ぼくんち
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『ぼくんち』は、西原理恵子による漫画。本項では原作とする実写映画と舞台作品も記載する。
概要

1995年から1998年にかけて小学館ビッグコミックスピリッツ』に連載された。

第43回文藝春秋漫画賞を受賞した。

キャッチフレーズは「シアワセって、どこにある?」。

舞台となる水平島は、西原が幼少時に過ごした高知県高知市沿岸部の浦戸地区をモデルにしており、西原作品にはしばしば登場する。

あらすじ

四国の田舎の奥の奥の、そのまた奥の、どうしようもなく貧乏な漁村。

貧しい町では暴力や放火、薬物がはびこる。

そんなどうしようもない町の『ぼくんち』に、行方不明だった『かあちゃん(今日子)』が、『おねえちゃん(神子:かのこ)』を連れて帰って来た。

『種ちがい』の兄弟一太と二太に、今日子が連れてきた神子の一家4人は、貧困と格闘し、近所の住人たちとのワヤクチャな騒動に巻き込まれつつも小さな幸せを探して生きてゆく。
登場人物
一太
「ぼくんち」の長男で主人公。弟の二太をよく気にかけている。物語中で大きく成長し、逞しくも優しく成長していく。遺体処理などの汚れ仕事もこなせるものの、それを割り切れない青年に育っていく様子が描かれている。途中からこういちくんの元で働くようになり、多くのことを彼から学んでいく。
二太
「ぼくんち」の次男。無邪気な性格で、偏見を持たず心優しい。一太とは対照的に物語中であまり成長する描写は見られない。かの子と共に暮らし、町の人々を見つめていく。
かの子
「お母ちゃん」が連れて帰ってきた「ぼくんち」の長女。
ピンサロ嬢。兄弟二人を大切にしており、一家を取りまとめている。「泣くなら笑え」がモットー。一方で、二太にシモの話を平気でする一面も。物語冒頭では三人は初対面であるような描写がされているが、実際には全員で暮らしていた時期もあった。
かあちゃん(今日子)
「ぼくんち」の母親。子どもはすべて父親が違う。かの子を連れて3年ぶりに「ぼくんち」に帰るが、その後家の権利書を持ち出して3人を捨て、新しい男の元に家出する。
こういちくん
町で一番有名な不良。トルエンの小売りから注射器販売、ホテトルの手伝いに強盗など多くの"商売"をこなすが、根はお姉さん想いの優しい青年。母親を始め、その取り巻きのおばさんたちにはあまり手も出せず、弱い一面もある。父は働き者の漁師だった。著書『西原理恵子の人生一年生 2号』によると、後に西原が東京で出会うゲッツ板谷(本名が宏一である)がモデルとされている。『営業ものがたり』(小学館)収録の番外編「朝日のあたる家」では彼と母の昔話が語られている。
こういちくんのお姉さん
"暴力ホテトル"を1人でこなす、こういちくんの姉。夢は小さな南の無人島を買い、自給自足の生活をすること。こういちくんにとって無くてはならない存在である。
さおりちゃん
二太の幼なじみ。父親から虐待されており、よく二太の家に泣いて逃げてきていたが、「よわねこ」を見届けて以来腹を決め、逆に父親の世話役になる。年齢の割りに性格は大人びていて、冷めた物言いをすることもある。西原のデビュー作「ちくろ幼稚園」に登場する「しほちゃん」とほぼ同じデザイン。
さおりちゃんのとうちゃん
さおりちゃんの父。組員ではなく、パートタイムのヤクザ。酒乱で、酒を飲むと暴力的になり、逆にシャブを打つと温厚になる。学生時代は覚せい剤を打って甲子園でホームランを打ったことがあるらしい。のちに「自分のシマ」を手に入れる。
鉄じい
金物を何でも買う老人。河川敷に洪水で流されてしまうような簡素な家に住んでいる(のちに引越し)。町の長老役で、物知り。「体があったまる」と醤油を飲んでいる。自分の家をブルトーザーで壊された事があるものの、その腹いせにブルドーザーを闇ブローカーに売り飛ばし、家を新築したりする等、作中では比較的、大胆で羽振りがいい人物である。.mw-parser-output .ambox{border:1px solid #a2a9b1;border-left:10px solid #36c;background-color:#fbfbfb;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .ambox+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+link+.ambox{margin-top:-1px}html body.mediawiki .mw-parser-output .ambox.mbox-small-left{margin:4px 1em 4px 0;overflow:hidden;width:238px;border-collapse:collapse;font-size:88%;line-height:1.25em}.mw-parser-output .ambox-speedy{border-left:10px solid #b32424;background-color:#fee7e6}.mw-parser-output .ambox-delete{border-left:10px solid #b32424}.mw-parser-output .ambox-content{border-left:10px solid #f28500}.mw-parser-output .ambox-style{border-left:10px solid #fc3}.mw-parser-output .ambox-move{border-left:10px solid #9932cc}.mw-parser-output .ambox-protection{border-left:10px solid #a2a9b1}.mw-parser-output .ambox .mbox-text{border:none;padding:0.25em 0.5em;width:100%;font-size:90%}.mw-parser-output .ambox .mbox-image{border:none;padding:2px 0 2px 0.5em;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-imageright{border:none;padding:2px 0.5em 2px 0;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-empty-cell{border:none;padding:0;width:1px}.mw-parser-output .ambox .mbox-image-div{width:52px}html.client-js body.skin-minerva .mw-parser-output .mbox-text-span{margin-left:23px!important}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .ambox{margin:0 10%}}

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「ぼくんち」がある町

住民の多くが貧しく、山と海しかない田舎町とされている。
子どもはいるが、
学校に通うシーンなどは一切描かれていない。子どもたちの半分は非行に走り、もう半分は大人になるまでに亡くなるだろうと言われるほど、劣悪な環境で育っている。
一方で、山の上には富裕層が住む一帯もあるらしく、一太と二太が歩いていける範囲に競艇場新幹線もあり、かの子達の新しい家がマンションであるなど、十分に開けた土地でもある。また、かの子の勤める店をはじめとした風俗店街もある。
町には医者がいないので、住民の多くが体調が悪くとも我慢するとされているが、さおりちゃんのお父さんが死にかけて病院に運ばれていたり、同じくホームレスのとろちゃんも、老人専用の病院に入っていた。また、薬物中毒の少女が入院していたこともあった。
書籍情報



小学館「スピリッツとりあたまコミックス」全3巻(印刷:オールカラー)

ぼくんち 1、1996年11月発売、ISBN 978-4091792716

ぼくんち 2、1997年7月発売、ISBN 978-4091792723

ぼくんち 3、1998年2月発売、ISBN 978-4091792730


小学館「ビッグコミックス」全1巻(合本版 / 印刷:モノクロ)

ぼくんち 全、2003年4月12日発売、ISBN 978-4091877017


角川グループパブリッシング角川文庫」全3巻(文庫版 / 印刷:オールカラー)

ぼくんち 上、2009年4月25日発売、ISBN 978-4043543106

ぼくんち 中、2009年4月25日発売、ISBN 978-4043543113

ぼくんち 下、2009年4月25日発売、ISBN 978-4043543120


小学館「ビッグコミックス(電子書籍版)」全1巻(合本版の電子書籍 / 印刷:オールカラー)

ぼくんち 全、2016年9月1日発売


実写映画

ぼくんち
監督
阪本順治
出演者観月ありさ
矢本悠馬
田中優貴
真木蔵人
鳳蘭
岸部一徳
志賀勝
音楽はじめにきよし
主題歌ガガガSP卒業
撮影笠松則通
編集荒木健夫
製作会社「ぼくんち」フィルムパートナーズ(オメガ・ミコット=東映京都撮影所小学館衛星劇場テレビ東京TOKYOFMアスミック・エース エンタテインメント)(製作プロダクション 東映京都撮影所)
配給アスミック・エース=ミコット
公開 2003年4月1日
上映時間分
製作国 日本
言語日本語
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2003年4月公開。主なロケ地は舞鶴。後に原作者の西原本人が興行成績が振るわなかったことを自虐ネタとして描いている。

企画は珍しくプロデューサーではなく、塚田有希という東映東京撮影所の企画営業スタッフから出たもので[1]、全国の東映系の劇場にハマる企画ではないため、ボツになりかけた[1]。しかし元東映社員で、当時オメガ・グループ[注 1]のオメガ・ミコット社長だった三宅澄二が、畑利明東映京都撮影所所長に働きかけ[1]、3年越しでようやく製作が決まった[1]。東映から出た企画ながら、配給は東映ではない[1]。三宅は2000年の『うずまき』製作中に知り合ったオメガ・グループ代表の横濱豊行にヘッドハンティングされ、オメガ・グループ入りしていた[1]


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