くノ一忍法帖
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この項目では、山田風太郎の時代小説について説明しています。2018年のテレビドラマ『くノ一忍法帖 蛍火』については「妖の忍法帖#テレビドラマ」をご覧ください。

くノ一忍法帖
著者山田風太郎
発行日1961年
ジャンル時代小説
言語日本語
形態文学作品
前作飛騨忍法帖
次作外道忍法帖

ウィキポータル 文学

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『くノ一忍法帖』(くのいちにんぽうちょう)は、『講談倶楽部1960年9月号から1961年5月号まで連載された山田風太郎時代小説忍法帖シリーズ第4作。また、それを原作とした映画・オリジナルビデオのシリーズ。
各話タイトル

雑誌掲載時は連作短編として発表され、単行本化の際にはじめて『くノ一忍法帖』のタイトルがつけられた。括弧内は『講談倶楽部』掲載号。

忍法「くノ一化粧」 (1960年9月号)

忍法「天女貝」 (1960年10月号)

忍法「やどかり」 (1960年11月号)

忍法「筒涸(つつが)らし」 (1960年12月号)

忍法「百代(ももよ)ぐるま」 (1961年1月号)

忍法「鞘(さや)おとこ」 (1961年2月号)

忍法「人鳥黐(ひととりもち)」 (1961年3月号)

忍法「羅生門」 (1961年4月号)

忍法「夢幻泡影」 (1961年5月号)

あらすじ

大坂夏の陣大坂城は落城寸前であり、豊臣家の命運は尽きようとしていた。そこで真田幸村は、5人の女忍者に信濃忍法を駆使して豊臣秀頼の子種を貰い受けるよう命じた。徳川家康の孫で豊臣家に嫁いだ千姫は大坂城落城寸前、出羽守坂崎主崎助の奮闘で助けられる。しかし江戸に向かう千姫一行の中には侍女として秀頼の子供を身ごもった女忍者が含まれていた。その情報を聞きつけた家康は、千姫に女忍者を差し出すよう要求するが、千姫は豊臣家を責め滅ぼした家康に対する憎しみをあらわにし「彼女たちを殺すなら自分も死を選ぶ」と言い放つ。千姫を溺愛する家康は困り果て、配下の服部半蔵に相談し、半蔵は伊賀の鍔隠れの里から5人の忍者を呼び寄せる。
登場人物
真田くノ一五人衆
お奈美(なみ)
真田
くノ一の1人。「忍法月の輪」の使い手。5人の中で唯一、豊臣秀頼の胎児を身ごもることに失敗する。
お瑤(よう)
秀頼の胎児を身ごもる真田くノ一の1人。肉感的な大柄の美女。「忍法筒枯らし」「忍法天女貝」の使い手。
お喬(きょう)
秀頼の胎児を身ごもる真田くノ一の1人。「忍法天女貝」の使い手。
お由比(ゆい)
秀頼の胎児を身ごもる真田くノ一の1人。霞のごとき幻想的な美しさを持つ。「忍法夢幻泡影」の使い手。
お眉(まゆ)
秀頼の胎児を身ごもる真田くノ一の1人。童顔で大きな瞳を持つ。「忍法幻菩薩」「忍法やどかり」「忍法羅生門」の使い手。オリジナルビデオ版には登場せず、使用する忍法はお由比に振り分けられている。
伊賀鍔隠れ五人衆
薄墨友康(うすずみ・ともやす)
伊賀国鍔隠れの谷の郷士。肌は薄黒く、頬骨と喉仏が飛び出した異様な風体を持つ。髪は腰まで伸びた総髪。「忍法くノ一化粧」の使い手。
雨巻一天斎(あままき・いってんさい)
伊賀国鍔隠れの谷の郷士。口が裂けたように大きく、歯と耳が尖って狼に似た恐ろしい顔を持つ。「忍法恋しぐれ」「忍法穴ひらき」の使い手。オリジナルビデオ版には登場しない。
般若寺風伯(はんにゃじ・ふうはく)
伊賀国鍔隠れの谷の郷士。阿福に惚れてしまう。「忍法日影月影」の使い手。
七斗捨兵衛(しちと・すてべえ)
伊賀国鍔隠れの谷の郷士。巨大な樽のような肥満した身体を持ち、精力絶倫。「忍法肉鞘」「忍法人鳥黐」の使い手。
鼓隼人(つづみ・はやと)
伊賀国鍔隠れの谷の郷士。凄味のある男前。顔色は蒼白く、唇は朱を引いたように赤い。「忍法百夜ぐるま」の使い手。
豊臣方
丸橋(まるはし)
垢だらけの身体にぼろをまとった女乞食。実はかつて徳川勢を苦しめた
長曽我部盛親の妻。巨体と怪力の持ち主であり、鎖鎌を自在に操り伊賀鍔隠れ五人衆とも互角に戦う。亡き夫の子供を妊娠している。当初は千姫を憎んでいたが、説得され真田くノ一の仲間となる。
千姫
徳川家康の孫娘。豊臣家に嫁ぎ豊臣秀頼の妻となったが、大阪城落城の際救出された。豊臣家を滅ぼした祖父・家康を激しく憎んでおり、真田くノ一五人衆を率いて対立する。オリジナルビデオ版ではお由比から「忍法やどかり」で最後の胎児を受け取り、自ら出産する。
お志津
千姫の屋敷に仕える婢(はしため)。薄墨友康の「忍法くノ一化粧」で取って代わられ殺される。
吉田修理介(よしだ・しゅりのすけ)
千姫に仕える老臣。
真田幸村
豊臣方の武将。大阪城落城前夜、真田くノ一五人衆を呼び寄せて豊臣家の血筋を残すために秀頼の子を孕ませた。映画版では幽霊となり、ストーリーの進行を見届けつつ登場する忍法を解説する。
猿飛佐助
映画版のみに登場。幸村配下の真田十勇士の1人。幽霊となって幸村と共に解説役をつとめる。
徳川方
服部半蔵源佐衛門正就(まさなり)
配下の反乱により伊賀同心頭領の任を解かれ逐電、名誉挽回をもくろみ大阪の役に参加。その際、大阪城に忍び込み真田幸村とくノ一達の計略を聞きつけ、弟の半蔵正広に伝えた。
服部半蔵正広
長兄・半蔵正就、次兄・半蔵正重の後を継いで伊賀忍者を統率する五代目。瀕死の兄から聞いた驚愕の事実をとまどいつつも家康に打ち明ける。命令通りに動かず、勝手な行動をとる鍔隠れ谷五人衆に手を焼く。
坂崎出羽守(さかざき・でわのかみ)
千姫を炎上する大阪城から救い出した際に顔面に大火傷を負った。救い出した者に千姫を与えるという家康の約束を信じていたが醜い火傷の痕が原因で家康に疎んじられてしまう。そのため約束を反故にされるのではないかと疑い、配下を千姫の元に送り真意を確かめようとする。
徳川家康
自分に逆らう千姫に心を痛めており、真田くノ一を抹殺する際に千姫には決して悟られぬようにしろと鍔隠れ五人衆に厳命する。
阿福(おふく)
家康の嫡孫・竹千代の乳母。後の春日局。計略によってお眉を江戸城におびき出し追い詰めるが、「忍法やどかり」によって逆に秀頼の胎児を子宮に植え付けられてしまう。
徳川頼宣(よりのぶ)
家康の十男。若年ながら覇気のある真っ直ぐな気性の持ち主。年上の姪である千姫に淡い憧れを抱いており、家康に立ち向かう千姫と真田くノ一たちを見かねて陰から救いの手をさしのべる。
落合閑心(おちあい・かんしん)
坂崎出羽守に仕える老臣。主人を思うあまり出羽守に無断で千姫強奪のため家来を引き連れ千姫の屋敷に向かう。
成瀬十郎左衛門、戸田伴内、大友彦九郎
坂崎出羽守の配下。出羽守の命を受け千姫の屋敷に向かったが、行方不明となる。
莚田中兵衛(むしろだ・ちゅうべえ)
坂崎出羽守の配下。千姫の屋敷に向かったきり消息を絶った成瀬十郎左衛門らに続き、二度目の使者として千姫の屋敷を訪問する。
黒沢主膳、関主殿助(せき・とものすけ)
莚田中兵衛と共に千姫の屋敷を訪問する。
初音
成瀬十郎左衛門の妹であり、莚田中兵衛の許婚。武芸に長じている。行方不明の兄の身を案じ、男装して若衆姿で中兵衛一行に加わる。
胡蝶
家康の侍女の1人。貞操堅固な処女。薄墨友康の「忍法くノ一化粧」によって精気を吸い取られ半病人となってしまう。
桔梗
阿福に仕える御使番の娘。処女と思われていたが実は妊娠していることを般若寺風伯に見破られ、「忍法日影月影」にかかって切腹する。
登場する忍法・術
蛇まといの秘法、吸壷の術
確実に秀頼の子供を孕むため、秀頼と性交する際にくノ一達が使用した術。詳細は不明。
忍法月の輪
自分の経血をつけて目印にする。この忍法によってつけられた血はいくら洗っても決して取れず、血を流し続ける。映画版・オリジナルビデオ版では額につけられる血の三日月マークに変更された。
忍法筒涸らし
性交中にこの忍法をかけられると相手は死ぬまで射精し続け、さらには血液をも吹き出して身体中の水分が抜き取られる。その後、干からびた相手に簡単な命令を吹き込み傀儡として使う事も可能。
忍法天女貝
女陰で男根をくわえ込み、すさまじい力で締め上げる。
膣痙攣の応用と思われる。かけている本人が死んでも決して緩むことはなく、逃れるには男根を切り落とす以外にない。
忍法夢幻泡影(むげんほうよう)
女陰から次々と出すシャボン玉のような泡で相手を取り込み、精神を幼児退行させる。退行させられた人間は元に戻るまで10日ほどかかる。
忍法幻菩薩
普賢菩薩(ふげんぼさつ)の像を置き、男に幻を見せる。男は幻の女の裸身に惑わされて発狂する。しかしその性質上、女には効果がない。ただし、人格が男であれば有効で忍法日影月影で男の人格を植え付けられお福には効果があった。
忍法やどかり
女同士で女陰を密着させ、子宮から子宮へと胎児を移動させる。
忍法羅生門
子宮内の胎児に相手の男根を掴ませ離れなくする。
忍法くノ一化粧
催淫薬を塗った吹針で女を発情させ、女陰から精を吸い取ることでその女そっくりに変身する。Vシネマ版では相手の乳首から精を吸い取る形に変更された。
忍法穴ひらき
一度交わると女はさかりのついた牝犬のように発情し、相手を恋焦がれるようになる。しかし二度目に交わるとショックで死ぬ。ネーミングは「アナフィラキシー」のもじり。
忍法恋しぐれ
女に精液を振りかけ、それが肌に染み入ると「忍法穴ひらき」と同じ催淫効果を発揮し、精液を浴びた場所に戻ってこずにはいられなくなる。映画版では「忍法雪の舞」と呼ばれる。
忍法日影月影
口づけした相手に自分の分身を吹き入れて、自分と同じ人格を持った傀儡として意のままに操る。
忍法人鳥黐(ひととりもち)
強力な粘着力のある精液を出して、接着剤や鳥もちのようにして使う。その粘着力で相手の攻撃をくっつけて捕らえるなどが可能。
忍法肉鞘
特殊な精液で全身をコーティングすることで皮膚の上にもう1枚皮を作り、身を守る。これによって天女貝から逃れる事も可能。映画版では「忍法羽衣」と呼ばれる。
忍法百夜ぐるま(ももよぐるま)
本人から離れて自由に動き回る「心の影」を操り、相手の影を攻撃する事でダメージを与える。応用として、相手の影を切り離し操ることで本体も意のままに操れる。Vシネマ版では影自体が直接相手を攻撃し、お由比の腹部に激しい打撃を加えて流産させようとした。
内縛陣(ないばくじん)
樹木、石、土塀などの物陰に忍者を潜ませて内部への侵入者を防ぐ陣形。先代服部石見守が考案した。
外縛陣(げばくじん)
内縛陣に対して相手を円陣で包み込み外部への逃走を妨げる陣形。
地獄耳
般若寺風伯が阿福に仕える侍女達の心音を聞き分ける際に使用した。原作にも登場するが特に名称はなく、Vシネマ版で名前がつけられた。
菩薩返し
オリジナルビデオ版のオリジナル忍法。菩薩像を掲げて呪文を唱えることで相手の技をはね返す。


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