ずっとあなたが好きだった
[Wikipedia|▼Menu]
.mw-parser-output .hatnote{margin:0.5em 0;padding:3px 2em;background-color:transparent;border-bottom:1px solid #a2a9b1;font-size:90%}

この項目では、1992年に放送されたテレビドラマについて説明しています。明石家さんま司会のバラエティ番組については「明石家さんまのずっとあなたが好きだった!」をご覧ください。

ずっとあなたが好きでした」とは異なります。

ずっとあなたが好きだった
ジャンルテレビドラマ
脚本君塚良一
演出生野慈朗
加藤浩丈
桑波田景信
出演者賀来千香子
布施博
宮崎ますみ
佐野史郎
小沢仁志
中村久美
坂井真紀
高田敏江
橋爪功
野際陽子
オープニングサザンオールスターズ
涙のキッス
製作
プロデューサー貴島誠一郎
制作TBS

放送
音声形式ステレオ放送
放送国・地域 日本
放送期間1992年7月3日 - 9月25日
放送時間金曜日22:00 - 22:54
放送枠金曜ドラマ (TBS)
放送分54分
回数13
テンプレートを表示

『ずっとあなたが好きだった』(ずっとあなたがすきだった)は、1992年7月3日より9月25日まで毎週金曜日22:00 - 22:54に、TBS系列の「金曜ドラマ」枠で放送されていた日本のテレビドラマ
概要

本作は、縁談でエリートサラリーマンと結婚したにもかかわらず、初恋の彼が忘れられない女性の恋愛ドラマである[1]。結婚後に夫がマザコンでセックス拒否症である事実を知ったヒロインは、結婚の過ちを痛感して初恋の彼との恋を再燃させる展開となっていく[2]

佐野史郎扮するエリートサラリーマン・冬彦は脇役であったが、「マザコンでオタク」という変態キャラクターが注目された[2]。これに合わせて放送後から冬彦の数々の奇行や、野際陽子演じる母親の息子の異常な溺愛ぶりも話題となった[2]。また「冬彦さん」は流行語となり、当時マザコン男性全般を指す一般名詞と化すほどまでに有名になった。さらに世間では、“冬彦さん現象”と呼ばれるブームも巻き起こった[2]

以上のことから、本作は最高視聴率34.1%を記録する大ヒット作品となった[2]。また、サザンオールスターズが歌う主題歌の「涙のキッス」も大ヒットし、サザンとしては初のミリオンセラーオリコン調べ)を記録した[1]
登場人物
主要人物
西田 美和
演 -
賀来千香子宮城県仙台市出身。高校生の時にマネージャーをしていたラグビー部の大岩洋介と交際していたが、高校3年の七夕の夜初めて二人だけで松島旅行に出かけ朝帰りした後、それを知った洋介を追っかけしていた同級生が自殺する。その際に遺書に逆恨みが書かれており濡れ衣を着せられ、洋介との仲を壊された過去を持つ。この事件は近所で知らない人がいないほど有名になってしまう。東京の短大を卒業後、新高輪プリンスホテルの結婚式場に就職。29歳で父の常雄の強引な勧めで、桂田冬彦と見合い結婚をするが、同時期に大岩と再会。冬彦との結婚生活にギャップを感じたこともあり、心が揺れる。のちに冬彦の子を妊娠していたことを承知で離婚。洋介と再婚した。
大岩 洋介
演 - 布施博美和の高校の同級生で元恋人。高校時代はラグビー一筋でその推薦で大学に進み卒業後、サントス建設[注 1]実業団のラグビーチームで活躍していたが、バブル経済崩壊で会社が傾いたためチーム解散の憂き目に遭う。大岩は美和との事件の後、美和に電話や手紙を出していたが美和の父が間に入って取り合わずに焼き捨てるなどしていたため、その事実を美和が知るのは結婚後のことだった。美和との復縁の為、交際していた律子に別れを告げるが、律子の自殺未遂などで窮地に立たされる。しかし紆余曲折を経て、ついに美和と結ばれる。典型的なスポーツマンで大雑把で少々、無頓着な面が見られる。
中井 律子
演 - 宮崎ますみ大岩の所属するチームのマネージャー。基本的には明るく、さっぱりした性格だが、結婚の約束をしていた大岩との破局を受け入れることが出来ず、妊娠したと嘘をついた挙げ句、自殺未遂騒動を起こしてしまう。チーム解散の後、ニューヨーク赴任を引き受け、大岩の元を去って行った。
桂田 冬彦
演 - 佐野史郎東京大学出身[注 2]でエリート銀行員。美和を深く愛しているが、マザコン的な性格を始め、様々な性癖が元で結婚生活がうまく行かず、大岩と再会した美和から離婚を切り出され、嫉妬から嫌がらせを展開した。物語中盤、仕事で会社に損害を与えるミスをしてしまい、銀行を退職。その後、消費者金融会社に就職した。母親とのトラブルの直後、離婚を承諾。亡くなった冬彦の父が西田の菓子が好物で冬彦は子供の頃に店を訪れたことがありその時から美和に恋心を抱いていた。のちに見合いで再婚することになる。
桂田家
桂田 悦子
演 -
野際陽子冬彦の母。夫は銀行員だったが冬彦が小さい時に死別している。女手ひとつで息子を育てたこともあり、非常にプライドが高く、厳格な性格。しかし息子に対しては非常に甘く溺愛しており、息子のため西田家への切り札を振りかざすこともある。物語終盤、美和との離婚を決めた冬彦との言い争いの末、冬彦に刺されてしまう。
西田家
西田 常雄
演 -
橋爪功美和の父。仙台で和菓子屋を経営。美和を気に掛けてはいるが、店の経営資金融資が、桂田家の口添えであることから、美和の離婚・大岩との復縁を認めることが出来ない。娘の高校時代の事件を裏切りだと感じており、その以降信用していなかったが、物語終盤、大岩と和解した。
西田 春子
演 - 高田敏江常雄の妻で美和の母。心優しく美和の理解者ではあるが、夫の常雄には逆らえない。
サントス建設
中井 健治
演 -
小沢仁志律子の兄。大岩の同僚で、彼や佐藤の所属するラグビーチームの監督でもある。大岩とは親しい間柄だったが、律子と別れる事を告げられ憎悪する。
益田 行雄
演 - 増田由紀夫大岩や健治の後輩であり、同僚。ラグビーチームにも所属している。
佐藤 和也
演 - 長澤ユキオサントス建設に中途入社してきた若手選手。律子に好意を持つ。
美和たちの後輩
浅井 なつみ
演 -
坂井真紀美和たちが通っていた高校の生徒。幸治の子供を妊娠してしまい、悩むが後に産むことを決断。
高田 幸治
演 - 川原永詩(現・田辺誠一)浅井なつみの彼氏。美和たちが通っていた高校のラグビー部所属。恋人・浅井なつみの妊娠に動揺し、洋介に相談。小説版では、両親に勘当された設定。
その他
北野 知子
演 -
中村久美美和の友人。結婚生活に悩む美和の良きアドバイザーだが、自身の流産でショックを受けたこともある。
北野 啓一
演 - 明石家さんま友情出演・第5話ゲスト)知子の夫。
久保田
演 - 伏見哲夫
福井
演 - 立石涼子上記二名は家庭裁判所の調停委員。第6話・第7話に登場。
井上
演 - 山崎満銀行での冬彦の上司。
宇津井 慎二
演 - 大石吾朗
飯島弁護士
演 - 深水三章(第6話・第7話)
スタッフ

脚本 -
君塚良一

音楽 - 小林武史

主題歌 - サザンオールスターズ涙のキッス」(タイシタレーベル

演出補 - 山越克雄(現・福澤克雄)、植田博樹津留正明

プロデューサー - 貴島誠一郎

演出 - 生野慈朗 、加藤浩丈、 桑波田景信

製作著作 - TBS

放送日程

各話放送日サブタイトル演出視聴率
VOL.11992年7月03日危険なお見合結婚生野慈朗13.0%
VOL.21992年7月10日セックスしない夫13.9%
VOL.31992年7月17日氷の微笑加藤浩丈15.3%
VOL.41992年7月24日妻の過去は許さない!14.1%
VOL.51992年7月31日涙の誕生日桑波田景信17.4%
VOL.61992年8月07日離婚裁判生野慈朗18.1%
VOL.71992年8月14日ビデオテープの告白15.7%
VOL.81992年8月21日性生活の不一致桑波田景信20.5%
VOL.91992年8月28日悪夢の妊娠23.8%
VOL.101992年9月04日人形の家生野慈朗20.6%
VOL.111992年9月11日姑の罠桑波田景信22.3%
VOL.121992年9月18日冬彦の狂気生野慈朗29.6%
最終回1992年9月25日NO SIDE !34.1%
平均視聴率 19.9%(視聴率は
関東地区ビデオリサーチ社調べ)


関西地区での最高視聴率38%(最終回)。

2022年2月10日(木)からBS-TBSで放送予定。

エピソード
制作

放送開始前の世間ではバブル期の名残りあり、多くの女性たちが結婚相手に“三高”(高身長、高学歴、高収入)の条件を求めていた。新ドラマを企画する際、プロデューサー・貴島誠一郎は「世間に“そんな条件で相手を選ぶことが幸せですか?”と疑問を投げかけたい」との考えから本作の制作をスタートさせた[1]

脚本を依頼された君塚良一は、「現代版のロミオとジュリエットをやりたい」と提案した[1]。貴島はこれを受けて、「ヒロインは昔の恋人に未練を残しながらも、縁談相手の三高エリートサラリーマンと結婚するが、夫とその母親から元恋人との仲を引き裂かれ始める」という設定を思いついた[1]。しかし撮影開始直後、夫・冬彦にマザコンの設定が追加されたことで、作品の方向性が大幅に変わることとなった[1]

後に貴島が土屋敏男(当時日本テレビ)と対談した時に[注 3]、「冬彦が指に血を出した際、母親役の野際が口で止血するアドリブを見て、急遽彼をマザコンキャラに変えました」と述懐している。また、同シーンでは野際の演技に続いて佐野も自分で指を舐める演技をしているが、これもアドリブである[注 4]。これを目の当たりにした貴島は、「冬彦と母の関係性がこのドラマの一つの核になる」と確信したという[1]

佐野によると、本作では役者たちは各々の役の設定についてスタッフとよく話し合いながら作り上げたとのこと[注 5]。また、本作の中盤で視聴者が求めているものに気づいた[注 6]貴島たちは、以降「冬彦のマザコンぶり」、「異常とも言える母親の溺愛ぶり」等をデフォルメして見せることを意識して制作を進めた[1]。脚本を務めた君塚は後年、自著で「自分は愛についてのドラマを書いたつもりである」「佐野が評判になったため、当初作っていたプロットから大幅に変更し脚本を書き直して冬彦の出番を増やした」とも述べている。
視聴率

本作放送前のドラマ界はフジテレビトレンディドラマ全盛時代であり、TBSは視聴率で苦戦続きだった[1]。本作のストーリーそのものは「昔の恋人と結ばれなかったヒロインが、エリートサラリーマンと結婚したが、夫やの身勝手な振る舞いに耐え切れなくなり、昔の恋人とヨリを戻す」というもの。このため放送開始直後は、特にヒットする要素はないように思われたが、先述の冬彦の設定が変わったことで変化が起きた。それに合わせて放送から程なくして佐野史郎や野際陽子の強烈な演技が話題となり、じわじわと視聴率を上げた。

初回13.0%しかなかった視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区・世帯・リアルタイム)は、最終回では34.1%をマーク。この34.1%という数字は、1992年の民放連続テレビドラマの中で最高視聴率となり、TBS内でも年間最高視聴率を獲得した[注 7]。ただし前半の数字が低く、初めて20%以上を記録したのが第8話であったため、平均視聴率は19.9%に留まった(詳しくは後述の「放送日程」を参照)。

このような視聴率の推移を辿る連続ドラマ(うなぎ登り型作品)は、稀なケースである。同様の推移を辿ったドラマは、1977年以降では本作を含めて10本のみ[注 8]である。本作のように最終回の視聴率が初回の2倍を超えるというのは、非常に珍しいケース[注 9]でもあった。
冬彦役の演出など

佐野は冬彦を演じるにあたり、「(犯罪を題材に取った作品が多い)劇作家山崎哲の戯曲や論文を参考にした」と自著で回想している。また、冬彦のキャラクター作りに関して、佐野とスタッフたちは何度も話し合いを重ねた[1]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:73 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef