陸域観測技術衛星3号「だいち3号」(ALOS-3)
所属JAXA
主製造業者三菱電機株式会社
公式ページだいち3号(ALOS-3)
だいち3号(陸域観測技術衛星3号、ALOS-3, Advanced Land Observing Satellite、エイロス3)は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が、地図作成、地域観測、災害状況把握、資源調査などへの貢献を目的として開発を計画した「だいち」の後継の地球観測衛星。可視光や赤外線により地表を観測する光学衛星で、2016年(平成28年)度にH-IIAロケットによって打ち上げられる予定であったが、2015年(平成27年)度から一部仕様が変更された上で先進光学衛星と表記を変えて計画が進められていた。H3ロケット試験1号機で2023年3月7日に打ち上げられたが、ロケットの2段目のエンジンに点火せず打ち上げは失敗し、司令破壊が出されたロケットとともに消失した[1][2][3]。開発費は379億円[4][5][6]。 旧計画と同じく「先進光学衛星」では従来の地球観測衛星では達成できなかった高分解能と広域観測幅と連続撮像可能時間の両立を狙って開発されており、具体的には80cmの高分解能と70kmの広域観測幅、地球1周回100分のうち10分(4,000km分)の連続撮像可能を実現する。これにより地球1周回当たりの観測面積は70km × 4,000kmとなり、既存の高分解能地球観測衛星の6機から30機分、デジタルグローブの分解能45cmの地球観測衛星「WorldView-2」の20倍の撮像面積となる。設計寿命は7年で、だいちの3年、だいち2号の5年より長寿命化される。だいち2号、先進レーダ衛星、光データ中継衛星と組み合わせて運用することで運用の効果の最大化を目指す。パスコが地上システム開発?衛星運営、データ販売を担当する[7]。 2010年2月時点で「だいち3号」の研究フェーズが進行中であった[8]。「だいち3号」には、経済産業省が所管する無人宇宙実験システム研究開発機構(USEF)と、その後継法人の宇宙システム開発利用推進機構(JSS)が開発した、4バンドの観測ができるマルチスペクトルセンサと、185バンドを観測できるハイパースペクトルセンサを搭載する予定であった。これらのセンサにより地表の属性をより詳細に観測できるようになり、石油資源などの鉱物資源探査、植生の分布の観測や農作物収穫量予想などのバイオマス観測、工業排水観測、積雪状態の観測等をより詳細に行うことができるようになるとされた。2つのセンサは同期が可能で、合わせて「HISUI(Hyperspectral Imager SUIte)」と命名されていた。このハイパースペクトルセンサが搭載されれば、「テラ」に搭載されたASTERセンサの13倍のスペクトルデータを取得できる予定であった[9][10][11]。 旧計画が放棄されたことで、このハイパースペクトルセンサは単独で「HISUI」と呼称されるようになり、ドラゴン宇宙船に積載されて、2019年12月6日にファルコン9により国際宇宙ステーションに向けて打ち上げられた。国際宇宙ステーションのきぼう船外実験プラットフォームに設置し、2021年度から定常運用している[12][13]。
概要
性能・仕様[4]
パンクロマチックセンサ - 分解能80cm、観測幅70km
マルチセンサ - 分解能3.2m
連続撮像可能時間 - 10分(4,000km分)
データ伝送 - 直接伝送(Ka帯1.6Gbps以上、X帯0.8Gbps以上)、光データ中継(光データ中継衛星との光通信)
設計寿命 - 7年、エクストラサクセスとして10年
重量 - 2.7トン以下
その他の搭載センサ - 2波長赤外線センサ(防衛省開発)
旧計画
性能[9]
パンクロマチックセンサー - 分解能80cm 、観測幅50km
ハイパー・マルチセンサー (HISUI)
マルチスペクトルセンサー - 分解能5m、観測幅90km
ハイパースペクトル センサー - 分解能30m、観測幅30km
観測可能範囲 - 2600km
地上局への伝送速度 - Xバンドにより800Mbps(データ中継衛星「こだま」を経由して伝送可能)