この項目では、物を切断するための道具について説明しています。2012年の日本映画については「はさみ hasami」をご覧ください。
はさみ
(鋏)物を刃で挟み込むことによって、物を切断するための道具。本項目で主に解説する。
(挟み、挿み)物をはさみ込むことによって、物を握持するための道具。洗濯用の洗濯ばさみ、炭火用あるいは清掃用の火ばさみ、角氷用の氷ばさみなど。なお、物をつかむ道具である「やっとこ」にも「鋏」の字があてられる。
(螯、鉗)節足動物の肢の先にある道具の鋏のような構造の部分 - はさみ (動物)
各種のはさみ
はさみ(鋏、剪刀)は、物を二つの刃ではさんで切断(剪断)する道具。 種類としては、一枚の金属をU字形に曲げて刃と刃が合わさるようにした支点が刃から離れているギリシア型(日本でいう和鋏、握り鋏)と二枚の金属をX字形に組み合わせて刃と刃が合わさるようにした支点が刃(作用点)と握りの中間にあるローマ型(日本でいう洋鋏)がある[1]。 助数詞には「丁」あるいは「挺」(読みはいずれも「ちょう」)が用いられる。 薄いまたは細いものの切断に用いられる。対象としては糸や布、紙、金属箔[2]、頭髪(理美容)、食材(キッチンバサミ)[3]、植物(農業・園芸用)など様々である。材質や刃の鋭利さ、大きさ、デザインは用途により異なる。 はさみは歴史的には包丁などの刃物よりもずっと新しく青銅器時代になって出現した[1]。 ギリシア型のはさみは一枚の金属板をU字形に曲げて刃と刃が合うようにした形態のはさみである[1]。英語では spring scissors。 握り鋏は、力を加えないと刃は開いている。手で両側から力を加えることで刃の部分が重なり合う構造となっており、2枚の刃が交わった部分が閉じていくことで間に挟んである紙や布などが切断されるしくみである。力学的には、てこのうち第3種てこの構造をもち、二枚の刃の部分が「作用点」、金属板がU字型に曲げられた部分が「支点」、刃に近い持ち手の部分が「力点」となっている。 紀元前10世紀頃に古代ギリシアで羊毛の収穫に使われたのが最初とされている[1]。中国には6世紀頃に製作されたギリシア型のはさみが残っているが、ばねの働きを改善するため単純なU字形ではなく中央部が8字形になっている[1]。 しかし、13世紀になるとギリシア型のはさみは中国では作られなくなった[1]。また、ヨーロッパでも18世紀以降は羊毛の刈り取り用のはさみを除いてギリシア型のはさみは作られなくなった[1]。一方、日本では15世紀以降にヨーロッパ人が現代的な洋鋏(ローマ型のはさみ)を伝えたものの、江戸時代まで日常生活では握りばさみが一般的であった[1]。日本では現代でも「和鋏」として広く使われている[1]。 ローマ型のはさみは二枚の金属板をX字形に鋲で留め刃と刃が合うようにした形態のはさみである[1]。日本で一般的に「洋鋏」と呼ばれているものである[1]。なお、英語では scissors[注釈 1]というが、金切り鋏やケーブル鋏など、刃が柄に対して小さく、強力なものは snips 力学的にてこのうち第1種てこの構造をもち、二枚の刃の部分が作用点、刃をつなげる部分が支点、反対側の持ち手の部分が力点となる。 刃の接触点に剪断する力を集中するように、刃はわずかにひねられている。これを「ひねり」と呼ぶ。また、切る対象に依って、刃と刃の当たる角度を変えるために裏側に「スキ」と呼ばれる隙間をつくっている。これによって例えば、髪の毛のような軽い材質でかつ、硬い表面のものでも切ることができる。正確に切らなければならないものほど、精密に調整したスキとひねりが必要である。 現存する最古のローマ型のはさみは帝政ローマ時代(紀元前27年頃)のもので鉛や針金の切断に使われていたとみられるものである[1]。 ローマ型のはさみは中国や朝鮮半島を経て日本に伝わり、奈良の正倉院には銅メッキを施したローマ型のはさみが残されている[1]。これらは室町時代から江戸時代にかけて活け花や植木の手入れに用いる日本独特のはさみに進化した[1]。また、日本には15世紀以降にヨーロッパ人が現代的な洋鋏を伝え、久能山東照宮にはポルトガル人が献上した徳川家康の洋鋏が伝わるが、江戸時代の洋鋏は外科手術など特別な用途にのみ使用された[1]。洋鋏は明治時代になって大量に輸入・生産されるようになった[1]。 日本の和鋏は古代ギリシャに起源をもつU字形で中間がばねになったはさみ(ギリシア型)である[1]。
概説
歴史と形態2世紀頃のはさみ。トルコ北東部トラブゾン出土とされる。
ギリシア型
構造
歴史
ローマ型ラシャ鋏(洋裁鋏)
構造
歴史
和鋏と洋鋏
和鋏握り鋏(和鋏)
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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