たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約
[Wikipedia|▼Menu]

たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約
通称・略称たばこ規制枠組条約
署名2003年5月21日(ジュネーヴ
発効2005年2月27日
寄託者国際連合事務総長
言語アラビア語、中国語、英語、フランス語、ロシア語、スペイン語
条文リンク条約本文 (PDF) - 外務省
テンプレートを表示

たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約(たばこのきせいにかんするせかいほけんきかんわくぐみじょうやく、WHO Framework Convention on Tobacco Control:略称WHO FCTC)は、たばこの使用およびたばこの煙に晒されることの広がりを継続的かつ実質的に減少させるため、締約国が自国において並びに地域的および国際的に実施するたばこの規制のための措置についての枠組みを提供することにより、たばこの消費およびたばこの煙に晒されることが健康、社会、環境および経済に及ぼす破壊的な影響から現在および将来の世代を保護することを目的とした条約である。日本での通称は、たばこ規制枠組条約、または、たばこ規制枠組み条約。

2003年5月21日世界保健機関(WHO)第56回総会で全会一致で採択され、2005年2月27日に発効した[1]。締約国は、たばこ消費の削減に向けて、広告・販売への規制、密輸対策が求められる。公衆衛生分野で初の国際条約である[2]。2009年末までに168か国が条約に調印した[3]

煙草の広告や販売促進などを全面的に禁止し、規制の実施措置を取るよう求められ、未成年者への購入防止策、たばこ税の引き上げ、誤った印象を与える販売方法の制限は各国の自主判断に任される。条約第8条は、たばこの煙に晒されることからの保護を求めている。

日本は禁煙政策において最低水準である[4]フィリピンにおけるたばこ製品の包装。本条約11条は、誤った印象を与える用語を用いないために「ライト」といった用語の取り扱いを含めることができ、その包装において大きく明瞭で判読可能な警告を付し、面積の50%以上を占めるべきで30%を下回ることなく、また写真や絵を使うことができるとしている[5]。フランスでも同様の写真を用いた包装である[6]
条約の成立経緯

背景として、資金力のある多国籍企業が発展途上国へ販売するようになり、急速にたばこの使用が広まった[3]

世界保健機関は1948年より、「すべての人々が可能な最高水準の健康に到達すること」という憲章を掲げており、1973年にはWHOの権限を利用したたばこ規制のアイデアが初めて提示され、1993年にはアメリカの法学者ルース・マーレーが国際法を用いた規制開発のキャンペンーンを開発した[3]。1999年には、たばこ産業の内部文書によって、WHOを最大の敵とみなし規制のための取り組みを妨害する目的で動いてきたことも明らかとなった[3]

1999年には条約の起草・政府間交渉の開始が決定され、2001年の世界保健総会で条約が可決し締約国の参加、2003年に世界保健機関枠組条約発効へと至った。
署名・批准・発効

本条約は、40番目の批准書、受諾書、承諾書、正式確認書、または加入書が寄託されてから90日後に効力を発生することとされている(第36条)。2004年(平成16年)11月29日に、締約国数が条約の発効要件である40か国に達したため、同日の90日後となる2005年(平成17年)2月27日に効力を生ずることとなった[1]インドネシアは非加盟。

署名国 - 168か国

締約国 - 182か国(2023年5月31日現在)

条文

前文、本文(38ヵ条)および末文から成る。正文は、アラビア語、中国語、英語、フランス語、ロシア語、スペイン語の6か国語[7]。日本語訳の条文は、国会の承認後に官報で公布されたほか、外務省の公式ウェブサイトで公開されている[8]

本条約におけるたばこ製品とは、第一条の用語に規定されており、葉タバコからなるもののことである[5]
締約国の義務

締約国は条約の発効から3年以内に、
健康被害が少ないと誤解を与えかねない表示をしない

包装面積の3割以上を用いて、健康被害の
警告表示の掲載を求める

その他、発効後5年以内に、煙草の広告や販売促進などを全面的に禁止し、規制の実施措置を取るよう求められ、法律の整備を行って、未成年者の自動販売機による煙草購入を防ぐことも要求される。煙草に対する課税率引き上げの要検討、「マイルド(MILDS)」「ライト(LIGHTS)」などの表示規制は、各国の自主判断に任される。また、条約第8条では、たばこの煙に晒されることからの保護を求めており、具体的な指針として「たばこの煙に晒されることからの保護に関するガイドライン」が定められている。
議定書およびガイドライン


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:40 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef