へびつかい座RS星
RS Ophiuchi
へびつかい座RS星(へびつかいざRSせい、RS Ophiuchi、RS Oph)は、へびつかい座の方角におよそ4,600光年離れた位置にある回帰新星である[5]。静穏期には、見かけの等級が12等程度だが、平均しておよそ15年置きに、急激に増光し、肉眼等級にも達する[2][10]。19世紀末以降、6回増光が観測されており、また記録されてはないが、その間に更に2回の増光があったと考えられる[10]。へびつかい座RS星は、大質量の白色矮星と赤色巨星の連星系で、水素を大量に含む物質が赤色巨星から白色矮星に降着し、表面で熱核暴走を起こすことで、増光を繰り返すものと考えられる[8]。 へびつかい座RS星は、激変星に分類される変光星で、その中でも特異な共生回帰新星とされる[11]。これまで記録に残るだけで、1898年、1907年、1933年、1945年、1958年、1967年、1985年、2006年と、8回急激で大幅な増光を示し、さそり座U星に次いで多くの増光が確認されている回帰新星である。極大時の明るさは、かんむり座T星に次いで明るく、肉眼等級に達する回帰新星はこの2天体だけである[10]。 へびつかい座RS星は、新星や矮新星と同様に白色矮星を含む連星系であるが、伴星は赤色巨星で、連星の公転周期はおよそ454日と長い[11][8]。太陽系からの距離は、およそ4,600光年とみられる[5]。へびつかい座RS星系の白色矮星は、質量が大きく、チャンドラセカール限界に近いとみられ、スウィフトによる観測からは、太陽質量の1.35倍と見積もられている[8][6]。赤色巨星は、早期のM型星とみられるが、巨星表面が白色矮星からの高エネルギー放射を受けたことによる反射効果の影響で変光し、それに伴ってスペクトル型もK4からM4まで変化している[7][10]。 へびつかい座RS星では、水素を豊富に含む物質が白色矮星へ降着し、白色矮星表面で熱核暴走を起こすという古典新星に近い爆発が発生するが、爆発の間隔は古典新星よりはるかに短い[11]。これは、白色矮星の質量が大きく、伴星から白色矮星への質量降着の効率が高いためではないかと考えられる[12]。 へびつかい座RS星の過去の爆発発生年・間隔爆発(年)間隔(年) 記録された最初の爆発は、実際には後年になって「発見」された[11]。1901年、ウィリアミーナ・フレミングがハーヴァード大学天文台の写真乾板の調査から、へびつかい座RS星(当時はBD -6°4661)が変光星であることを発見[13]。1904年には、そのスペクトルが他の変光星で目にしたことがない特異なものであると発表され、翌年エドワード・ピッカリングはこれを新星と結論付けた[14][15]。更に、アニー・ジャンプ・キャノンは、10年以上にわたる写真乾板から光度曲線を求め、1898年に急激な増光があったことを突き止めた[15]。
特徴
概観
新星爆発
1898?
19079
193326
194512
195813
19679
198518
200621
202115
現在2
1898年
1907年
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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