ふうちょう座
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ふうちょう座Apus
ふうちょう座の恒星
属格形Apodis
略符Aps
発音[?e?p?s]、属格:/?ap?d?s/
象徴フウチョウ
概略位置:赤経 13h 49m 50.6s -  18h 27m 27.8s[1]
概略位置:赤緯−67.48° - −83.12°[1]
正中7月10日21時
広さ206.327平方度[2]67位
バイエル符号/
フラムスティード番号
を持つ恒星数12
3.0等より明るい恒星数0
最輝星α Aps(3.798
メシエ天体数0
隣接する星座みなみのさんかく座
コンパス座
はえ座
カメレオン座
はちぶんぎ座
くじゃく座
さいだん座
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ふうちょう座(ふうちょうざ、Apus)は現代の88星座の1つ。16世紀末に考案された新しい星座で、「極楽鳥」の通称でも知られるフウチョウをモチーフとしている[1][3]天の南極近くに位置し、人が常在する日本国内の島全てからその一部さえも見ることができないため「日本から全く見えない星座」の1つとされる[4]が、沖ノ鳥島では ζ星など星座の一部が水平線よりも上に上がる。
主な天体
恒星「ふうちょう座の恒星の一覧」も参照

2022年4月現在、国際天文学連合 (IAU) によって1個の恒星に固有名が認証されている[5]

HD 137388:国際天文学連合の100周年記念行事「IAU100 NameExoworlds」でニュージーランドに命名権が与えられ、主星はKaraka、太陽系外惑星はKerer?と命名された[6]

その他、以下の恒星が知られている。

α星見かけの明るさ3.798等の4等星[7]。ふうちょう座で最も明るく見える恒星。

θ星半規則型脈動変光星赤色巨星[8]。4.58等から5.34等の振幅で変光する[9]

ζ星:見かけの明るさ4.78等の5等星[10]。沖ノ鳥島では水平線上約3°ほどの高さに見える。

星団・星雲・銀河

NGC 6101球状星団。パトリック・ムーア(英語版)がアマチュア天文家の観測対象に相応しい星団・星雲・銀河を選んだコールドウェルカタログの107番に選ばれている。

由来と歴史「極楽鳥」の別名で知られるオオフウチョウ

ふうちょう座は、1603年ヨハン・バイエルが出版した星図『ウラノメトリア』で世に知られるようになったためバイエルが新たに設定した星座と誤解されることがある[11]が、実際は1598年フランドル生まれのオランダ天文学者ペトルス・プランシウスが、オランダの航海士ペーテル・ケイセルフレデリック・デ・ハウトマン1595年から1597年にかけての東インド航海で残した観測記録を元に、オランダの天文学者ヨドクス・ホンディウス(英語版)と協力して製作した天球儀に翼も脚もない鳥の姿を描いたことに始まる[3]。そのため近年はケイセルとデ・ハウトマンが考案した星座とされている[12]

この星座のモチーフとされたのは、ニューギニア島の固有種で「極楽鳥」の通称でも知られるフウチョウである。フウチョウが西洋に初めてもたらされた16世紀頃は、生きたまま西洋まで連れてくることができず、翼も脚ももがれた剥製として紹介された。そのため、この鳥は一生枝に止まらず風に乗って空を飛び続けるものと誤解され、ラテン語で「楽園の鳥」を意味する Avis paradiseus として紹介されていた[3]

現在のふうちょう座の学名は Apus だが、ラテン語で「フウチョウ」を意味する Apus または Apous、「鳥」を意味する Avis の綴りがそれぞれ「蜜蜂」を意味する Apis と似ているため、17世紀から18世紀にかけての星図星表に数々の綴り誤りが生まれた。プランシウスは、1598年に製作した天球儀にオランダ語とラテン語で星座名を書き記していたが、この星座に対してはオランダ語で「極楽鳥」を意味する Paradysvogel と書きながら、ラテン語では「インドの蜜蜂」を意味する Apis Indica と書き記している。これは、ラテン語で「鳥」を意味する Avis を「蜜蜂」を意味する Apis と間違えて綴ったものとされる[3]。このプランシウスの誤りは、ホンディウスが1600年1601年に製作した天球儀にもそのまま引き継がれた。そして、ヨハン・バイエルがこれらの天球儀からデータをそっくり写して作成した[13]星図『ウラノメトリア』で APIS INDICA[14]と誤りをそのまま引き継いだ結果、1621年にアイザック・ハプレヒト2世(英語版)が製作した天球儀で Apis Indica[15]1624年ヤコブス・バルチウスが著した天文書『Usus astronomicus planisphaerii stellati』で APOVS & Apis seu avis Indica[16]と記されるなど、17世紀初頭のしばらくの間誤った星座名が使われることとなった。

この時期でも例外的に正しい星座名が使われた事例もある。たとえばオランダの天文学者ウィレム・ブラウ(英語版)は、1602年に製作した天球儀ではラテン語で「インドの蜜蜂」を意味する Apes Indica と記していたが、1603年に製作した天球儀では1598年から1602年にかけて第二次観測を行ったデ・ハウトマンの観測記録を元に修正を加え、ラテン語で「インドのフウチョウ」を意味する Apous Indica と改訂した[17]。またデ・ハウトマンも、1603年に製作した星表でオランダ語で「極楽鳥」を意味する De Paradijs Voghel とした[18][19]。ただしこの星表は、オランダ語のマレー語辞典の付録として掲載されたため、広く天文学者の間で知られることはなかった[13]

天文学者に使用されるような星表では、1627年ヨハネス・ケプラーが刊行した星表『ルドルフ表 (: Tabula Rudolphina)』でようやく Apus, Avis Indica と正しく記された[20]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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