ヒジキ
ヒジキ
分類
ヒジキ(鹿尾菜[2]、羊栖菜[2]、学名: Sargassum fusiforme)は、ヒバマタ目ホンダワラ科ホンダワラ属に属する褐藻の1種である。ときに長さ1メートル以上になる大型の海藻であり、棍棒状の葉をつける。波の荒い海岸の岩礁域潮間帯下部に繁茂し、春から初夏に生殖器を付けて成熟、夏になると大部分が消失するが、繊維状の付着器が残ってそこから芽を出して生長する。日本を含む東アジア沿岸域に分布し、日本では北海道南西部以南に分布するが、日本海側北部にはほとんど見られない。
日本では古くから煮物などの食材とされ、総菜として極めてふつうに使われている。一般的に健康食・長寿食とされていることから、旧敬老の日にちなんで9月15日を「ひじきの日」としている[3]。日本で流通しているヒジキの多くは中国や韓国産の養殖品であるが、日本産のヒジキの多くは天然品である。 付着器は繊維状根であり、そこから直立する短い円柱状の茎から数本の主枝が伸びている[4][5][6]。主枝は先端成長を行い、円柱状、直径3?4ミリメートル、長いものでは長さ1メートルを超えることもあり、また長さ5?10センチメートルの側枝を羽状に互生する[4][5](右上図1)。主枝や側枝には多数の葉がついており、下部の葉は扁平なへら状で鋸歯があり(右上図3?5)、上部の葉は円柱状であるが(右上図2)、地域による葉の形態変異が大きい[5][6]。日本海側では、上部の葉も扁平で幅広くなることがある[7]。気胞は葉腋に生じ、紡錘形で葉よりも短い[5][6]。藻体の質は多肉質、色は黄褐色であるが乾燥すると黒くなる[5][7]。 雌雄異株であり、初夏に雄性または雌性の生殖器床を葉腋に数個ずつつける[4][5][6]。生殖器床は長楕円形から円柱状、雄性生殖器床の方が雌性生殖器床よりも細長い[4][6]。雄性生殖器床の生殖器巣中の造精器で精子がつくられ、放出される[4]。雌性生殖器床の生殖器巣中の造卵器で形成された卵は放出され、雌性生殖器床を覆う粘液質中に留まり、そこで受精する[4][6]。受精卵は発生を開始して幼胚となり、発生開始後1日ほどで粘液質から解離して水底に着生する[4][6]。発芽体は仮根を発達させて岩に付着し、初期葉を形成して幼体となり、茎や繊維状根を伸ばす[4]。幼体は翌年の初夏にかけて生長、成熟し、有性生殖後の夏にはほとんどの藻体は流出・消失するが、繊維状根の新しい部分は残存し、新芽を形成して新たな藻体を形成する[4][6][7]。 葉緑体DNA 日本(北海道南西部、本州、四国、九州および沖縄本島)、韓国、中国南部に分布する[4][5][6]。ただし潮汐差の小さい日本海側北部(青森県から能登半島)では粟島を除いて分布しておらず、日本海側南部でも散在的にしか見られない[4][6]。タイプ産地は静岡県下田[1][5]。 潮間帯下部の岩上に密生し、早春から初夏にかけて岩上を覆うように群落を形成する[4][5][6][7][11]。垂直分布の範囲は比較的狭く(30?50センチメートル)、上限と下限の境界は明瞭である[6]。 日本全体では絶滅危惧種等には指定されていないが、沖縄県レッドデータブックでは絶滅危惧U類に指定されている[12]。
特徴
分布・生態
保全状況評価