けが
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この項目では、身体的外傷について説明しています。心理的外傷については「心的外傷」をご覧ください。

外傷とは
身体を構成している組織の生理的な連続性が断たれた状態のこと。本項で詳述する。

機械的外力(力学的外力)による損傷。目視可能な損傷、比較的軽度な損傷などの俗称。

外傷

分類および外部参照情報
ICD-9-CM800- ⇒999
MeSHD014947
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2012年の100万人あたりの外傷から死に至った死者数   203-358  359-428  429-483  484-559  560-637  638-716  717-817  818-939  940-1,140  1,141-2,961 2012年の100万人あたりの自殺など故意による外傷からの死者数   14-65  66-89  90-114  115-137  138-171  172-193  194-226  227-291  292-379  380-2,730

外傷(がいしょう、: injury, trauma)とは、外的要因による組織または臓器の損傷の総称。通常、怪我(けが)と呼ばれ、外傷を負うことを負傷(ふしょう)といい、外傷を負った者を負傷者(ふしょうしゃ)という。なお、死亡と外傷をあわせて死傷(ししょう)といい、死亡した者と外傷を負った者とを合せて死傷者(ししょうしゃ)という。

精神医学において、心理的外傷を単に外傷と呼ぶことがある→心的外傷(トラウマ)を参照。

身体的外傷の場合、広義には、物理的あるいは化学的な外的要因による損傷すべてを指すが、通常は機械的外力(力学的外力)による損傷を指す。
目次

1 用語の定義

2 外傷の種類

2.1 物理的要因によるもの

2.1.1 機械的要因によるもの


2.2 内部的なもの

2.3 熱的要因によるもの

2.4 電気的要因によるもの

2.5 放射線要因によるもの

2.6 化学的要因によるもの


3 重症外傷患者の診かた

3.1 病院前救護

3.2 病院での初期診療

3.3 病院でのその後の診療

3.4 脊髄損傷の診療

3.5 重症外傷の予後


4 軽症?中等症外傷患者の診かた

4.1 病院前

4.2 病院での診療


5 出典

6 参考文献

7 関連項目

用語の定義

医学においては損傷とは身体を構成している組織の生理的な連続性が断たれた状態のことをいう。この定義においては機能障害、例えば脳震盪なども損傷に含まれると解釈されている。また胃潰瘍といった内因性のものも損傷には含まれる。外傷とは損傷のうち外因によるものをさす。外因の種類は特に問題としていないため塩酸をかぶったというのも外傷となる。創傷という言葉があるがこれは損傷のうち機械的エネルギーにより形成されたものであり、外傷よりも言葉の意味が狭くなる。基本的に創とは開放性の損傷であり、傷とは非開放性損傷を示すことが多い。

基本的にはいわゆるキズを診て、内部の骨、特に骨折がないのか調べて、関節に損傷がないのかを調べ、その他の臓器傷害がないのかを調べるのが外傷患者の診方である。骨折とは骨の損傷であり、関節の損傷には捻挫脱臼という言葉がある。脱臼とは関節面における関節頭と関節窩の相互関係が破綻(はたん)したものをいう。関節面の一部が接触を保っている場合は亜脱臼という。関節に外力が加わり、靱帯、関節包といった関節支持構造に損傷を受けるが関節面の相互作用関係が保たれている場合は捻挫という。
外傷の種類

外傷の種類には、以下のものがある。
物理的要因によるもの
機械的要因によるもの

創傷(Skin Lesion)は、皮膚の表面のけが(傷)を言う。

1次元的なもの

切創
鋭利物(刃物など)による損傷。

裂傷
皮膚が2方向に引っ張られることによって裂ける損傷。

割創
裂傷が皮膚組織すべてを引き裂き、内臓・骨を露呈する損傷。

2次元的なもの

擦過傷
摩擦による損傷で、表皮のレベルまでしか達していないもの。

挫滅傷
摩擦による損傷で、真皮や皮下組織・それ以下のレベルまで損傷したもの。あるいは急激な圧力による同様な損傷。(急激でない圧力によるものは褥瘡と言う)

3次元的なもの

銃創
銃弾による損傷。

爆傷
爆発による損傷。ただし、爆傷は熱傷や衝撃による内部的損傷(いずれも下記)を伴う。殺傷用の爆発物による損傷であれば、多発性の銃創の病態も呈する。

杙創(よくそう)
鈍的な物体が人体を貫通する傷。

内部的なもの

内出血

骨折

捻挫

内臓破裂

熱的要因によるもの

熱傷(やけど)

凍傷

電気的要因によるもの

電撃傷
特に雷や空中放電によるものを雷撃傷と言う。
放射線要因によるもの

放射線被曝による損傷。原爆症など。

化学的要因によるもの

・強塩基による損傷や、びらん剤マスタードガス)による損傷

重症外傷患者の診かた

以下の方法は、致命的外傷・重症外傷が前提であり、一般的捻挫や切創は対象としていない。
病院前救護詳細は「外傷病院前救護ガイドライン」を参照

四肢外傷よりも救命処置を優先する。運動器の外傷は滅多に致死的にはならない。運動器の治療よりもバイタルの安定化を考える。

外傷をみたら骨折はあるものとして扱う。特に鎖骨より上の外傷がある場合や多発性外傷のある場合は頸椎損傷があるものとして扱う。

重大な骨折については、そのまま副子にあてて固定する。うかつに整復しようとすると神経、血管といった軟部組織を傷つけ、閉鎖骨折を開放骨折にしてしまう恐れがある。整復は病院での診療で行うべきである。

副子(シーネ)固定:ソフラットシーネ、アルフォンスシーネ、マジックギプスといったものがある。


病院での初期診療詳細は「外傷初期診療ガイドライン日本版」を参照

外傷部より末梢のPMSの確認をする。これはパルス(脈が触れるか、皮膚の色は大丈夫か)、運動、知覚の神経は保たれているかを確認することである。指の外傷の場合は爪の圧迫にてパルスの確認をする。

明らかな骨折以外にほかの外傷がないかの確認を常にする。特に手足の骨折を見逃しやすい。
下肢の大きな骨折がある場合は骨盤外傷の可能性がある。踵骨骨折があるときは脊椎圧迫骨折の可能性がある。また車にはねられた時はワドルの三徴というものが知られている。まずにバンパーによって下肢外傷が起こり、ボンネットで胸部外傷、最後に道路に転んで頭部外傷というプロセスをたどることが多い。この部位は入念に調べる必要がある。

四肢を動かして骨折部に音がした場合、その音を再現しようとはしない。X線写真で確認をするべきである。


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