どんと祭(どんとさい)は、宮城県を中心に呼ばれる祭りの呼称である[1]。他地域で左義長やドント焼きなどと呼ばれる祭りに類似する[1]。 神社の境内などで正月飾りを焼き、御神火にあたることで一年の無病息災・家内安全を祈願する祭。特に宮城県内各地の神社で盛んに行われており、仙台市の大崎八幡宮の「松焚祭」(まつたきまつり)が宮城県最大規模である。 いつ始まったのかは不明であるが、1849年(嘉永2年)には恒例行事となっていた[1]。正月飾りを焼く行事は1880年ごろまでは大崎八幡宮特有の行事であった[1]。 「どんと祭」という呼称は、地元新聞社である河北新報が1906年1月14日の記事において、「九州で行われる類似の行事ではドンドととなえている」「大崎八幡宮の総本社である宇佐八幡宮は大分県にあるため、九州の風習が入ってきた」という根拠無い記事を載せたことや、松焚祭の観光化が進んでいたことから、地元が記事に便乗したことで定着したとされる[1]。仙台市以外の神社に広まったのは高度経済成長期以降であるという[1]。 宮城県の多くの地域では小正月の前日の1月14日夕方から行われるが、岩手県の盛岡八幡宮では1月15日に行われ、福島県の西根神社では「うそかえ祭」と一緒になって数日間開催される。また、宮城県石巻市では1月7日に行われる[2]。石巻の場合は、新生活運動により1970年代に前倒しが定着したものとされる[2]。松の内(門松を飾っている期間)が終わると漁が始まるため、石巻漁港(1973年(昭和48年)に特定第三種漁港に指定)を擁する同市では、新生活運動が謳う「合理的民主的な生活慣習の確立」に従って松の内を県内他地域より短縮した。 参拝者の一部は裸参りを実施している。宮城県内各地の裸参りは大崎八幡宮における裸参りとおおむね同様の装束・方式で実施しているが、同県登米市迫町・津島神社の「佐沼どんと祭裸参り」では提灯ではなく松明を持って参拝し[3]、同県角田市の「かくだどんと祭り裸参り」では鳥追い棒を持って『ヤー、ホイホイホイ』の掛け声とともに町中を練り歩き[4]、盛岡八幡宮では紙のハサミを持って特徴的な振りをしながら行進する[5]など、地域によって一部違いがある。 神社で行われるのが一般的だが、神仏混淆の中山鳥瀧不動尊[6]、あるいは、定義如来や仙台大観音などの寺でも行われており、白山神社の別当寺の立場にある陸奥国分寺では裸参りも実施される。また、岩手県奥州市江刺区では大通り公園で[7]、釜石市大渡では甲子川河川敷で[8]開催するなど、神社・寺以外での開催例もある。さらに、宮城県登米市では石越総合運動公園で「石越どんと祭冬の花火大会」が実施されており[3]、イベント性が高い。 主などんと祭の人出(宮城県)神社所在地どんと祭参拝客数 仙台市都心部北側の北山丘陵西部にある大崎八幡宮で行われる年中行事で、300年の歴史があるとされ[1]、2005年(平成17年)に仙台市の無形民俗文化財に指定された[9]。市内各地から当社を目指して歩く、裸参りが特に有名である。 例年約10万人の人出で賑わい、神社前の国道48号と接続道路は交通規制がなされ、バスやタクシー以外の進入が出来なくなる。
概要
(万人)(初詣参拝客数)
(万人)
大崎八幡宮仙台市青葉区10.09.3
竹駒神社岩沼市8.039.1
仙台東照宮仙台市青葉区6.07.9
賀茂神社仙台市泉区3.0
鹽竈神社塩竈市2.041.0
愛宕神社仙台市太白区0.5
宮城縣護國神社仙台市青葉区6.7
参考として、初詣の参拝客数(正月三ヶ日の合計)も付記。
数値はいずれも2006年(平成18年)のもの。宮城県警調べ。
松焚祭松焚祭の日の大崎八幡宮