そうりゅう型潜水艦
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そうりゅう型潜水艦
SS-504 けんりゅう
基本情報
種別潜水艦
命名基準瑞祥動物(縁起の良い動物)
「龍」の名(○○りゅう)
運用者 海上自衛隊
建造期間2005年 - 2021年
就役期間2009年 - 就役中
建造数12隻
前級おやしお型
次級たいげい型
要目
基準排水量2,900トン(5番艦以降50トン増)
水中排水量4,200トン
全長84.0m
最大幅9.1m
深さ10.3m
吃水8.5m
機関方式

ディーゼル・スターリング・エレクトリック方式[注 1]

ディーゼル・エレクトリック方式[注 2]

主機
川崎12V25/25SBディーゼル機関×2基

川崎/コックムス4V-275R MkIIIスターリング機関×4基[注 1]

鉛蓄電池[注 1]

リチウムイオン電池[注 2]

推進電動機×1基

推進器スクリュープロペラ×1軸
出力8,000馬力
速力水上:13ノット (24 km/h)
水中:20ノット (37 km/h)
潜航深度未発表
乗員65名
兵装

HU-606 533mm魚雷発射管×6門

89式 魚雷

ハープーン[注 3] USM

潜水艦魚雷防御システム(8番艦以降)

C4ISTAR
ZYQ-31指揮管制支援ターミナル

情報処理装置(TDBS)

ZQX-11潜水艦戦術状況表示装置

ZYQ-51潜水艦発射管制装置

レーダーZPS-6F 対水上捜索用×1基
ソナーZQQ-7 統合式
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そうりゅう型潜水艦(そうりゅうがたせんすいかん、英語: S?ry?-class submarine)は、海上自衛隊通常動力型潜水艦の艦級。13中期防に基づく平成16年度予算より、海上自衛隊初の非大気依存推進(AIP)潜水艦の艦級として建造を開始しており、10番艦まではスターリングエンジンによるAIPシステムを搭載している[1]。その後、1112番艦ではスターリング式AIPを廃止する一方、世界で初めて機関の構成要素にリチウムイオン蓄電池を採用した潜水艦級となった[1][2]
来歴

海上自衛隊と技術研究本部では、1950年代中盤より非大気依存推進(AIP)システムの開発に着手した。まず昭和29年度から31年度にかけて、新三菱重工と共同で軽量小型高圧燃焼ボイラー・タービン(KRT)の開発が行われた。これは液体酸素と燃料を小型のボイラーで高圧燃焼させ、蒸気タービンを駆動する方式であった。また同時期には、川崎重工も液体酸素を用いた閉サイクル・ディーゼルの研究を行っていたが、前者は酸素の取り扱いと起動時間の問題、後者はさらに経費と期間を要することから、いずれも研究は中止された。その後、技術研究本部では、昭和37年度より燃料電池の研究を開始した。当初はナトリウムアマルガム燃料電池が検討されていたが、水銀の質量が過大であったため、昭和42年度より酸素-水素型に転換した。昭和49年度までに試作・試験を行い、多孔性ニッケル・カーボン二重層電極、8セル構成で出力9キロワット、電圧6ボルト、容量1,500アンペアの燃料電池を開発した[3]。これらの成果を踏まえて、昭和51年度計画潜水艦(51SS)への燃料電池の搭載も検討されたが、液体酸素の取り扱いに関する用兵側の不安を払拭できなかったこともあり、断念された[4]

これらの経緯も踏まえて、技術研究本部は、燃料電池よりもスターリングエンジンのほうが潜水艦用AIPシステムとしては実現性が高いと判断し、昭和61年度より基礎研究を開始した。同方式は、スウェーデンコックムス社において1983年よりプロトタイプ試験に着手されており、1988年には前量産型の4V-275R Mk.Iモデルをネッケン級潜水艦(A-14型)ネームシップに搭載しての洋上試験を実施、1992年には量産型のMk.IIモデルを搭載したゴトランド級(A-19型)が起工されていた[5]。このことから、技術研究本部では、平成3年度から9年度にかけての技術研究で、同級搭載機と同じMk.IIモデルを輸入し、独自試作の液体酸素タンクなどと組み合わせたうえで、「係留区画」と呼ばれる部分船殻模型に設置し、地上試験運転を行った。平成11年度より、スターリング機関発電システム2組(それぞれに4V-275R Mk.II×2基)および液体酸素タンク2基を備えた増設区画を試作して、平成12年度から13年度にかけて、「あさしお」にこれを搭載する特別改装を行った[6]。平成13年度中に性能確認試験を終了、平成14年度から本格的な実証試験が実施された。この実績を踏まえて、平成16年度計画艦より、スターリングAIPシステムの搭載が開始されることになった。これによって建造されたのが本型である[3]
設計
船体

海上自衛隊では、平成5年度計画のおやしお型(05SS)より部分単殻構造・葉巻型船型を導入した。これは、通常動力型潜水艦が活動するような低速域については涙滴型船型と同等の流体力学的性能を確保しつつ、長大な側面アレイ・ソナーを耐圧殻に直接固定できるように配慮した設計であり、本型でも踏襲された。船体の基本設計は05SSと同様であるが、長さ11メートルのAIP区画を挿入したにもかかわらず、艤装の高密度化によって全長は2メートル程度の延長で収まっているが、これにより居住区画はおやしお型と比較して狭くなり、連続潜行時間の増加も併せて居住性は悪化した。船型についても、05SSと比べると艦首や艦尾の曲線が変更され、セイルをやや前方に移動させ、その基部にフィレットと呼ばれる流線形の覆いを追加するなどの改良を加えており、第2世代の葉巻型船型ということができる。なお、AIP区画の挿入によって船体内は6区画とされ、セイルへの昇降は第1防水区画から行うように変更されている。また前部脱出筒と魚雷搭載口は、将来装備予定の個人脱出スーツ(Mk.10)の寸法に配慮して分離された[7]

ターゲット・ストレングス(TS)低減のため、水中吸音材・反射材の装備やセイルの傾斜構造化を行った点では05SSと同様だが、本型では、入射音を音源と異なる方向に全反射させる反射材が開発され、船体全てが水中吸音材または反射材で覆われることになった[8]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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