せんだいメディアテーク
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せんだいメディアテーク
sendai mediatheque
2005年6月撮影
情報
用途図書館イベントスペース・ギャラリースタジオ
設計者伊東豊雄
構造設計者佐々木睦朗[1]
設備設計者総合設備計画、大瀧設備事務所、イーエスアソシエイツ
施工熊谷組竹中工務店安藤建設・橋本JV
建築主仙台市
管理運営仙台市市民文化事業団
指定管理者
構造形式S造、一部RC造
敷地面積3,948.72 m² [2]
建築面積2,933.12 m² [2]
延床面積21,682.15 m² [2]
階数地上7階(+棟屋1階)
地下2階[2]
高さ36.49 m[2]
駐車台数64台
着工1997年平成9年)12月17日
竣工2000年(平成12年)8月10日
開館開所2001年(平成13年)1月26日
所在地980-0821
宮城県仙台市青葉区春日町2番地1号
座標.mw-parser-output .geo-default,.mw-parser-output .geo-dms,.mw-parser-output .geo-dec{display:inline}.mw-parser-output .geo-nondefault,.mw-parser-output .geo-multi-punct,.mw-parser-output .geo-inline-hidden{display:none}.mw-parser-output .longitude,.mw-parser-output .latitude{white-space:nowrap}北緯38度15分55.7秒 東経140度51分56秒 / 北緯38.265472度 東経140.86556度 / 38.265472; 140.86556 (せんだいメディアテーク
sendai mediatheque)座標: 北緯38度15分55.7秒 東経140度51分56秒 / 北緯38.265472度 東経140.86556度 / 38.265472; 140.86556 (せんだいメディアテーク
sendai mediatheque)
備考工事費:約130億円[2]
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せんだいメディアテーク(: sendai mediatheque)は、宮城県仙台市青葉区にある公共施設である。定禅寺通り沿いにある。仙台市民図書館イベントスペース、ギャラリースタジオなどからなる。2001年(平成13年)1月に開館した。特殊な構造の建築物であり、建築家伊東豊雄の代表作品の一つでもある。2019年令和元年)7月現在の館長は鷲田清一
名称・運営

「メディアテーク」はフランス語の mediatheque (フランス語発音: [medjat?k] メディヤテック)に由来し、「メディアを収める」あるいは「視聴覚資料室」を意味している。

様々なメディアによる情報を収集、保管し、それらを市民に提供すること、また、美術や映像に関わる文化活動の場となることを目的として、せんだいメディアテークは設置された[3][4]。書籍に加えてビデオテープDVDCDCD-ROMなどのメディアがここに収集、保管されている。それを、来館者へ提供する図書館機能などの他、ウェブページでの提供や、視聴覚障害者に対するバリアフリー事業なども行われている。

メディアテークは仙台市教育委員会が管轄する施設であるが、指定管理者制度により、仙台市市民文化事業団がここの管理および運営を担っている[5]
歴史

せんだいメディアテークの建設は、1989年(平成元年)に宮城県芸術協会によって行われた、大型ギャラリー中心の美術館建設の陳情を端緒とする。1992年(平成4年)に新市民ギャラリーを建設する方針が決定し、さらに新市民ギャラリーに仙台市民図書館を併設することになり、1993年(平成5年)に建設検討委員会から仙台市長石井亨に建設基本構想が提出された[6]。建設場所は、仙台市営バス・定禅寺通車庫の跡地、および、仙台観光株式会社から買い取った隣接地のパチンコタイガー春日町店[注釈 1][7] の跡地が選ばれた。

この建築設計競技の際、審査委員長に任命された磯崎新より、単なる図書館とギャラリーの複合体だけではなく、本のみならず映像や音楽などあらゆるメディアの収蔵、閲覧、鑑賞ができる「メディアテーク」にするという提案がなされた。設計競技の結果、1995年(平成7年)に伊東豊雄が最優秀者として選ばれた。

せんだいメディアテークの建設は1997年(平成9年)12月に始まった。この工事は2000年(平成12年)8月に竣工し、9月に旧来の仙台市民ギャラリーと仙台市視聴覚教材センター、仙台市民図書館が閉鎖された。そして、2001年(平成13年)1月に仙台市民図書館を含めてせんだいメディアテークは開館した[6]
建築物としての特徴チューブと床からなるせんだいメディアテークの構造

せんだいメディアテークは建築物として高い評価を受けている。伊東豊雄の代表作となっているこの建築は、6枚の床(プレート)と、揺れる海草のような形状の13本のチューブと呼ばれる鉄骨独立シャフトのみの単純な構造によって、地下2階、地上7階の空間のすべてが作られている。これは、柱によって建てられる旧来の日本家屋と建築思想が同じであるが、はない。このチューブは床を貫通し、設備系統、エレベーターや階段、屋上からの採光や通風設備として機能している。また、全面がガラス張りであり、支柱のスケルトン構造が外から直接見ることができ、一方、中からもケヤキ並木の定禅寺通を見渡せ、中と外との一体感がある。工事については、三次元曲面の加工技術を持つ気仙沼市の高橋工業が担当した[注釈 2]

現代のビルディング構造は、その多くがラーメン構造という柱と梁からなる構造形式によって構成されている。これは、20世紀にルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエによって提示された、均質な柱と梁の構造体からなる建物内にあらゆる機能を内包することができるという「ユニヴァーサル・スペース」の概念と、ル・コルビュジエによって提示された、柱と床、階段という建築にとって必要最低限の構成要素にまで構造形式を還元する「ドミノシステム」の概念との延長上にある構造形式である。伊東豊雄は、こうしたラーメン構造の建築の均質性を打破する新しい建築のあり方を提示した。通常のラーメン構造ではできるだけ等間隔に建てられる四角い柱を、スパイラルを描くたくさんの細い鉄柱に分解することで「すけすけの柱の内部(チューブ)」を作り出し、それらをできるだけ不規則に配置することで不均質な場としての内部空間を計画した。これは近代建築、ル・コルビュジェ、ドミノシステムを乗り越える試みであり、柱の概念を解体する挑戦とも受け取れる[8]。世界の第一線級の建築家は、近代建築に対する批判的思考を経て新しい建築形式を生み出そうと試みているが、せんだいメディアテークで実現した新しい建築のスタイルは、そうした伊東自身の発想もさることながらコンピュータにより複雑な立体物の構造計算が可能になった現代だからこそ生まれた形でもあった。伊東はこの作品以後、冒険的な構造の建築を積極的に試みるようになった。

このような構造とデザインの優秀さのため、建築関係者をはじめとして、世界からカメラ片手に訪れる人をこの建物周辺で見ることが出来る。フランスル・モンド紙において「伊東豊雄のせんだいメディアテークで有名な仙台[9]」と記述された例もあり、海外ではせんだいメディアテークが仙台の顔の1つともなっている[10]。また、建築物としての美しさから、メディアテークは仙台のファッション誌やテレビ番組、映画などのロケ地となることもある。

この建築物は次の賞を受賞している。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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