せむしの仔馬
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この項目では、童話について説明しています。バレエについては「せむしの仔馬 (バレエ)」をご覧ください。
『イワンと仔馬』(1947年
イワン・イワノフ・ワノ監督、ソユーズムリトフィルムイヴァン・ヤコヴレーヴィチ・ビリビン火の鳥』(1899年

『せむしの仔馬』(せむしのこうま、ロシア語: Конёк-горбунок)または『せむしの小馬』は、ロシア童話ロシア語の Конёк とは、ポニーのことで、「子馬」は間違いである。作者はロシアの詩人ピョートル・パーヴロウィチ・エルショーフ(ロシア語版)(1815年 ? 1869年)で、1834年サンクトペテルブルク大学在学中の作品。ロシアの昔話『金色の馬』や『火の鳥』そして『イワンの馬鹿』などを巧みな構成でまとめている。

ロシア(ソ連)では19世紀から20世紀にかけて幾度かバレエ化、アニメ化されている。
あらすじ

山と森に囲まれた小さな村に、イワンという農家の少年(働き者の少年であることもあれば、うすのろでばか、まぬけという設定のときもある)が父親と2人の兄と一緒に暮らしていた。

村には夜になると金色のがやって来て、畑を荒らされて困っていた。イワンが金色の牝馬を捕まえると、自分を自由にしてくれればイワンのために3頭の馬を産んであげると言われ、2頭の立派な黒馬と、不思議な魔法の力を持っていて人間の言葉を話し、背中にこぶが2つある、耳が大きなせむしの仔馬(ポニー)をもらう。金色の牝馬は、2頭の黒馬は売っても構わないが、せむしの仔馬は後々までイワンを助けてくれるから決して手放してはいけないと言い残した。イワンはずる賢い兄たちの計略で2頭の黒馬を王様に売り、その代金は兄たちが家に持ち帰ったが、黒馬たちはイワン以外に従わず暴れるため、イワンは黒馬たちの世話係として、せむしの仔馬と一緒に城内に住むことになった。しかし、これを快く思わない性悪な家来が一人いた。

ある時、イワンは森の中に美しく光り輝く火の鳥 (Жар-птица) の羽根が落ちているのを見付ける。せむしの仔馬は、火の鳥の羽根は災いを招くので拾うべきではないとイワンに忠告するが、イワンは聞き入れずに拾って大切にしまい込む。やがて性悪な家来がイワンの持っている火の鳥の羽根を見付け、王様は家来にそそのかされて、イワンに火の鳥を捕まえて来るよう命じた。せむしの仔馬は、自分の忠告を無視して火の鳥の羽根を拾ったから災いが起きたのだとイワンを非難し、今後はさらに大きな災いが起きるかもしれないと警告しながらも、火の鳥を捕まえる方法をイワンに教え、火の鳥が現れる場所へイワンを連れて行く。イワンはせむしの仔馬の助けのおかげでどうにか火の鳥を捕まえ、以前にも増して王様から気に入られるが、性悪な家来はやはりこれを快く思わなかった。

しばらくの後、王様は再びこの家来にそそのかされて、今度は月の娘で太陽の妹と言われる美しい姫を城に連れてこいとイワンに命じた。困ったイワンは、再びせむしの仔馬に相談し、今度も仔馬の助けのおかげで姫を城に連れてくることに成功する。王様は美しい姫をひと目で気に入り、結婚を申し込むが、姫の方は少しも王様を気に入った様子を見せず、彼女は結婚の条件として、海の底に沈んでいる自分の指輪を三日以内に取って来るよう王様に要求する。イワンはわがままな王様のせいでまたしても無理難題を押し付けられることになったが、様々な苦労の末に今度も仔馬の助けのおかげで指輪を取って来ることに成功する。

王様は再び姫に結婚を申し込むが、それでも姫は王様が醜い老人であることを理由に求婚を拒絶し、王様が立派な若者になれば結婚しても良いと告げる。姫が言うには、まず煮えくりかえったミルクの釜に入り、次に同じく煮えたぎる熱湯の釜に入り、最後に氷のように冷たい水の釜に入ると立派な若者になれるという。王様はまず実験台としてイワンに釜に飛び込むよう命じる。せむしの仔馬の魔法に助けられてイワンが釜に飛び込むと立派な若者になったが、続いて飛び込んだ王様は二度と釜から出て来ることはなかった。

美しい若者になったイワンと姫は結婚し、イワンは新しい王様になって、盛大な祝宴が行われた。もちろん、祝宴の場にはせむしの仔馬も同席していた。
版本

エルショフ 『せむしのこうま』
井上満・加美長美津枝訳、国際出版、1949年

ピョートル・イェルショフ『せむしの子馬』《世界名作童話全集 3 》岸なみ編著、講談社1950年

エルショーフ『せむしの小馬』《世界少年少女文学全集 18 》井上満訳、創元社、1953年

ピョートル・パーヴロウィチ・エルショーフ 『せむしの小馬』 網野菊訳、V・プレスニャコフ挿絵、岩波少年文庫1957年

エルショーフ 『せむしの小馬』 稲田定雄著、角川書店1978年

『せむしの小馬』 《講談社の絵本 29 》 土家由岐雄文、アカボシリョウエ絵、講談社、1979年

『せむしの子馬』 《オレンジ絵本名作シリーズ 11 》 原良子著、馬場恵美子絵、オレンジ‐ポコ、1985年

エルショーフ 『せむしの小馬』 舟崎克彦著、宇野亜喜良絵、文化出版局1991年

エルショフ 『せむしの子馬』 《世界名作童話全集 27 》 阿貴良一編纂、ポプラ社2000年

P. エルショフ 『せむしの小馬』 《RONSO fantasy collection》 田辺佐保子訳、論創社2005年

ピョートル・エルショーフ 『イワンとふしぎなこうま』 浦 雅春訳、カバー画 ユーリー・ワスネツォフ、さし絵 ウラジーミル・プレスニャコフ 岩波少年文庫2016年

翻案
バレエ

1864年、『せむしの仔馬』の題名でバレエ化された。作曲はチェーザレ・プーニ、振付はアルテュール・サン=レオンによる。サンクトペテルブルク市のボリショイ・カーメンヌイ劇場で初演されている[1][2][3]

1955年、作曲家ロディオン・シチェドリンが新たにバレエ曲を作り、アレクサンドル・ラドゥンスキー(ロシア語版)の振付で、1960年、モスクワ市のボリショイ・バレエ団で上演された[3][4]


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