それから
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この項目では、夏目漱石の小説作品について説明しています。

シュノーケルの楽曲については「popcorn labyrinth」をご覧ください。

ホン・サンスが監督した韓国映画については「それから (2017年の映画)」をご覧ください。

それから
『それから』原稿の一部
作者夏目漱石
日本
言語日本語
ジャンル長編小説
初出情報
初出「朝日新聞1909年6月27日 - 10月14日
刊本情報
出版元春陽堂
出版年月日1910年1月
ウィキポータル 文学 ポータル 書物
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『それから』は、夏目漱石小説1909年6月27日より10月14日まで、東京朝日新聞大阪朝日新聞に連載。翌年1月に春陽堂より刊行[1]。『三四郎』(1908年)・『それから』(1909年)・『』(1910年)によって前期三部作をなす。

定職に就かず、毎月1回、本家にもらいに行く金で裕福な生活を送る長井代助が、友人平岡常次郎の妻である三千代とともに生きる決意をするまでを描く。

作中世界は1909年であり、東京高等商業紛争、『それから』の連載に先立つ『煤煙』の連載、日糖事件などの作品外の事象への言及がある。

1985年森田芳光監督、松田優作主演で映画化されている。

2017年CLIEにより、平野良主演で舞台化。
あらすじ

主人公の長井 代助は一軒家を構えて書生の門野を置き、父親の援助で悠々自適の日々を送る気楽な次男坊で30歳になろうかという男。生家は事業で財を成し、代助は卒業後も職を得ようとはせず世間とは距離を置いていた。そうした態度を父・得に咎められ、佐川という財閥の令嬢との婚儀を勧められるが、代助にはその気がなく生活態度も一向に改めようとはしない。そして、代助を「代さん」と呼び憎からず思う兄嫁・梅子の愛情に甘えていた。

対照的に代助の同窓生で親友の平岡は大学卒業後は銀行に就職し上方の支店勤務となる。そんなとき、代助の同窓生で平岡とは共通の知人だった菅沼が大学卒業を目前にして母親と共にチフスにかかって亡くなり、後には北海道で困窮する父親と妹の三千代だけが残された。三千代を深く愛しながらも、拠る術のない三千代の前途を心配した代助は銀行勤めの平岡と娶せて二人を夫婦にしたのだった。だが、三千代は子供の死を契機に体調を崩し、歩行もままならないほどの身となる。

その後、部下による公金500円(現在の価値で150万円ほど)の使い込みが支店長に及ぶのを避けるため平岡は辞職を余儀なくされ、放蕩の後に三千代と共に上京し、代助に就職斡旋を依頼する。三千代の前途を思って自分が身を引き、真面目な平岡に委ねることで三千代の幸せを信じていた代助だったが儚くも裏切られる結果となってしまった。真意を家族にも明かさず、自らを戒めるように独り身を貫く代助の心には三千代を「すてた」ことで自ら彼女の復讐と怨嗟を受け入れるという悲壮な覚悟があった。そんな一方で、三千代の身を案ずる代助は平岡の不在時に家を訪ねては沈みがちな三千代の心を慰めていた。ようやく平岡は新聞社に就職が決まった。

そんなある日、三千代が足を引き摺りながら代助の自宅を訪ねる。就職は出来たが三千代の入院費や治療費もあって平岡は高利貸しに多額の借金をしていた。三千代は代助に500円の借金を頼みに来たのだった。三千代に頭を下げられた代助は自分がそれまで金には不自由しない身だと信じていたが、愛する女性が恥を忍んで頭を下げるのにすぐに用立ててやれないその実金に不自由な自身を自覚する。借金を請け負った代助は兄の誠吾を当たるが全く相手にされず、梅子に頭を下げて200円を用立てる。それからしばらくの後、芸者遊びも控えていた代助が久しぶりに料亭に顔を出すと平岡とばったり出くわしてしまう。平岡は三千代が密かに金策に頭を下げているとも知らず、家計を顧みることなく芸者遊びにうつつを抜かして家に帰らぬことも増えていた。家に居ても面白くないと語る平岡に代助は夫の帰宅を待つ身の三千代への想いを募らせ、平岡への怒りを自制する。平岡に三千代を委ねたのは間違いだったという激しい後悔が代助を苛んでいた。

梅子に縁談を断る意向を伝えた代助は「自分には好いた女性がいるのです」と心の内を告白するのだが、そうした冗談で兄嫁をからかったこともあった代助の真意は梅子にも全く理解されない。思い詰めた代助は、三千代を自宅に招き寄せる。「ぼくの存在にはあなたが必要だ。どうしても必要だ。ぼくはそれをあなたに承知してもらいたいのです。承知してください」と愛を告白する。三千代もその実、結婚前から代助を愛していた。だが、愛する代助に「すてられ」結婚を斡旋されたので平岡に嫁いだ。代助の告白は平岡と結婚する前の3年前に聞きたかったと三千代は泣く。だが、代助は経済的に自立しておらず、半人前以下の身で愛する三千代を物理的に助ける術を持たない自らの身を責め、義侠心から平岡に三千代を委ねた事への後悔を責めるのだった。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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