どですかでん
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どですかでん
監督
黒澤明
脚本黒澤明
小国英雄
橋本忍
原作山本周五郎季節のない街
製作黒澤明
松江陽一
出演者頭師佳孝
菅井きん
伴淳三郎
三波伸介
田中邦衛
芥川比呂志
奈良岡朋子
音楽武満徹
撮影斎藤孝雄
福沢康道
編集兼子玲子
製作会社四騎の会
東宝
配給東宝
公開 1970年10月31日(先行公開)
1971年1月21日(一般公開)
上映時間140分
製作国 日本
言語日本語
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『どですかでん』は、1970年に公開された日本映画である。監督は黒澤明カラースタンダード、140分。黒澤初のカラー映画で、木下惠介市川崑小林正樹と結成した「四騎の会」の第1作である。山本周五郎の小説『季節のない街』を原作とし、貧しくも精一杯生きる人々の生活を明るいタッチで描いた。題名は作中で少年が電車の運転士になりきったときに口ずさむ「どですかでん[注釈 1]」という擬音語からきているが、これはもともと一般的な擬音語ではなく、山本周五郎が創作した造語である[1][2][3]
あらすじ

とある郊外の街の貧しい地域。六ちゃんと呼ばれる少年は、学校にも行かず毎日近所の空き地に出かけては、他人には見えない路面電車を運転し、その電車の音を「どですかでん」という擬音で表現している。当人は自分が運転士だと本気で思い込んでいるようで、それを母親は、息子が精神に異常をきたしたと思い嘆くが、六ちゃんは母親の頭のほうがおかしいと考えている。

ヘアブラシ職人の良太郎は、浮気性の妻が不倫の男たちと作った大勢の子供らを、自分の子供として扶養している[4]。日雇い労働者の河口と増田は夫婦交換をして、翌日には何食わぬ顔をして元の家に戻っている[5]。陰気な平さんの所にはある女が訪ねて来るが、この女と平さんとは過去に何かがあった様子。女は平さんの家事手伝いをするが、彼は終始無視していた[5]。廃車に住む乞食の親子は邸宅を建てる夢想話をしているが、子供はしめ鯖にあたって急死する。穏やかな性格で顔面神経症の島さんには無愛想な妻がいるが、妻を愛しており、同僚に妻の文句を言われると激怒する[5]。彫金師のたんばさんは人生の達人といえる人物で、日本刀を振り回す男を鎮めたり、家に押し入った泥棒に金を恵んだりする[4]。アル中の京太は家事手伝いの姪を犯して妊娠させ、姪はショックで恋人の酒屋の店員を刺してしまう[4]

ここに暮らす人たちは、変わった人ばかりである。六ちゃんはその中で電車を走らせ、日は暮れてゆく。
キャスト

六ちゃん:
頭師佳孝

おくにさん:菅井きん

沢上良太郎:三波伸介

沢上みさお:楠侑子

島悠吉:伴淳三郎

ワイフ:丹下キヨ子

井河:日野道夫

野本:下川辰平

松井:古山桂治

初太郎:田中邦衛

良江:吉村実子

益夫:井川比佐志

たつ:沖山秀子(松竹)

綿中京太:松村達雄

妻・おたね:辻伊万里

姪・かつ子:山崎知子

岡部少年(酒店員):亀谷雅彦

平さん:芥川比呂志

お蝶:奈良岡朋子

乞食の父親:三谷昇

その子:川瀬裕之

渋皮のむけた女:根岸明美

刑事:江角英明

警官:高島稔

絵描き:加藤和夫

小料理屋の女将:荒木道子

ウェイトレス:塩沢とき

レストランの主人:桑山正一

寿司屋のおやじ:寄山弘

屋台のおやじ:三井弘次

くまん蜂の吉:ジェリー藤尾

惣さん:谷村昌彦

たんばさん:渡辺篤

老人:藤原釜足

泥棒:小島三児

くまん蜂の女房:園佳也子

内儀さん:牧よし子新村礼子、小野松枝、高原とり子、桜井とし子

みさおに声をかける男:人見明二瓶正也江波多寛児市村昌治、伊吹新

スタッフ

監督:
黒澤明

製作:黒澤明、松江陽一

脚本:黒澤明、小国英雄橋本忍

企画:四騎の会(黒澤明、木下惠介市川崑小林正樹

原作:山本周五郎『季節のない街』

撮影:斎藤孝雄(三船プロ)、福沢康道

音楽:武満徹

美術:村木与四郎村木忍

録音:矢野口文雄

照明:森弘充

記録:野上照代

助監督:大森健次郎

撮影助手:木村大作

音響効果:三縄一郎

特殊機械:三輪野勇

製作

1969年7月、黒澤明木下惠介市川崑小林正樹とともに「四騎の会」を結成した[6]。四騎の会は、日本映画低迷の時代にベテラン監督4人の力を合わせてこれを打開しようとの意図で結成され、設立第1作として山本周五郎の小説『町奉行日記』が原作の『どら平太』を4人で共同脚本・監督することを発表した[6]。4人は湯河原の旅館に籠もり、物語を4つに分けて各自で分担する形式で執筆を行うが、なかなか意見がまとまらず頓挫した[7]。次に再び山本の小説『季節のない街』をオムニバス形式で映画化することを企画するが、木下と市川が話が暗いと反対したため、結局黒澤が単独で監督することになった[7]

1970年1月、黒澤は小国英雄橋本忍とともに伊豆韮山で脚本を執筆した[6]3月31日にはプリプロダクションを開始した[8]


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