ふたばは三菱重工が建造した浚渫ロボット(全没型歩行脚式浚渫機、Submersible Walking Auto Dreger, SWAD)である。過去1号機、2号機の2機が製作され、福島第一原子力発電所、福島第二原子力発電所に各々設けられた専用港湾の浚渫作業に使用されてきた。 1980年代後半に入ると三菱重工はプラザ合意後の円高により、浚渫船を始めとする既存の作業船の受注低迷に悩まされるようになった。この打開策として付加価値の高い新製品の開発を決意し1987年5月、広島海洋機器工場設計部にシステム開発室を新設した。創設当初の開発室スタッフは10名で、エレクトロニクスやセンサーなどの先端技術を活用し、作業船の自動化、コンピュータ化の推進を担った[1]。 最初に実用化したのは浚渫船自動化システムを使用しコンピューターで浚渫作業を自動化することで、熟練作業員無しで効率的に浚渫作業を制御することを売りとした。それと共に開発が進められたのが歩行式作業機であった[1]。 一方、東京電力が抱えていた課題は、両発電所の専用港湾の浚渫であった。専用港湾は取水口付近の波を静謐化し、併せて使用済み核燃料や各種機材等の運搬船を接岸するために設けられているが、取水や船舶航行の円滑な遂行には港湾の浚渫が必要であった。この作業は従来のグラブ船
計画背景
使用先の両原子力発電所専用港湾では主に取水口付近の浚渫に使用している。 当初1987年に完成を予定し、2年の開発期間を経た後、1989年に上記両発電所専用港湾での使用を開始した[3]。 本機は自動化技術を推し進めた他、機体は全没し、特殊フローティングホースにより耐波性を確保している。このため日経産業新聞の取材によると、ふたば1号は天候が原因で作業を休んだ事は殆ど無いという[2]。 なお、水没タイプとしては当時からブルドーザー式やキャタピラー式(水中バックホウなどでも知られる)がある。これらは歩行式に比較し移動速度が数十倍速いメリットがあるが、地盤に一定の硬さがないとグリップが確保できず滑って進めない欠点があった。専用港湾は海底地盤がぬかるんでいるため、硬い部分まで足を突き刺しながら移動する歩行式を採用する必要性があった[2]。 制御は陸上から光通信ケーブルを介して有線で実施し、8本備えられた足を4本ずつ動かして前後左右に移動する事が出来る。ふたば1号本体は無人であり、制御はワンマンで可能となっている[2]。 1号機は両専用港湾を4半期に1度行き来し、年間4回の浚渫工事を実施するローテーションを繰り返してきた。1998年度の場合、2港湾計13万5000立方メートルの土砂を浚渫している[2]。 竣工後、1994年、1997年に補強改造を実施した。2号機が建造されるまでの10年間に浚渫した土量は約140万立方メートル、運転時間は約28000時間である[4]。 『作業船』179号(1988年)より抜粋[5]。 ふたば1号の老朽化により、代替として建造された。 1号機での実績より、全没型水中作業機が高波浪、強潮流という厳しい条件下でも水面浮遊式浚渫機と比較して稼働可能と言う優位性を持つことが実証された事から、同じ様に全没型の水中歩行ロボットとして開発された。東電設計と五洋建設土木本部機械部、三菱重工が再度共同開発を実施し建造所は三菱重工の神戸造船所である。1999年3月に水中作動試験を終了して竣工し、同年4月より福島第二原子力発電所専用港湾にて各種機能確認及び実証試験工事に従事し6月に問題なく工事を完了した[6]。 下記の基本方針を達成するための施策を検討した[7]。 このため、1号機と比較して下記のような設計変更点が見られる[8]。
ふたば1号
概説
主要諸元
全長: 約27 m
作業水深: 4.5?9.0 m(設計最大15 m)
最大波高: 2.8 m
取水流速: 局所最大2.0ノット
ロボット本体重量: 170 t
ふたば2号
概説
設計目標
更なる省力化と能力向上
浚渫能力の増大
高寿命化
環境保全に配慮した水中機械設計
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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