しろばんば
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しろばんば
著者井上靖
ジャンル長編小説
日本
言語日本語

ウィキポータル 文学

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『しろばんば』は、井上靖の自伝的長編小説である。『主婦の友』に1960年(昭和35年)から連載された。その後、続編として『続しろばんば』が連載された。双方とも中央公論社から単行本として刊行され、後に前者を前編、後者を後編とし、改めて『しろばんば』として新潮社より文庫本として刊行されている。『夏草冬濤』『北の海』へ続く自伝小説、私小説3部作の1作目にあたる。

題名の「しろばんば」とは雪虫のこと。本作品の舞台であり、作者自身が幼少時代を過ごした静岡県伊豆半島中央部の山村・湯ヶ島では、秋の夕暮れ時になればこの虫が飛び回る光景が見られた。
解説

分類としては自叙伝的作品の部類に属し、さらに続編として『夏草冬濤』(主に旧制中学校時代)、『北の海』(旧制高等学校受験、浪人以後)と続く。なお、同様に井上靖自身の成長過程をモデルとした小説に『あすなろ物語』があり、あすなろ物語第一編「深い深い雪の中で」が「しろばんば」と時期的に重なる。両作品には主人公が「曽祖父の妾」と同居している等、共通点 もある。しかし、井上本人は「あすなろ物語は創作で、しろばんばは自叙伝的小説」と述べている(『あすなろ物語』の第二編「寒月がかかれば」が時期的に『夏草冬濤』と重なる)。

本作品の時代背景は大正初期で、前編は、主に主人公・洪作と母方の叔母・さき子や義理の曽祖父の妾・おぬい婆さんとの触れ合い、後編は主に転校生・あき子との初恋、そしておぬい婆さんの死が描かれている。さらに沼津の商家「かみき」の蘭子や三島の伯母など、数多くの親戚が登場する(特に後編)のも特徴である(例示した両者は『夏草冬濤』の前半で登場する)。このように、多くの親戚との触れ合いの中で井上靖の豊かな人格が形成されたことがうかがえる。

内容が主人公・洪作が小学校2年生から3年生(前編)、 5年生から6年生(後編)と少年の自我の芽生えから思春期を描いたものゆえ、小学校の課題図書に指定される場合が多い。しかし内容は奥深く、大学の研究論文対象になるなど、小学生のみならず大人の読み物としても耐えうるものである。
あらすじ
前編

大正時代の初期、伊豆半島中央部の山村・湯ヶ島。秋の夕方ともなれば、どこからともなく雪虫が飛んでくる。野遊びから帰りぎわの子供たちは「しろばんば、しろばんば」と囃しながら、雪虫を木の枝で捕まえてはしゃぐのだった。

そんな子供たちの一人である洪作は、実の両親が健在ながら義理の曾祖父・辰之助の・おぬい婆さんと2人で暮らしている。この奇妙な生活は、洪作が5歳の頃に始まる。当時、洪作の母・七重は第2子を妊娠中で、忙しさのあまり一時のつもりで洪作をおぬい婆さんに預けた。「庇護者をなくした妾」という極めて不安定な立場にあったおぬいは、自身の立場を確立する目的から洪作を手放そうとせず、やがて洪作自身も母よりおぬいに懐いた。結局、洪作は軍医として任地を転々とする父母と別れ、伊豆山中にある両親の故郷・伊豆の湯ヶ島で少年時代を送ることになった。近隣に住む洪作の母方の祖父母や年少の叔父、叔母、さらに今だ健在だった曽祖父の本妻らはおぬいを「腹黒い女」と非難し、洪作に対しては「かわいそうに、ろくでもない者の人質になって」と憐れみと皮肉を取り混ぜた受け答えをする。しかし、洪作はおぬいに愛され、洪作もまたおぬいを慕っていた。

洪作が尋常小学校2年に進級した年、母の妹で沼津の女学校を卒業したばかりのさき子が、洪作の通う小学校に教員として着任する。それまでさき子を良い遊び相手として慕っていた子供たちは、一種の「壁」を感じ始める。やがて一学期最後の成績表授与の日。おぬい婆さんは洪作に正装としてを履かせる。袴姿で登校した洪作は上級生から「生意気」だと暴行を受けるが、抵抗できない。そこへ別の集落の少年・光一も袴を穿いて現れた。やはり生意気だとして暴行を受ける光一だが、砂や石を投げつけるなどして果敢に抵抗する。さらに成績表授与の場で光一の成績が首席と知り、正義感でも成績でも光一にかなわないと、洪作は劣等感を覚えた。

夏休みに入り、洪作はおぬい婆さんと共に父・捷作の現在の任地・豊橋に向かう。街の生活のはなやかさに惑わされて迷子になるなど事件を起こす一方、やはり町の子供と山育ちの自身を引き比べ、多少の劣等感を覚える。元来は気の合わないおぬい婆さんと母・七重が一つ屋根の下で暮らす生活の中、多少の諍いを交えつつも、洪作がこれまで通りおぬい婆さんの元で暮らすことが取り決められ、2人は土産物を整えて湯ヶ島に戻る。

2学期が始まって洪作の嫌なことは、さき子が教職仲間の中川基と恋愛関係にあるという噂が村内に立ち始めたことである。やがてさき子は妊娠し、村内はさき子や中川を当てこする噂で持ち切りとなった。中川は責任を取る形で伊豆半島西海岸へ転勤していく。人気者の教師だった中川の転勤は、子供たちの心に少なからぬ動揺を来した。年が明けて間もなくさき子は男児を出産した。

洪作が3年に進級して間もなく、近隣の村落の少年・正吉が神隠しに遭遇する。数日後に正吉が発見された折、彼の様子を見に行こうとした洪作は自身が神隠しに遭遇してしまう。それから一月後、義理の曽祖父・辰之助の本妻だったおしな婆さんが老衰で死去する。妾として、おしなから辰之助を奪った形となるおぬい婆さんは、自身に集まる非難の視線を感じつつ本家の台所で立ち働く。洪作は、そんな彼女の胸中を思いやる。

5月下旬。さき子と共に共同浴場に行った洪作は、彼女が見違えるほど痩せ衰えていることに驚く。ほどなくさき子が肺病に罹患したとの噂が立つ。さき子は教職を辞して実家に引きこもるが、洪作はさき子に会いたい余り実家を訪ねる。そして病気の伝染を恐れて入室を拒むさき子と襖越しに会話することで、一種の甘美な思いを抱くのであった。

6月。洪作はおぬい婆さんと共に、沼津で指折りの豪商「かみき」の家を訪れる。夫人の計らいで海岸に連れていかれ、初めて体験する潮騒に興奮するものの、その帰り道で買い食いした蜜柑水ところてん食中毒を起こし、寝込んでしまう。病床から、洪作は伊豆の山村では想像もつかない、商家の贅沢ながらも退廃的な暮らしを垣間見ることになる。

ほどなく、病状の悪化したさき子は人目を忍んで夫や子どもの待つ伊豆半島西海岸に転地していく。さき子と犬猿の仲だったおぬい婆さんも、さすがにさき子を思い遣る。しかし夏休みが始まって間もなく、さき子の訃報が届く。祖母・たねやおぬい婆さんが泣き崩れて初めて、洪作はさき子の死を事実として悟った。

さき子の葬式のために一族の大半が西海岸に向かう中、留守を任された洪作は遊び仲間と天城峠のトンネル見物を思い立つ。総勢20人あまりの一団を先導するのは洪作だが、やはりさき子の死で動揺を隠しきれない。その思いを振り払うべく、後方へ「がんばれ!」と怒鳴るのだった。
後編

洪作が尋常小学校5年生に進級した秋、近隣にある「帝室林野管理局天城出張所」に新たな所長が赴任して来る。所長には2人の子がおり、それぞれ洪作の通う小学校に転入した。その子供たち・あき子と公一は村の悪童らから「あき子のアの字はアンポンタンのアの字」「公一のコの字は小芋のコの字」と囃し立てられるが、洪作のみは囃し声に胸を痛めると同時に、姉のあき子に淡い恋愛感情を抱く。一方でおぬい婆さんは年々老衰が進み、洪作も次第にそれを悟るようになる。そんなある日、おぬい婆さんは故郷である伊豆半島南端・下田の町へ一泊の旅に出る。彼女に付き添った洪作は、妾として故郷を捨てざるを得なかったおぬい婆さんの胸中を思う。

12月、子どもたちの間では登校前のランニングが流行っていた。そんな折、女子を率いて先頭を走るあき子が、悪童が仕掛けた落とし穴に嵌る事件が勃発する。これを目撃した洪作は怒りのあまり、落とし穴を仕掛けた張本人を組み伏せ、石で殴り倒す。しかし、洪作はこの事件が原因であき子から距離を置かれてしまう。

年が明けて間もなく、村には新たな交通手段としてバスが導入される。仕事を奪われる形となる馬車引きが小学校の用務員と喧嘩するのを見かけた洪作は、落ち目になって消えるものの運命を悟る。

春休み、数年ぶりで沼津のかみきの家を訪れた洪作は、かみきの姉妹・蘭子とれい子の派手な喧嘩に圧倒されるものの、その後で千本松原を歩む道中、蘭子から石川啄木の恋の歌を教えられる。都会的な蘭子に引き比べて、自分ら湯ヶ島の子どもは田舎じみている。そんな思いで村に帰り、共同浴場を訪ねた洪作はうっかり女生徒の入浴に鉢合わせしてしまい、激しくののしられる。


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