たたみいわし
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焼かれたたたみいわし

たたみいわし(畳鰯)、たたみしらす[1]は、カタクチイワシの稚魚(シラス)を生のまま冷水で洗い、葭簀(よしず)や木枠に貼った目の細かい網で漉いて天日干しにかけ、薄い板状(網状)に広げる加工を施した食品[1][2][3][4][5]

酒の肴としても知られる[6][7]ほか、主に静岡県神奈川県の沿岸部の特産品として広く知られる[5][8]
名称

「かつては畳の表に用いられるイグサの上で干していた」[4][5][注釈 1]や、「縦横にくっついた板状のシラスが畳のように見える」[6][8]などが由来とされている。
製造

シラスを厳選し、新鮮かつ1 - 2センチメートル程度の中細で脂肪の少ない個体のみを用いる[4]。水中の型枠全体に均一に広げる板状への加工には、熟練を要する[4]。生シラスを使う必要があり、加熱したシラスではシート状にならない[4]
利用

たたみいわしの一般成分表 (2010)[10].mw-parser-output .legend{page-break-inside:avoid;break-inside:avoid-column}.mw-parser-output .legend-color{display:inline-block;min-width:1.5em;height:1.5em;margin:1px 0;text-align:center;border:1px solid black;background-color:transparent;color:black}.mw-parser-output .legend-text{}  タンパク質 (75.1%)  水分 (10.7%)  脂質 (5.6%)  その他 (8.6%)

特に味付けは施されていないため、軽く炙ってパリパリの食感にしたうえで醤油などを付けると、より美味しく食べられる[1][2][3][4][5]

冷蔵庫などの低温暗所にて長期間の保存が可能である[4]

日本食品標準成分表2010年版によれば、たたみいわしの75%はタンパク質である[10]

たたみいわしは食品表示法で定める「水産加工食品」に該当する[11]

2022年の国立健康・栄養研究所の調査によれば、日本全国から1歳以上の住民を無作為に抽出した11月の1日1人あたりの平均摂取量は、しらす干しが0.977gだったのに対してたたみいわしは0.001gだった[12]
歴史

古くから鶴岡八幡宮への神饌として奉納されている[8]

1643年の『料理物語』には、たたみいわしに相当する料理が掲載されている[13]

1645年の俳諧論書『毛吹草』には、伊予の名産として宇和島鰯を使ったたたみいわしが挙げられている[14]日本国語大辞典第2版に掲載されている「畳鰯」の語の用例としてはこれが最も古い[15]

1729年頃に加賀藩台所方の舟木伝内が書いた『料理無言抄』には、「たたみ鰯。御國にても近年これあり。一寸斗の鰯を五寸(約15センチメートル)から六寸(約18センチメートル)四方にフノリの如く四角に干したるものなり。色付焼、酒の肴に万用、一夕によし」と書かれている[16]

1789年の『寛政武鑑』には、信濃国上田藩の正月の時献上の品として、畳鰯が挙げられている[17]

19世紀初頭の『料理早指南』には、干物魚類調理の部に「畳鰯 是は白すといふ魚の干たる」と書かれている[15]。同時期の『東海道中膝栗毛』には、駿河瀬戸の話として「時にこの吸物はなんだ。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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