6月中旬までの約半年で、南中時刻の前後1時間程度が観望に適した時間帯とされる[10]。ただし先島諸島からでも、水平線近くまでしか上がらないため、靄が出ると見ることは難しい。なお、本州最南端の和歌山県串本町などでも、時期や気候条件などが整えば、水平線直上に南十字星北端のγ星を視認することができる。佐賀県小城市天山(北緯33°21′)よりγ星の撮影に成功した事例もある[11]

アメリカ合衆国では、ほぼ北緯20°のハワイ州全域や、フロリダ州南端(北緯24°)のキーウェストで南十字を観望することができる。
「みなみじゅうじ座」と「南十字星」の違い

現代の星座 (: constellation) は、特定の星の並びではなく全天を88に分けた領域そのもの[注 2]のことであり[12]、みなみじゅうじ座 (Crux) の場合は、赤経 11h 56m 16.9843s 赤緯?55.6957932°、赤経 11h 56m 13.7673s 赤緯?64.6957855°、赤経 12h 57m 45.2113s 赤緯?64.6769638°、赤経 12h 57m 20.2827s 赤緯?55.6771049°の4点を結んだ領域と定義されている[2]。これに対して「南十字星 (: the Southern Cross)」は、みなみじゅうじ座の中で特に明るく見える α・β・γ・δ の4星あるいはこれらにε星を加えた5星からなる十字架の形を成すアステリズム(星群)のことである。星座の「みなみじゅうじ座 (Crux)」とアステリズムの「南十字星 (Southern Cross)」の違い。 左図の緑の線に囲まれた領域がみなみじゅうじ座。この領域にある多数の恒星の中でも特に明るいもの4つを線で結んだ十字架形を「南十字星」と呼ぶ。
由来と歴史

みなみじゅうじ座に属する星々は、紀元前地中海沿岸地域の人々にその存在が知られていた。例えば、2世紀頃にアレクサンドリアで活動したギリシャ人学者クラウディオス・プトレマイオスが著した『アルマゲスト』には、ケンタウルスの後ろ脚の一部として記録されている[7]。しかし、地球歳差運動の影響によって地中海沿岸地域からこれらの星々を見ることができなくなると、大航海時代に「再発見」されるまでこれらの星々は忘れられた存在となっていた[7]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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