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天体の出没(てんたいのしゅつぼつ)とは、天体の日周運動が地平線・水平線と交差すること。
基準点は天体の中心だが、日本を含む多くの国では太陽については上端とされている[1]。 実際の観測では大気による屈折が影響するため、角度にして35分8秒を地平大気差として補正(見かけより低く)する。 また、山岳など高地では標高による眼高差も影響する。
天文学では、他の惑星や衛星および天体間の掩蔽について取り扱うことがある。
目次
1 太陽
1.1 文化
2 月
3 惑星
4 脚注
4.1 出典
5 関連項目
太陽米国ミネソタ州の日の出映像
現れる方を日の出(ひので)・日出(にちしゅつ)、隠れる方を日の入り(ひのいり)・日没(にちぼつ)と呼ぶ。
日本では1902年(明治35年)までは中心を基準にしていたが、まだ日があるのに夜になる事を避けるため(東京帝国大学天文台、後の国立天文台の意見)、文部省告示「暦面記載ノ日出入時刻定メ方」により1903年から上端へ変更された。現在は上端とする国が多いが、フランスでは中心としている。
なお、太陽と月は視直径が32分と大きく、どこを基準にするかで時刻に2分以上の差が出る。また、地平大気差によって視直径以上に浮かんで見えることから、実際の観測ではどちらの時刻でも太陽は水平線よりやや上に見える。このため、下端が基準だと勘違いするケースもみられる。
日の出入りの時刻は季節や場所によって大きく変動するため、暦は地域ごとに作られる[2]。 日本では、日の出は夏至の1週間前頃が最も早く、冬至の半月後の年明けが最も遅い。日の入りは夏至の1週間後頃が最も遅く、冬至の半月前頃が最も早い。 北極圏と南極圏では、数週間から数カ月の間、日の入りが無い白夜と日の出が無い極夜が知られている。極点では、春分と秋分ころに38?40時間かけた長い日の出、日の入りが観測される。[要出典]
日の出直前を夜明(よあけ)、日の入り直後を日暮(ひぐれ)とし、厳密には太陽の中心の高度が-7° 21′ 40″となる時刻と定義されている[1]。類似したものに薄明があり、常用薄明(市民薄明)、航海薄明、天文薄明などが同様に定義されている[1][3]。
文化富士山のご来光
時法において、日の出と日の入りで昼夜を分ける「不定時法」の基準とされる。定時法であっても、外光に影響される庭園などで入場時間が日没基準となっている例が見られる。
日の出や日の入りに宗教的な意味合いを持たせる事もある。日本では、1月1日の日の出を初日の出と称して特別視し、また日の出を「御来光」と呼び信仰の対象とする場合もある。太陽神信仰により、日の出/東を「生」「復活」、日没/西を「死」の象徴とする国・文化は多い。→死と再生の神
月地表近くの満月
現れる方を月の出(つきので)・月出(げっしゅつ)、隠れる方を月の入り(つきのいり)・月没(げつぼつ)という。
基準は中心だが、暦の編纂者により差異がある。例えば海上保安庁の天体位置表や、アメリカ、イギリスでは、太陽と同じく上端としている[4]。
月の出入りの時刻は地球から見た太陽との位置関係、つまり月齢(正確には月相)により変動する。新月・朔の時の月の出は日の出とほぼ同じ時刻であり、満月・望の時は日の入りとほぼ同じ時刻となる。 月の公転により見かけの位置が太陽から遅れてゆき、月の出入りの時刻は毎日約50分ずつ遅くなる。この結果、日単位で見た場合、月の出が翌日、月の入りが翌日となり、月の出や月の入りが無い日が発生する。 この遅れは、月が楕円軌道で軌道面が傾いている事から、30?70分の間で変動する。[要出典]
満月を過ぎ、月の出が段々夜遅くなり、立待ち月(旧暦17日)、居待ち月(18日)、寝待ち月(19日)と呼ばれる。
惑星明けの明星
水星と金星は、地球から見て太陽と高度が離れている際には、日の出前や日の入り後の太陽が隠れた状況で出入りが観望できる。 金星は日出前に見える場合は「明けの明星」と呼ばれ、日没後に見える場合は「宵の明星」と呼ばれる[5]。
水星は出の直後と入りの直前に、天候条件が良ければ観測できるが、難しい[6]ため、金星ほど親しまれていない。
月から地球を見た場合、月は同じ面を地球に向けているが、秤動によって一部の地域では地球の出入りが観測できる。 1968年のアポロ8号による「地球の出」の写真が有名だが、これは月周回軌道から撮影したものである。
脚注
出典^ a b c ⇒こよみ用語解説 太陽や月などの運動 国立天文台 暦計算室