さよならドビュッシー
[Wikipedia|▼Menu]
.mw-parser-output .pathnavbox{clear:both;border:1px outset #eef;padding:0.3em 0.6em;margin:0 0 0.5em 0;background-color:#eef;font-size:90%}.mw-parser-output .pathnavbox ul{list-style:none none;margin-top:0;margin-bottom:0}.mw-parser-output .pathnavbox>ul{margin:0}.mw-parser-output .pathnavbox ul li{margin:0}岬洋介シリーズ > さよならドビュッシー

さよならドビュッシー
Good-bye Debussy
著者中山七里
イラスト北沢平祐 or PCP
発行日2010年1月22日
発行元宝島社
ジャンル推理小説、音楽小説
日本
言語日本語
形態四六判上製本
ページ数367
次作おやすみラフマニノフ
公式サイトtkj.jp
コードISBN 978-4-7966-7530-7
ISBN 978-4-7966-7992-3文庫本

ウィキポータル 文学

[ ウィキデータ項目を編集 ]

テンプレートを表示

『さよならドビュッシー』は、中山七里による日本推理小説

ピアニスト岬洋介が登場する「岬洋介シリーズ」の第1作で、第8回『このミステリーがすごい!』大賞大賞受賞作。太朗想史郎の『トギオ』とダブル大賞受賞となり、応募作の『バイバイ、ドビュッシー』に加筆して中山の初の単行本として刊行された。売上は25万部を突破[1]

作品の構想が練られた頃は二ノ宮知子の漫画『のだめカンタービレ』がブームとなっており、著者の中山は、今世間に求められているのはこういう作品なのだろうと思い[2]、音楽の力を武器に闘う少女の物語にしたいと考える[3]。そして執筆前にはマーケティングも実施し、音楽をベースに韓流のようなアップダウンのあるストーリー展開になるよう意識して、ミステリーを読まない層でも本の世界に入っていきやすくしたことが功を奏したと語っている[4]

2013年に映画化および漫画化。2016年にテレビドラマ化[5]
あらすじ

ピアニスト志望で特待生として音楽科への推薦入学が決まっている香月遥は、ピアノ教師の鬼塚に叱責されながらも自らの腕を磨くため、日々練習に明け暮れていた。2か月前にスマトラ沖地震で突然家族を失い、以降香月家に身を寄せている従姉妹の片桐ルシアとは同い年で共通点も多く好みも合い、ピアニストになるという夢も同じだったため、2人はまるで姉妹のように仲が良く、遥の父・徹也はルシアを養子にする話を進めていた。そんな2人を、悲劇が襲う。遥の両親や、同居している叔父の研三が用事で家を空け、介護士の綴喜みち子も家に帰ってしまった夜遅く、香月家当主である香月玄太郎の部屋から出火し、あっという間に3人がいた香月邸の離れは全焼してしまう。

全身大やけどを負ったものの、形成外科医の新条の移植手術により奇蹟的に命を取り留め、顔も以前と寸分違わぬものに再生される。しかしカエルのように醜い声、見た目は元通りになったもののちっとも思い通りに動かない指、そして何より自分しか助かることができなかったことに対してのショックは大きかった。そして2か月後の退院に合わせ、香月家の顧問弁護士・加納が持ってきた玄太郎の遺言書の内容にさらなる衝撃を受ける。そこには、「総資産(12億7000万)のうち2分の1を遥に譲り渡す。ただし、相続分は信託財産に組み込み、音楽教育および音楽活動に対する資金として供用される。」と書かれていた。図らずも最大の遺産相続人となってしまったが、火傷が完治しないにもかかわらず予定通り旭丘西高等学校音楽科に入ったことでクラスメイトからは嫌味を言われ、学校からは特待生として入学した以上、何らかの結果を出し続けなければならないという条件も突き付けられ、喜びよりも戸惑いの方がはるかに大きかった。あれだけ期待をかけてくれていた鬼塚にすら冷たい態度をとられ、ピアニストの夢も諦めそうになるが、そこで鬼塚の弟弟子だという岬洋介がレッスン役を買って出る。

目指すのはアサヒナ・ピアノコンクール。二人三脚で連日厳しい練習を続けていたが、家の階段の滑り止めが剥がされていたり、松葉杖の留め金がゆるめられていたりと身の危険を感じるようになる。さらには、母・悦子が荒薙神社の石段から落ちて亡くなるという悲劇が香月家を襲う。しかし現場を調べた岬はこれが事故でないことを早々に見抜き、犯人に思い当たる。そして岬は、もう遺産目当てで殺人が起こることはないと確信する。そして迎えた6月21日、アサヒナ・コンクール第一次予選。下諏訪美鈴の演奏に圧倒され、舞台袖で辛辣な言葉をかけられながらもなんとか一次予選を突破。しかし結果を確認して裏口から出ると、そこには榊間刑事に任意同行をかけられる綴喜みち子の姿があった。いきさつを知っているらしい岬は、明日のコンクール本番が終わったら全てを説明すると告げる。

そして本選当日。全身全霊をかけた演奏を終えて結果発表を待つステージ袖で、岬は真相を話し始める。
登場人物
香月家

先祖代々の土地を売った土地成金や地主が多数住んでいる高級住宅地の中でも周辺から「お屋敷町」と呼ばれている一帯にあり、その中でも高台に建っている。
香月 遥(こうづき はるか)
本作の主人公。審査員満場一致で特待生として私立高校の音楽科への推薦が決まっているピアニスト志望の16歳
[6]。小首を右に傾げるクセがある。
片桐 ルシア(かたぎり ルシア)
遥の従姉妹で、遥と同じくピアニストを目指している。遥とは同い年で、見た目や性格なども瓜二つである。人見知りのため、ピアノの技量は遥と同程度であるにもかかわらず、思ったように力が出せないことが多い。両親は共に日本人だが、結婚後すぐに仕事の都合で
インドネシアへ飛び、すっかり馴染んでそのまま帰化したため、ルシアは現地で生まれ、インドネシア国籍でイスラムの洗礼も受けている。しかし父親の意向で可能な限り日本の文化に触れるため日本人学校に通い、毎年欠かさずクリスマスから正月三が日は帰国して日本で過ごすようにしていた。2004年12月26日に発生したスマトラ沖地震の津波により両親を亡くす。仕事が残る両親より先に帰国していたため1人だけ生き残り、以降、祖父である玄太郎が当主である香月家に身を寄せている。地震以降、海岸や川岸の風景に敏感に反応するようになってしまう。
香月 玄太郎(こうづき げんたろう)
遥とルシアの祖父で、香月家の当主。70歳過ぎ。2年前に脳梗塞で下半身不随になって以降、車椅子生活をしている[注釈 1]。口が悪く、しょっちゅう部下や息子に対して怒鳴り散らすが、突然両親を亡くしてしまった孫のルシアのことを心から心配し、気にかけている。自身の部屋から出火した火事により、命を落とす。
香月 徹也(こうづき てつや)
遥の父で玄太郎の長男。玄太郎の事業とは一切関わりのない大手銀行に20年以上勤め、現在は支店長代理。しかし銀行は破綻を噂されており、日々悩みがたえない。「まあ、何とかなるさ」が口癖。
香月 悦子(こうづき えつこ)
遥の母で徹也の妻。玄太郎と息子たちとの仲裁役を買って出たり、義理の弟である研三のことを心配したりと面倒見が良い。子供の頃には自身もピアニストを目指したが、家庭の金銭的理由で商業高校へ入学させられて夢が潰えたため、遥がピアニストとして優秀なことを自慢に思い、成功することを何より願っている。そのため、時にはスパルタな物言いをすることもある。実家は
石川県七尾市で、事務機メーカーでOLをしていた時に徹也と知り合い、結婚した。母親は1年前に他界している。
香月 研三(こうづき けんぞう)
遥の叔父で玄太郎の次男。30歳半ばを過ぎているが無職。大学在学中から漫画家を夢みていたが、いまだ芽が出ず、最近は作品も書かずに1日漫画を読むかアニメを見ている。しかし正義感は強く、人当りが良く頭の回転も早いため、遥に"決して嫌いではない"と評される。
片桐 玲子(かたぎり れいこ)〈旧姓:香月〉
ルシアの母で玄太郎の長女。兄弟の中では一番楽天家だったが、スマトラ沖地震で夫・昭(あきら)と共にあっさり命を落とす。男勝りで才気煥発、玄太郎相手にも物怖じせず言いたい放題だった。本作では名前のみ登場。
旭丘西高等学校
桃山 美沙(ももやま みさ)
校長。
工藤(くどう)
遥の担任。
君島 有里(きみじま ゆり) / 時坂 恵(ときさか めぐみ) / 涼宮 美登里(すずみや みどり)
遥のクラスメイトたち。全身大やけどを負いながらも特待生として入学してきた遥が気に入らず、ことあるごとに厭味を言う。
その他
岬 洋介(みさき ようすけ)
鬼塚のピアノレッスン時に初めて遥と出会い、のちにレッスンを引き受ける新進気鋭のピアニスト。鬼塚の弟弟子で、現在は音大の非常勤講師として働いている。の文化芸術センター近くの広小路通沿いのワンルームマンションに入りたいと玄太郎の面接を受け、気難しい玄太郎に珍しく即決された稀有な人物。
綴喜 みち子(つづき みちこ)
介護士。メインは玄太郎の介助だが、それだけではなく香月家全員の食事も担当している。火事後は玄太郎ではなく遥の世話をするために香月家との契約を継続するが、ぱったりと笑顔を見せなくなってしまう。
新条(しんじょう)[注釈 2]
大学病院の形成外科医で遥の担当医。痩せぎすで神経質そうな面立ちに黒縁の眼鏡をかけている。重度の火傷を負った遥の皮膚の移植手術を担当する。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:91 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef