さくら心中
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さくら心中
ジャンル
テレビドラマ
脚本中島丈博
演出星田良子(共同テレビ)ほか
出演者笛木優子
徳山秀典
音楽森英治
オープニング徳永英明春の雪
製作
プロデューサー服部宣之(東海テレビ)
後藤勝利(共同テレビ)
制作東海テレビ
共同テレビ

放送
音声形式ステレオ放送
放送国・地域 日本
放送期間2011年1月5日 - 4月8日
放送時間平日13:30 - 14:00
放送枠東海テレビ制作昼の帯ドラマ
放送分30分
回数63
公式サイト
特記事項:
2011年3月14日 - 18日は東日本大震災関連のFNN報道特別番組またはFNNスピークの枠拡大のため、休止となり、以降1週順送り。
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『さくら心中』(さくらしんじゅう)は、東海テレビ共同テレビの制作により、2011年1月5日から4月8日までフジテレビ系列平日-)の13:30 - 14:00に放送されていた昼ドラである。平均視聴率5.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区・世帯・リアルタイム)。
概要

昭和後期から平成の近代までの飛騨高山岐阜県高山市)を舞台に、桜の木の下で運命的に出会った男女の純愛を、過激なベッドシーンや愛憎劇を交えて描く壮大なラブストーリー。物語は時代で大まかに区切られており、昭和50年から55年までの第1部(第1 - 31話)と、平成元年から7年までの第2部(第31話終盤 - 第52話)、平成8年以降(第53話中盤 - 第63話)で構成されている。キャッチコピーは「震えて、揺れて、乱れて、悶える。」

東海テレビが得意としている「ドロドロ愛憎劇」「サスペンス」の要素を取り入れ、更にはジェットコースターの様に急展開する恋愛劇であり、本枠で『真珠夫人』『牡丹と薔薇』などを手がけた中島丈博が『非婚同盟』(2009年1月 - 4月放送)以来2年ぶりに脚本を担当する。日本と韓国で活躍する笛木優子は本作が日本の連続ドラマ初主演となる。ナレーションは宗形勝役の松田賢二が担当している。

第49話から第53話までが放送される予定であった3月14日から18日までは11日に発生した東日本大震災関連のFNN報道特別番組またはFNNスピークの枠拡大のため、全国で放送休止となり、翌週から1週遅れで放送された。終了予定も4月1日から4月8日に変更された。さらに、4月8日の最終回は、前日深夜に起きた地震の影響で停電となったため東北地方の一部(岩手、宮城など)で見られない地域があった。それに伴い、宮城県(仙台放送)では、4月16日 1:10-1:40(15日深夜) に、岩手県(岩手めんこいテレビ)では、4月16日 16:55-17:25 にそれぞれ再放送された。

第47話で登場した日本酒の『桜衛』は、ロケ協力をした二木酒造から限定発売された[1]
ストーリー
第1部

昭和34年の春、桜の木をこよなく愛する造り酒屋「いさみ酒造」当主の宗形郁造は、長男の勝とともに兵庫県の田舎町の古寺にある千年桜を見に行き、そこで出会った幼い桜子を引き取った。

時は流れ昭和50年、飛騨・高山で郁造の一人娘として美しく成長した桜子と、『いさみ酒造』に蔵人として入ってきた高梨比呂人は千年桜の下で運命的な出会いをし、恋に落ちる。比呂人は幼い頃秀ふじに養育され、高校卒業後は伏見の酒蔵で働いていた。秀ふじが本当の母親だと思っていたため、後に引き取られた実母に馴染めずいじめられて育った。勝は比呂人と桜子が千年桜の下でキスをしているのを目撃、嫉妬のあまり比呂人を力任せに殴りつける。明治時代から続く『いさみ酒造』だが、郁造が桜子と出会った寺から千年桜を移植させるために財産を注ぎ込んでからは経営が傾き始め、近年は櫛山唯幸が経営する高利貸しの融資に頼らざるを得ない状態になった。唯幸は、桜子に付きまとった息子の雄一が勝に殴られたこともあり、融資の融通を利かせる条件として、雄一と桜子を結婚させようとする。ところが、郁造が愛人関係にあった桜子の実母・秀ふじと心中を図って亡くなったのを境に、桜子をとりまく環境が激変する。

唯幸に酒蔵の経営権を宗形家から奪わないことを条件として、雄一との結婚を決心した桜子は、郁造から実の兄だと聞かされていた比呂人と結ばれた。数ヵ月後、結婚式の前日につわりが始まり妊娠がわかる。その夜、勝は桜子を抱こうとしたが、桜子から比呂人の子を妊娠したと告げられる。結婚式当夜、勝は理不尽な桜子の結婚の鬱憤を晴らす様に沙也香と酔った勢いで関係を持つ。雄一は桜子の妊娠を知らぬまま一切夫婦生活を断られる。しかし、産婦人科医が『美容室タチバナ』に来たことで桜子の妊娠が明らかになる。他の男の子供を妊娠している事を知った雄一は激怒。数ヵ月後、勝と沙也香は結婚。2次会の席で雄一は酔って桜子への鬱憤をぶちまける。11月、再び『いさみ酒造』で新酒の仕込みが始まるが、比呂人はいなかった。同じ頃、桜子が産気付き、女児・さくらを出産。しかし唯幸はさくらの父親が雄一でないと見抜いていた。桜子から「世界一愛した人の子」を妊娠したと言われた雄一は『いさみ酒造』で勝に再び怒りをぶつけるが、勝は桜子を守るため「自分がさくらの父親、桜子と愛し合っている」と沙也香やまりえの前で言い放つ。さくらは宗形家で育てられる事になった。

唯幸は愛人・由佳子に協力させ、勝とさくらの血液鑑定を行い、さくらが桜子と勝の子ではない事が発覚。桜子は秀ふじと勝から、比呂人と兄妹だという話は、郁造の嘘だったと知らされ、実の兄の子を産んでしまったという罪悪感から解放される。だが、事実を知った沙也香は「勝さんの子供だと思って、育てていたのに!騙された!!」と激怒し実家に戻る。沙也香は怒り任せに『美容室タチバナ』に怒鳴り込み、さくらは勝の子ではない事を暴露し、勝には電話で離婚を宣言する。真実を知った唯幸は激怒。「子供に罪は無い」とさくらをかばう雄一の懇願を無視し、由佳子にさくらを略奪させ、貧農の押川家へ養女に出す。毎日泣き暮らす桜子を見かねた雄一は桜子を押川家に連れてゆくが環は取り合わない。しかし陸雄の計らいで週に1度だけ密かにさくらと会える事に。これがきっかけで桜子は雄一に体を許し、桜子は櫛山家の嫁として平穏な暮らしをしていた。

3年後、環に桜子とさくらの秘密の面会が知られてしまい、面会できなくなる。沙也香は「いさみ酒造」の酒を注文した男が比呂人だと悟る。雄一は沙也香から「比呂人が高山に戻ってきた」と聞かされ不安になる。3年ぶりに実家で比呂人と再会した桜子は浮かれ、気もそぞろとなり、仕事で大きなミスをしてしまう。嫉妬する雄一から暴力を振るわれたのをきっかけに、比呂人とさくらの3人で生きてゆくことを決意。しかし環がさくらを手離さず、二人は心中を決意。二人が関係している最中、唯幸が部屋に乱入し桜子を櫛山家に巧みに戻すが、桜子は隙を見て家を出る。桜子がいなくなり、櫛山家では大騒ぎに。桜子は比呂人と服毒、心中する。勝が発見し、桜子は病院に運ばれて生き残ったが、比呂人は死亡とされた。

6月、退院した桜子は櫛山家には戻らず『ふじ川』を手伝う。店は心中の生き残り美人母娘の店として週刊誌の取材がやって来るほど繁盛する。共に桜子を憎む沙也香と雄一は愛人関係になり、雄一と沙也香は桜子との離婚を唯幸に願うが唯幸は聞き入れない。その頃、環は旅役者・富太夫を家に連れ込み、養子たちを育児放棄していた。勝と桜子が押川家に行くとさくらの姿はなく、一足先に唯幸が環に大金を渡し、桜子を家に呼び戻すためにさくらを連れ戻していた。さくらが恋しい桜子は、秀ふじが止めるのも耳を貸さず櫛山家へ戻る。密かに桜子を狙う唯幸はほくそ笑み、健は再び桜子と暮らせる事に大喜び。頑なな桜子も好きではないが、きつい性格の沙也香を嫌う真紀枝は「沙也香と別れて、桜子とやり直せ」と雄一を窘めるが雄一は聞く耳を持たないばかりか、沙也香を家へ連れ込み関係をもつ。父の行為に怒った健は沙也香の衣服を屋根に投げ捨てる。再び『美容室タチバナ』で美容師として店に出た桜子は、雄一の客から絶賛される。会計をしていた雄一は憮然としていた。

11月、唯幸は酒の仕込みが始まった『いさみ酒造』に、健の社会科の宿題「親の仕事」のため「いくらなんでも貸金業はまずいだろう」と健とさくらを連れてくる。勝は唯幸から「今年から大吟醸を1タンクだけ作ってもいい」と言われ、勝は感謝する。翌年4月、雄一の子を妊娠した沙也香は櫛山家に同居していた。雄一の妻の座を狙う沙也香に「唯幸と桜子ができている」と嘘を吹き込まれた真紀枝は桜子を叩き、その事で唯幸と口論となり、はずみで階段から転落し意識不明になる。『美容室タチバナ』は桜子が取り仕切ることになり、若い客が増え繁盛する。健は陸男に「友情のしるし」と高価な寛永通宝を手渡すが、陸雄は貧乏を見下されたと思い仲違いする。唯幸は郁造のように桜子を養女にし、愛を育もうと桜子に迫るが、桜子は勝やさくらのために酒蔵と財産を残そうと唯幸の後妻になる決意をしていた。この話を秀ふじから聞き、いたたまれぬ勝は比呂人についての真実を秀ふじに話し、勝が見つけた時に比呂人は心中に使った農薬を殆ど吐き出したが、救急車に乗らず行方不明になった事実を明かす。
第2部

そして9年の月日が流れる。長い間植物状態だった真紀枝が事故の翌年に死亡すると、桜子は雄一と正式に離婚し唯幸と再婚。桜子は『美容室タチバナ』の社長として店を繁盛させ、さくらは奇妙な家族関係に悩みながらも明るい中学生に成長し、健は東京の大学に通っていた。唯幸は桜子との夫婦仲も睦まじく、さくらをかわいがり幸せな日々を送っていた。雄一は沙也香と再々婚し、わがままに育った娘・睦美とともに、相変わらず櫛山家の2階で暮らしていた。『いさみ酒造』では、勝に拾われた陸雄が働いていた。ある日、桜子は美容室に来ていたトミから「朝市で比呂人に会った」と聞くが「あの人は仏様になったんです」と取り繕うが動揺する。その頃、さくらは櫻山八幡宮の境内で比呂人と偶然知り合う。高倉明美が比呂人を連れて『ふじ川』にやって来た。生死不明だった比呂人が生きていたことに秀ふじは驚くが、比呂人は記憶を失っており全く動じない。明美は10年前から比呂人と暮らしており、記憶を取り戻す手がかりを探していた。秀ふじは「比呂人の記憶を思い出させたら、2人は再び愛し合って、あなたは不幸になる」と記憶を取り戻させることに反対するが、明美は比呂人の記憶を取り戻すべく調査する。明美は赤かぶ屋で沙也香から桜子との心中事件を聞かされると美容室に行き、桜子に挑戦的な態度を取る。その頃、健と陸雄は比呂人に出会い、さくらは二人から櫻山八幡宮で出会った男が自分の父親だと教えられる。さくらはハンカチを貸した際に泣き出した比呂人から何かを感じていた。明美は古いアパートを借り、比呂人と高山でしばらく暮らすことに。明美は沙也香に教えられた『櫛山商事』で唯幸から売春コンパニオンの仕事を紹介してもらう。さくらは健の計画どおりに桜子と比呂人を引き合わすが、比呂人はまるで初対面のような様子である。比呂人は桜子に言われたとおり酒蔵裏の千年桜を見る。桜の幹に触れるとさまざまな記憶が蘇って来る。

さくらは記憶が戻った比呂人を「お父さん」と呼び、比呂人の腕の中で泣く。さくらが嬉しそうに「お父さんの記憶が戻ったんよ」と桜子に報告していると、健からこの事は唯幸には秘密にするよう注意される。比呂人は勝に記憶喪失のふりをして『いさみ酒造』で働かせて欲しいと言う。桜子は比呂人の記憶が戻っていないのか不安になる。桜子は明美から比呂人の記憶を戻してくれと依頼され、二人で会うが比呂人の様子は変わらない。その頃、櫛山家では唯幸が陸雄を援助し上京させることが健の説得で決定、壮行会を開くことに。唯幸は沙也香と睦美から比呂人が高山に戻ったことを初めて知る。さくらは比呂人を陸雄の壮行会へ誘う。比呂人はさくらに「母さんの幸せを考えて、記憶喪失のふりを続けている」と話す。帰宅した明美はさくらが持参した桜子手作りのおはぎを嫉妬の余り踏みつける。壮行会の最中、さくらは「お父さんとお母さんが夫婦でないのはおかしい」と怒りだし席を立つ。唯幸は9年前の心中直前の桜子と比呂人の密会を目撃した事を話し出し、比呂人が記憶喪失のふりをしていることを見破る。2日後『ふじ川』に勝とさくらが訪れ、さくらは秀ふじに「大人になったら、あんな家出て行きたい」とこぼす。千年桜の下で桜子は比呂人に「もう記憶喪失のふりはしないで!」と9年分の思いをぶちまける。2人は固く抱擁する。

唯幸は明美に比呂人の記憶が戻ったと知らせ、明美は嫉妬の炎を燃やす。東京では陸雄が健のマンションで同居を開始した。陸雄が桜子と比呂人の心中事件をモチーフに小説を書こうとしている事を知った健は「面白おかしく書くな」と釘を刺す。陸雄が使う部屋は健の恋人・涼子が使っていた部屋で、陸雄は部屋からもれてくる二人のあえぎ声に悶々としていた。その頃、桜子は千年桜の下で比呂人から9年前、心中失敗後に自殺を図り、吊り橋から木曽川へ飛びこんで記憶を無くした話を聞かされた。『ふじ川』に唯幸が現れ「桜子と比呂人の仲立ちをしたら、承知せんぞ」と勝と秀ふじを恫喝。酒蔵の屋根裏小屋では桜子と比呂人は9年分の空白を埋めるかのように求め合っていた。

明美が桜子への古いラブレターを比呂人につきつけると「桜子以外、他の誰をも愛した事はない」と断言する比呂人。明美は売春してまで比呂人を養っていた事実も明かし怒り狂い、比呂人に熱湯が入ったカップ麺を襟首から入れる。明美は唯幸に相談し、3日後に比呂人と明美の結婚式を行うことに。明美は桜子に仲人と着付けをお願いする。唯幸からも仲人を断るということは比呂人との関係が復活したと認めることだと言い寄られる。秀ふじの助言で、桜子は比呂人とさくらと家を出るつもりでいたが、約束の場所に比呂人は来ず、二人は唯幸の手下に捕まる。比呂人は唯幸の手下に監禁、暴行されていた。翌日、高山市長や市内の大勢が招待された結婚披露宴が始まり、明美と殴られ続けボロボロの比呂人がチンピラに支えられ披露宴会場に入場する。唯幸のスピーチの時に比呂人は「誰が結婚するか!」と叫び会場を飛び出す。その勢いで明美のかつらが取れ、会場は大爆笑。まりえは酒蔵の土間で倒れていた比呂人を介抱していた。そこへ桜子が現れ、比呂人に「ありがとう」と言う。その頃、赤かぶ屋では明美、唯幸、雄一夫妻が酒を呑み、明美は復讐を誓っていた。翌日、明美は美容室に現れ、桜子に難癖をつけて店をハンマーで滅茶苦茶に。明美はさくらに人形をプレゼントするが、首が胴体から切り離されていた。唯幸は比呂人に「どうせ桜子と会おうとするなら目の届くところに飼っておいた方がマシじゃ」と恫喝。さくらはまりえと勝の許可をもらい酒蔵で比呂人と一緒に暮らすことに。さくらと桜子は喜び抱き合うが突然、天井の窓ガラスが落下。比呂人が二人を庇い、怪我はなかったが桜子たちは怯える。

荷物を取りにアパートへ戻った比呂人は、明美に「最後に自分の誕生日を一緒に祝って欲しい」とせがまれる。比呂人はケーキを口の中に入れるが痛みを覚え中身を吐き出す。ケーキには明美のジュエリーや二人の写真、使用済みのコンドームまで混ぜられていた。比呂人は「二度と俺のそばに近づくな」と言い放つ。桜子も唯幸に離婚を宣言。唯幸は「比呂人もここで一緒に暮らせばいい」と桜子に懇願するが、桜子の意思が固い事を悟ると押し倒し乱暴しようとするが、桜子は家を飛び出し酒蔵に駆け込み、桜子は比呂人に抱きつき2人は屋根裏小屋で激しく求めあう。桜子を追い屋根裏小屋にやって来た唯幸は、激しく睦み合う2人を目撃。興奮して脳梗塞を起こし2階から転落し即死する。東京では健が陸雄の小説を酷評、涼子が陸雄が童貞であることをバカにし、健と陸雄は喧嘩になる。その時、健は雄一からの電話で唯幸の死去を知る。唯幸の遺言では桜子が美容室と酒蔵の経営者、健が金融業の経営者、雄一は唯幸名義の預金を折半という遺産分配に不満を持つ。葬儀に明美が現れ、唯幸の死後も桜子たちへの復讐は続けると宣言。勝と秀ふじは明美に手切れ金500万円と「今後は比呂人・桜子・さくらに会わない」などと書かれた誓約書を書かせようとするが明美は拒絶。その後明美は姿を消す。

唯幸の死後、桜子と比呂人は以前のような激しい愛情関係は消えていた。健は金融業を継ぐため早めに大学履修を終わらせる事に。11月になり酒蔵は勝がすべて統括していた。さくらは美容院の常連の佐伯夫人と東京へ遊びに行く事が決まる。明美は常連客になった雄一からさくらの上京を聞き、奥飛騨温泉の料亭に誘拐監禁する。芸者になった豊子(豊香)が異変に気づき、家に連絡をするが沙也香は電話を取り継がない。明美はさくらを自分の常連客・井伏にさくらを抱かせようとする。そこへ桜子たちが到着し事なきを得るが、数ヶ月経過してもさくらの心の傷は癒えず自殺未遂を起こす。平成3年正月、健と陸雄が帰省。健は高山に残り櫛山商事の実務に就くことに。さくらは二人にお酌をしようとした時、恐怖の光景が浮かび上がる。陸雄は豊子から事の顛末を聞き胸を痛める。春になり、比呂人が作った新酒が完成。『桜衛』と名づけられる。比呂人は勝から杜氏に腕前を認められ、杜氏になる。勝と秀ふじはこっそり準備し、新酒発表会に比呂人と桜子の結婚式が行われる。そこへ拘置所から保釈された明美が現れ、桜子のドレスガソリンをかけライター包丁で脅す。止めにかかった比呂人は腕を刺される。明美は桜子を庇った比呂人の心臓を一突きすると、自らも首の頚動脈を切り千年桜の下に倒れる。

明美と比呂人の死から6年後、陸雄が東京から戻って来ることに。健はすっかり金融業が板につき、さくらは時々事務を手伝っていた。雄一一家は健が用意したマンションに転居。勝は桜子にプロポーズするが断られる。まりえは「あの桜の木が度重なる不幸の原因」と千年桜の伐採を勝に命じる。さくらも伐採に賛成し桜子はショックを受ける。伐採が始まるが、樹に刃が立たず勝が負傷、桜子は倒れ、植木職人は千年桜から転落し大怪我を追い、伐採は中止になる。桜子は勝の手当てをしながら、千年桜の不思議な力を改めて実感する。陸雄はさくらと豊子をつれ古川町へ出かけ、数年振りに環と再会。美しく成長したさくらに環は感嘆する。陸雄は環から健が豊子のパトロンだと知らされ驚く。さくらは陸雄の愛情を弄ぶようになり、陸雄の目の前で健からのキスを陸雄に見せ付ける。陸雄はさくらと豊子を自分から奪い、自分にも高慢な態度で接する健に腹を立て櫛山家を出ようとする。さくらは二人が自分を奪い合って仲違いしたと勘違い。赤かぶ屋で仲直りし、小説内容で盛り上がる二人に相手にされず、気を引こうとヤクザの呉矢と一緒に店を出る。さくらは呉矢を怒らせホテルに連れ込まれたところへ健と陸雄が助けに入る。桜子はさくらの行動に悩み、さくらは自己嫌悪に陥る。ある日、亡くなった比呂人そっくりな男がパーマをかけに美容室に来るが、男性客はやっていないと断られる。
第3部

翌春、勝は桜子にアプローチするが桜子は返事を濁す。雄一と沙也香が青山の美容室で働いていた宅間堂一を美容院で雇ってくれと連れてくる。堂一は昨年美容室にやってきた比呂人そっくりな容貌の男だった。さくらは喜ぶが桜子は採用を断った。しかしさくらに懇願され堂一を雇うことに。さくらは堂一に一目ぼれし、デートをする。堂一が桜子の髪を愛おしそうに切る姿を見たさくらは嫉妬と憎悪から、自分の髪をめちゃくちゃに切ってしまう。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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