惑星分光観測衛星
「ひさき(SPRINT-A)」
想像図
所属東京大学、東北大学、JAXAなど
主製造業者日本電気
公式ページ惑星分光観測衛星(SPRINT-A)
ひさき、計画名SPRINT-A(英語: Small scientific satellite Platform for Rapid Investigationand Test - A)、旧称TOPS(英語: Telescope Observatory for Planets on Small-satellite)は、東京大学、東北大学が中心になって計画した惑星観測専用の宇宙望遠鏡で、宇宙航空研究開発機構 (JAXA) が開発したイプシロンロケットで打ち上げる小型科学衛星 (SPRINT) シリーズの1号機。太陽系内の惑星観測専用の人工衛星としては世界初となる。開発・製造は日本電気が担当した。
当初は、2013年8月22日に打上げを予定していたが[2]、8月27日に延期され[3]、27日の打上げ直前に当日の打上げを中止した[4]。9月14日に打ち上げが延期され[5]、最終的に同日14時00分に打ち上げられ[1]、約1時間後に軌道に無事投入された。これを受けてJAXAはSPRINT-Aの愛称として「ひさき」(太陽(ひ)の先(さき)、内之浦のある津代半島の先端の地名の火崎に由来)と命名した[6]。11月19日に分光観測を行い、定常観測運用を開始することができることを確認した[7]。
経年劣化により観測のための姿勢制御が困難となったことから、2023年12月8日に停波され、運用が終了された。[8] 大気の吸収を受けない宇宙空間から、極端紫外線で太陽系内の他の惑星(水星、金星、火星、木星、土星)の大気やプラズマに起こる宇宙空間への大気の流出、磁気圏の変遷等を継続的・集中的に観測する。 惑星大気観測に特化した口径 20 cm の望遠鏡を搭載。地上の望遠鏡では、大気の吸収を受けるため極端紫外線領域は観測できないことによる。 すでにアメリカのハッブル宇宙望遠鏡など、より高性能な宇宙望遠鏡が運用されているが、これらはさまざまな天体観測に用いられるため、惑星観測に充てられる時間は限られてしまう。特定の惑星専用の探査機を飛ばせば非常に高精度なデータが得られるものの、高額の費用がかかり、目的の惑星以外の観測は困難である。用途を太陽系内の惑星観測に限定すれば、ハッブル宇宙望遠鏡のような高い性能は必要ではなく、小型の安価な宇宙望遠鏡で、複数の惑星を継続的に観測できるという利点がある。 衛星のサイズは1m × 1m × 4m(展開後:1m × 約7m × 4m)、重さは 335kg 。高度約 950 × 1,150kmの地球周回楕円軌道上から観測を行う。観測対象を紫外線領域を中心とした理由としては、これまでの惑星探査機の観測結果によれば、対象となる惑星の下層大気を観測するにあたり、UV領域における反射が観測できるという点である(マリナー探査機による金星探査などによる)。このことによって、金星などの惑星における大気運動観測や大気成分分析が精密に行えることになる。 開発費は数十億円程度の見込みで、研究段階においては無人宇宙実験システム研究開発機構(USEF)の小型地球観測衛星のASNAROシリーズと共同で研究が行われており、この結果、両シリーズ共にNEC製の標準衛星バス「NEXTAR」が採用されている。
目的
特徴
主な観測対象
木星のオーロラ・衛星イオの大気
水星の大気(地表付近・外気圏、磁気圏)
金星や火星の大気の、宇宙空間への流れ出し
他、金星や土星のオーロラなど
衛星諸元
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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