さびしんぼう
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この項目では、大林宣彦の映画作品について説明しています。

富田靖子の楽曲については「さびしんぼう (富田靖子の曲)」をご覧ください。

さびしんぼう
監督大林宣彦
脚本剣持亘、内藤忠司、大林宣彦
出演者富田靖子
尾美としのり
藤田弓子
小林稔侍
岸部一徳
浦辺粂子
音楽宮崎尚志
撮影阪本善尚
製作会社アミューズ・シネマ・シティ
東宝映画
配給東宝
公開 1985年4月13日
上映時間110分
製作国 日本
言語日本語
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『さびしんぼう』は、1985年公開の日本映画

瀬戸内尾道を舞台に、少年の恋をノスタルジックに描いた作品である。主人公を監督の分身として描き[1]、監督の自伝的色彩が強いといわれる。全編に、ショパンの『別れの曲』が流れる。

尾道三部作”のひとつ。ポスターには、「尾道三部作 完結編」と記された[2]
概要

『さびしんぼう』という言葉は、大林監督の造語である[3][4]広島弁で腕白小僧、悪ガキを意味するがんぼうに対する女の子の呼び名がないので『さびしんぼう』というのを考えたという[3]。16歳の頃から使っている言葉で[4]8mm映画にも『海の記憶=さびしんぼう・序』など、『さびしんぼう』を題名にしたものが何本かある[4]。"がんぼう"が女の子を思うと"さびしんぼう"になる。"さびしんぼう"は両性具有コンセプトで、人を愛することは淋しいことだという大林の感性が育んだ造語なのである[3]。大林は「ぼくの映画は全部"さびしんぼう"という題をつけてもいいと話している。『さびしんぼう』は、大林がずっと暖めていた企画で、かつては山口百恵小林聡美ハニー・レーヌで撮影しようと考えたり、『廃市』を『さびしんぼう』の題名にしようとしたこともあった[5]。『姉妹坂』の製作が一年延期になったとき[6]、「富田靖子の高校の冬休みを使って映画を撮影しませんか?」との申し出を受け、題名を『さびしんぼう』にし、かつて読んだことのある山中恒の『なんだかへんて子』を原作に撮影された[7]

黒澤明はこの作品を大変気に入り、自分のチーム“黒澤組”のスタッフにも観るように指示したというエピソードもある[8]
スタッフ

原作 -
山中恒『なんだかへんて子』(偕成社, 1975年)撮影中に尾道には珍しい雪が降り、訪れていた山中は「小樽の雪は下から舞い上がってくるんですよ」と大林監督に語った。これがのちの『はるか、ノスタルジィ』を生むきっかけとなる。

脚本 - 剣持亘、内藤忠司、大林宣彦

監督・編集 - 大林宣彦

撮影 - 阪本善尚

音楽 - 宮崎尚志

主題歌 - 富田靖子さびしんぼう」ショパンの「別れの曲」(練習曲作品10-3 (ショパン))に売野雅勇が歌詞を付け瀬尾一三が編曲したもの

製作者 - 小倉斉、山本久、根本敏雄、出口孝臣

プロデュース - 森岡道夫、久里耕介、大林恭子



キャスト
井上ヒロキ
演 -
尾美としのり主人公。寺の跡取り息子。普段友人たちとふざけながらも楽しく高校生活を送っている。小学生の頃にチョコレートを食べて鼻血が出てしまったためチョコレートが苦手。趣味はズームレンズ付き一眼レフカメラのファインダー越しに人や風景を見ること(本当は写真を撮りたいが、高いカメラを買ったため金欠でフィルムまで手が回らない)。自室で女性の裸の写真集を見ているが、本人は芸術と言っている。勉強はあまり得意ではなく、通知表は5段階評価中2がほとんどである。ピアノで『別れの曲』を練習しているが、なかなか上達しない。
さびしんぼう
演 - 富田靖子(本作では橘百合子役を含めて一人四役)ショートヘアに顔が白く、風変わりな格好をした少女。16歳。ある時からヒロキたちの前に現れるようになる。不思議な存在だが幽霊ではなく、他人が触れることができる。いたずら好きで、タツ子に「ヒステリーババァ」などと言ったり、テルエに悪口を言うこともある。本人によると「水に濡れると死んでしまう」とのこと。
橘百合子
演 - 富田靖子女子高校に通う女生徒。ストレートヘアのおしとやかな女の子。放課後に一人で高校の音楽室のピアノを弾くのが日課。ヒロキがカメラのズームレンズで彼女の高校を見ている時に見かけて好意を持つようになる。その後自転車のチェーンが外れて困っていたところ、偶然通りかかったヒロキと出会う。
ヒロキの家族
井上タツ子
藤田弓子主人公の母親。ヒロキによると「勉強しろと口うるさく女性らしい麗しさのかけらもない」とのこと。ヒロキの部屋にノックせずいきなり入ってくるなど、ややデリカシーにかける。ショパンの『別れの曲』が思い出の曲で、ヒロキにピアノで弾けるようになって欲しいと願っている。
井上道了(どうりょう)
演 - 小林稔侍主人公の父親で寺の住職。ヒロキによると「無表情で(仕事以外では)ほとんど喋らず、僕にとっては得体の知れない大人という生き物の代表」と言っている。作中では出演シーンのほとんどがお経を上げているシーンである。タツ子とは見合い結婚。ヒロキに人を好きになることの重要性を伝える。
井上フキ
演 - 浦辺粂子主人公の祖母。少々耄碌(もうろく)しておりヒロキの名前を道了と間違えることがしばしば。小さい頃はすばしっこくて「ましら(猿のこと)のフキちゃん」と呼ばれていた。悠々自適に暮らしており、普段は墓地を掃き掃除したり、正月にはカルタ遊び、節分には豆まきを一人で楽しんでいる。
ヒロキのクラスメイト
田川マコト
演 -
砂川真吾主人公の友人。身のこなしが軽く、宙返りやバク宙などが得意で、ヒロキたちと一緒にいる時に何度か披露している。チョコレートが好きで、登下校中に持ってきた板チョコを食べている。
久保カズオ
演 - 大山大介主人公の友人。いつもヒロキとマコトと3人で途中まで一緒に下校したり、行動を共にしている。おちゃらけた性格で3人でふざけあってる。
木鳥マスコ
演 - 林優枝主人公の小学校からの幼馴染。クラス委員を務める。少々お節介な性格で色々とヒロキに口出しする。成績優秀で5段階評価でオール5。ただし真面目すぎるわけでもなく、本作では最近ヒロキの母の様子がおかしいと知った時は、クラスメイトに話を広めたりマコトや吉田を引き連れて家に押しかけて、面白おかしく様子を見ている。
ヒロキの学校の関係者
吉田徹
演 -
岸部一徳ヒロキが通う高校の理科の担当教師。ヒロキたちが理科実験室の器具を使ってすき焼きをした時に、没収と称して具材を食べるなどちゃっかりした性格。ヒロキの家でちょっとした騒動が起こった時は、嬉々として「救急車を呼べー!一度救急車を呼んでみたかった!」などと言って興奮するなど、あまり真面目な人物ではない。カズコに好意を持っている。
大村カズコ
演 - 秋川リサヒロキが通う高校の英語の担当教師。作中ではコミカルな演出で、なぜかスカートが下がってしまい下着が見えてしまうシーンが何度かある。『若草物語』が大好きで、話の中の登場人物が鼻を高くするために自分の鼻を洗濯ばさみで挟んで寝る、ということを真似ている。
岡本
演 - 佐藤允ヒロキが通う高校の校長。校長室で白いオウムを飼っていて、宮沢賢治の『雨ニモマケズの詩を覚えているのが自慢。しかしほどなくしてヒロキたちから昔の流行歌『タバコやの娘』の替え歌である、「たんたんたぬきのキンタマは?」という下品な歌を聞かされて変な言葉を覚えてしまう。
PTA会長
演 - 入江若葉日本髪をアレンジしたような髪型と派手な服が特徴の女性。校長のオウムが下品な言葉(上述)を話したことで問題にする。
その他
マコトの母
演 -
根岸季衣息子たちが校長室のオウムに下品な言葉を教えたため、校長に呼び出され、注意を受けるはずが、オウムが話す下品な言葉につい吹き出してしまう。


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