てんかん
てんかん患者の脳波。発作が起きた後は特徴的な脳波を示す。
概要
診療科神経学, てんかん学
てんかん(癲癇、Epilepsy)とは、脳内の細胞に発生する異常な神経活動(「てんかん放電」)によっててんかん発作をきたす神経疾患、あるいは症状[4]。神経疾患としてはもっとも一般的なものである[4]。
古くから存在が知られている疾患の一つで、ソクラテスやユリウス・カエサル が発病した記録が残っている。全般発作時の激しい全身の痙攣から、医学的な知識がない時代には、狐憑きに代表される「憑き物」が憑依したと誤認され、「放っておくと舌を噛んで死ぬ」と思われていたり、周囲に混乱を起こすことがあったり、偏見や差別の対象となることもあった。
かつては「子供の病気」とされていた。しかし、近年の調査研究で、老若男女関係なく発症する見解も示され、80歳を過ぎてから発病した報告例もある。一方でエミール・クレペリンは、老年性てんかんに対しては別個のものとして扱っている。
予防や完治は不可能である。しかし、抗てんかん薬を用いることによって、制御可能である[4][5]。年間の医薬品コストはわずか5ドルにすぎない[4]。しかし、通院、入院、検査には費用がかかり、日本では医療費自己負担額軽減のための制度もある[6]。また、食餌療法によっても発作の軽減や抑制が可能な病気である。てんかんの人口10万あたり障害調整生命年(2004年) .mw-parser-output .legend{page-break-inside:avoid;break-inside:avoid-column}.mw-parser-output .legend-color{display:inline-block;min-width:1.5em;height:1.5em;margin:1px 0;text-align:center;border:1px solid black;background-color:transparent;color:black}.mw-parser-output .legend-text{} no data <50 50-72.5 72.5-95 95-117.5 117.5-140 140-162.5 162.5-185 185-207.5 207.5-230 230?252.5 252.5-275 >275
一般人口における有病率は0.4?1.0%ほどで、有病者数は全世界で約5,000万人いると見られており[4][7]、患者のおよそ80%は発展途上国の国民である[4]。各国の疫学データでは、発症率は人口の1%前後、低中所得国での有病率は0.7?1.4%となっている[4]。
イギリスが発表した資料によれば、年間で「10万人あたり50例」[8]とあり、傷病にかかる費用は「年間20億ポンド」と推定されている[8]。 世界保健機関が発表しているこの病気の定義は、『種種の病因によってもたらされる慢性の脳疾患であり、大脳ニューロンの過剰な放電から由来する反復性の発作(てんかん発作、seizure)を主徴とし、それに変異に富んだ臨床ならびに検査所見の表出が伴う』とされている。
定義