はけ
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この項目では、地形および地名について説明しています。道具については「刷毛」を、その他の用法については「ハケ」をご覧ください。
.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}この項目には、一部のコンピュータや閲覧ソフトで表示できない文字(JIS X 0212JIS X 0213)が含まれています(詳細)。武蔵野公園から見る国分寺崖線。崖線下を縫って「はけの道」(後述)が延びる(2006年撮影、東京都小金井市

はけ(またはハッケ、バケ、バッケ、ハゲ等)は、丘陵山地の片岸[1][2]、すなわち地形を指す地形名である。特定の場所を指す地名として固有名詞化している例も多く[2]、とくに武蔵野地域に多いとされる[3]。一方標準語において不特定の崖を「はけ」と呼ぶことは稀で、普通名詞としては「方言または古語」などとして扱われる。

なお、類語として「まま」や「のげ」、「はば」、「岨」等の字を当てる「そわ」「そば」[4]、「はけ」と同じ子音をもつ「ほき」「ほっき」等も、崖などの険阻な地形を表す方言・古語とされる[注 1]
「はけ」という言葉

柳田國男は 著書『地名の研究』において、『茨城方言集覧』に「ばっけ」を「山岡などの直立せる崖」としている例などを引きつつ、「ハッケまたはハケは東国一般に岡の端の部分を表示する普通名詞である[5]」と定義した。

同書によれば、奥州征討の旅程を記した『吾妻鏡』の次の一節などが文献上最も古い使用例だという[5]。於岩井郡厨河点此所坤角{仗次之波気被定御舘
(岩井郡厨河[注 2]にて、当地から南西の方角にあたる、{仗を務める次[注 3]のはけ[注 4]を指定し、宿と定められた)

さらに同書では、吉田東伍大日本地名辞書』経由の孫引きとして大槻文彦『北海道風土記』に「国後島の大八卦、一名ノポリパッケ、島中第一の高山なり」とある旨を引用し、また永田方正『北海道蝦夷語地名解』に地名に含まれる「パケ」を「端」の意としている2例を引き、「偶然かも知れぬが」とことわりつつ、この語がアイヌ語由来である可能性を示唆している[5]

実際の地名は必ずしも“東国”にかぎらず、西は九州にまで及んでいる。また「ハッケ」「ハケ」のほか「バッケ」「バケ」等の音でも表れ、多種多様な漢字が当てられる(→ #地名・町丁名)。「八景」「八慶」等の字をあてて「ハッケイ」と読まれるようになってしまった例もある。また「ハゲ」も同類であるという[6]

これらの呼称は一般に河岸段丘の崖線・崖面や山地の崖そのものを指すほか、とくに「ハッケ」「ハケ」は「崖上の地域」「崖上の集落」を指すことも多く、そうした地名の例は全国各地に多数見られる。これに対して「峡田」「羽毛田」などと書いて「ハケタ」と読む呼称が、「ハケ下」「ハケの下」などとともに、「崖下の地域」には多く用いられている。国分寺崖線下、「滄浪泉園」内にある湧水と「ハケ」の表示。都市化以前にはここに多量の水が湧いた。崖上にかけては縄文時代の住居跡などが多数発掘されている(東京都小金井市)

ただし東京都下の国分寺崖線周辺等では、「はけ」は崖線そのものではなく、崖線のところどころに刻み込まれた「斧でV字状に彫刻したような“ノッチ”(小裂け目)」を意味していたという[7][8][9]。この語が広く知られるきっかけとなった恋愛小説『武蔵野夫人』(大岡昇平、1950(昭和25)年)では、主人公は「はけの家」に住み、国分寺崖線の周辺を舞台として話が展開するが、冒頭近くにおいて次のように解説されている。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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