こいぬ座Canis Minor
こいぬ座の恒星
属格形Canis Minoris
略符CMi
発音[?ke?n?s ?ma?n?r]、属格:/?ke?n?s m??n?r?s/
象徴小さいほうの犬[1][2]
概略位置:赤経 07h 06m 39.4373s - 08h 11m 41.1339s[3]
概略位置:赤緯+13.2238064° - −0.3693900°[3]
20時正中3月中旬[4]
広さ183.367平方度[5] (71位)
バイエル符号/
フラムスティード番号
を持つ恒星数14
3.0等より明るい恒星数2
最輝星プロキオン(α CMi)(0.37等)
メシエ天体数0
確定流星群無し[6]
隣接する星座ふたご座
いっかくじゅう座
うみへび座
かに座
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こいぬ座(こいぬざ、ラテン語: Canis Minor)は、現代の88星座の1つで、プトレマイオスの48星座の1つ[2]。イヌをモチーフとしており、より大きなおおいぬ座との対比で「小さい方の犬」を意味する学名が付けられている[2]。α星とβ星以外には目立つ星のない、小さな星座である。
α星プロキオンは全天21の1等星の1つで、プロキオンとおおいぬ座のα星シリウス、オリオン座のα星ベテルギウスの3つの1等星が形作る三角形のアステリズムは「冬の大三角 (英: Winter Triangle)」と呼ばれる[7]。 銀河平面に近い位置にあるが、目立つ星団や星雲はない。1等星のプロキオンと3等星のゴメイサを除けば、あとは4等星以下の暗い星ばかりである。 2024年1月現在、国際天文学連合 (IAU) によって2個の恒星に固有名が認証されている[8]。
主な天体
恒星「こいぬ座の恒星の一覧」も参照
α星:太陽系から約11.5 光年の距離にある連星系[9]。F型スペクトルで1.478±0.012 M☉(太陽質量)の主星Aと白色矮星で0.592±0.006 M☉の伴星Bが、互いの共通重心を約40.84 年の周期で公転している[10]。
A星:見かけの等級0.37 等、スペクトル型 F5IV-V の1等星[9]。こいぬ座で最も明るい恒星で、全天21の1等星の1つとされる。2015年の研究では、誕生から約27億 年が経過しているとされた[10]。主系列星から準巨星に移行しつつあると見られている。ギリシャ語で「犬の前」を意味する Προκ?ων に由来する[11]「プロキオン[12](Procyon[8])」という固有名が認証されている。この呼称は、シリウスが地平線から昇る直前にこの星が昇っていたことに由来するとされる[11]。
B星:見かけの明るさ10.92 等、スペクトル型 DQZ の白色矮星[13]。DQZ は、白色矮星で分光スペクトル中に金属と炭素の吸収線が見られることを示している[14]。ドイツの天文学者フリードリヒ・ヴィルヘルム・ベッセルが1844年に発表した論文で、シリウスの伴星Bとともにその存在が提唱され[15]、半世紀以上後の1896年にリック天文台のジョン・マーチン・シェバーリによって発見された[16][17]。
β星:見かけの明るさ2.89 等、スペクトル型 B8Ve のB型主系列星で、3等星[18]。分光スペクトル中に星から放出されたガスが周囲にあることを示す水素の輝線が見られる「Be星」に分類されている[18]。カナダ宇宙庁の宇宙望遠鏡MOSTによる2007年の研究で、ミリ等級レベルでの変光が観測された[19]。また2017年の研究では、主星の周囲を回る約0.42 M☉の伴星が存在することが示唆された[20]。A星には、アラビア語で「涙ぐむもの」という意味の言葉に由来する[11]「ゴメイサ[12](Gomeisa[8])」という固有名が認証されている。
星団・星雲・銀河
Abell 24:太陽系から約2,340 光年の距離にある惑星状星雲[21]。1966年にパロマー天文台のジョージ・エイベル
2023年12月現在、こいぬ座の名前を冠した流星群で、IAUの流星データセンター (IAU Meteor Data Center) で確定された流星群 (Established meteor showers) とされているものはない[6]。 古代ギリシアでは、「犬の前」を意味する「プロキオン (Προκ?ων)」という名前が、こいぬ座とこいぬ座で最も明るい星の両方を指す言葉として使われていた[22][2]。紀元前3世紀前半のマケドニアの詩人アラートスの教訓詩『パイノメナ (古希: Φαιν?μενα)』では「プロキオン (προκ?ων) も双子の下方に美しく輝く」と記され[23][24]、紀元前3世紀後半の天文学者エラトステネースの『カタステリスモイ (古希: Καταστερισμο?)』でも「プロキオン (Προκ?ων)」という言葉が用いられている[22][25]。
由来と歴史