くたばれ!ヤンキース
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この項目では、ブロードウェイ・ミュージカルについて説明しています。本作の映画版については「くたばれ!ヤンキース (1958年の映画)」を、テレビ映画については「くたばれ!ヤンキース (1967年の映画)」を、ロック・バンドについては「ダム・ヤンキース」をご覧ください。

Damn Yankees
くたばれ!ヤンキース
作曲リチャード・アドラー(英語版)
作詞ジェリー・ロス(英語版)
脚本ジョージ・アボット(英語版)
ダグラス・ウォロップ(英語版)
原作The Year the Yankees Lost the Pennant by ダグラス・ウォロップ
上演1955 ブロードウェイ
1957 ウェスト・エンド
1958 映画
1967 テレビ映画
1994 ブロードウェイ再演
1997 ウェスト・エンド再演
2008 Encores! Summer Stars
2017 オフ・ブロードウェイ
受賞トニー賞 ミュージカル作品賞
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くたばれ!ヤンキース(原題:Damn Yankees)は、ジョージ・アボット(英語版)とダグラス・ウォロップ(英語版)の脚本、リチャード・アドラー(英語版)作曲、ジェリー・ロス(英語版)作詞によるミュージカル・コメディ。ファウスト伝説を現代に翻案した筋書きとなっている[1][2]。1950年代、メジャーリーグベースボールニューヨーク・ヤンキースの黄金時代のワシントンD.C.を舞台にしている。原作はウォロップの小説『ヤンキースペナントを失った年』(The Year the Yankees Lost the Pennant)である。

1955年にアメリカのブロードウェイで初演され、オリジナル・ブロードウェイ・プロダクションは1,019回上演された。翌年トニー賞9部門にノミネートされ7部門を受賞した。振付にボブ・フォッシーが参加している。1958年に映画化された。

アドラーとロスの本作および『パジャマゲーム』の成功により将来の作品を期待されていたが、ロスが29歳で本作開幕7ヶ月後に慢性気管支拡張症により突然死してしまった。
あらすじ

NOTE: 1994年ブロードウェイ再演版のあらすじであり、1955年のオリジナル版とは異なる。1958年の映画版は『くたばれ!ヤンキース (1958年の映画)(英語版)』を参照のこと。

不動産業者で平凡な中年男ジョー・ボイドは弱小野球チームワシントン・セネタースを長年応援しており、唯一の楽しみはテレビで野球中継を見ること。しかも妻のメグそっちのけで野球に夢中("Six Months Out Of Every Year")。メグは先に就寝し、ジョーは遅くまで起きていて、「セネタースに長距離打者がいれば宿敵ヤンキースを倒せるのに、くたばれ!ヤンキース」と不満を言う。突然、口の達者なアップルゲイトが登場する。アップルゲイトはジョーに、若返ってセネタースが欲する強打者ジョー・ハーディとなる機会を提示する。ジョーは了承するが、メグのもとを離れなければならない("Goodbye Old Girl")。ただし条件があり、9月25日の最終試合に出場すれば一生ジョー・ハーディとして生き続け、出場しないならば前日の夜9時までに契約を無効にして元の生活に戻らなければならない。

球場にて、不振続きのセネタースだが最善を尽くすことを誓う("Heart")。突然ジョー・ハーディが現われ、発掘されたとしてセネタースに入団する。スポーツ・リポーターのグロリア・ソープはジョー・ハーディを称賛する("Shoeless Joe from Hannibal, Mo")。ジョー・ハーディの打撃力でセネタースは順位を上げる。

ジョーはどんどん成績をおさめるがメグを恋しく思い、ジョー・ハーディとして元の自分の家に下宿し寂しい心をメグと会話することで癒す。2人は特に行方不明の夫のことで絆を深め始める("A Man Doesn't Know")。契約が無効になることを恐れたアップルゲイトはセクシーな「別れさせ屋」のローラに電話をかけ、ジョーのもとに送り込み誘惑させて賭けに負けるよう試みる。ローラは成功を約束する("A Little Brains, A Little Talent")。アップルゲイトは南米の情熱的なダンサー「セニョリータ・ロリータ・バナナ」としてローラを紹介する。ローラは誘惑的な曲を歌う("Whatever Lola Wants")。しかしジョーのメグへの強い愛が照明されるのみである。アップルゲイトはローラを解雇し、ローラはアップルゲイトの過去のパートナーたちと組む("Who's Got the Pain")。

アップルゲイトはジョーを失脚させるために方針転換する。アップルゲイトはジョーが実は脱獄犯で詐欺師のシフティ・マッコイであるとの偽情報を流す。グロリアはこの情報を知ると告発し、ジョーは法廷に立たされる。

セネタースは優勝をかけたヤンキースとの最終戦の準備をしつつジョーを心配するが、優勝することだけを考えると誓う("The Game")。怒ったファンたちがジョーを探し回り、ジョーは家を出る決心をする。家を出る時、ジョーはメグに自分が夫であることを明かす("Near to You")。アップルゲイトはたった1つの賭けに疲弊し、より簡単な方法を思いつく("Those Were the Good Old Days")。

ジョーの裁判は最終戦前日、契約を無効にできる9月24日に行なわれることとなる。ジョーは元々身分を証明する物を持っておらず、セネタースのオーナー、監督、セニョーラ・マッコイを名乗るローラがいくら証言しても役に立たない。グロリアはアップルゲイトに証言台に立つよう提案するが、アップルゲイトは真実を語りたくないため宣誓しない。ジョーはアップルゲイトが9時の期限を守らせないつもりであると気付く。アップルゲイトはジョーが考える時間が必要であると主張し、ジョーをローラの居場所に行かせる。ローラはジョーに会い、ジョーが本当にメグを愛していることに気付く。ローラはジョーを最終戦に行かせ、アップルゲイトに無理矢理デュエットさせ引き留める("Two Lost Souls")。

8時55分にアップルゲイトが球場に到着し、ジョーはバッターボックスに立つ。期限が近づき、メグ、その友人そしてローラまでもがジョーを応援する。アップルゲイトが魔法を使いジョーをツーストライクにさせる。時計が9時を告げようとした時、アップルゲイトは勝利を宣言するが、残り数秒でジョーは「行かせてくれ」と懇願する。契約は無効になり、ジョーは元の姿に戻るが、ホームランを打ってセネタースを優勝に導く。

ジョーは帰宅しメグの腕に抱かれる。アップルゲイトが登場し、ジョーに金を払えと主張する。ジョーはメグに自分を抱き締めてどこにも行かせないでくれと頼む("Finale (A Man Doesn't Know)")。アップルゲイトはもう一度契約しワールドシリーズで優勝させるとそそのかすが、ジョーは既に大事なものに気がついている。
プロダクション
オリジナル・ブロードウェイ・プロダクション

プロデューサーのフレデリック・ブリッソン、ロバート・E・グリフィス、ハロルド・プリンスはローラ役をダンサーにすべきと考えた[3]。映画女優のミッツィ・ゲイナーとバレエ・ダンサーのジジ・ジャンメールの2人にオファーしたが、どちらにも断られた。グウェン・ヴァードンは全作『CAN-CAN』で1曲のみ歌ったことがあったのみだったが、プロデューサーたちはヴァードンに機会を与えることを望んだ。当初ヴァードンは断り、振付助手を望んだが、最終的に同意した。ボブ・フォッシーは制作前にヴァードンに会うことを望み、面会後に短時間共に仕事し、それぞれ契約に同意した[4]。これよりフォッシーとヴァードンは仕事上でも個人的にもパートナーとなり、1960年に結婚した。

1955年5月5日、ブロードウェイの46番街劇場で開幕し、1957年5月17日、アデルフィ・シアターに移行し、計1,019回上演された。ジョージ・アボットが演出、ウィリアムとジーンのエカート夫妻が装置および衣裳デザイン、フォッシーがダンスおよびミュージカル曲の演出、ハル・ヘイスティングスが音楽監督、ドン・ウォーカーが編曲、ロジャー・アダムスがダンス曲編曲を担当した。

レイ・ウォルストンがアップルゲイト役、ヴァードンがローラ役、シャノン・ボリンがメグ役、ロバート・シェイファーがジョー・ボイド役、エリザベス・ハウェルがドリス役、スティーブン・ダグラスがジョー・ハーディ役、アル・ランティがヘンリー役、エディ・フィリップスがソホヴィック役、ナサニエル・フレイがスモーキー役、アルバート・リンヴィルがヴァーノン/ポストマスター役、ラス・ブラウンがヴァン・ビューレン役、ジミー・コマックがロッキー役、レイ・アレンがグロリア役、チェリー・デイヴィスがティーネイジャー役、デル・ホーストマンがリンチ/コミッショナー役、リチャード・ビショップがウェルチ役、ジェイニー・ジャンヴィアがミス・ウェルチ役、ジーン・ステイプルトンがシスター役を演じた。
オリジナル・ウェスト・エンド・プロダクション

1957年3月28日、ロンドン・コロシアムでウェスト・エンド・プロダクションが開幕し、258回上演された[5]。オリンピック・スケーターのベリタがローラ役に配役されたが、フォッシーの振付がベリタのスタイルに合わず、途中でエリザベス・シールに交代した[6]。他にビル・カーがアップルゲイト役、アイヴァー・エマニュエルがジョー・ハーディ役に配役された。

1970年代中期、夏季公演においてヴィンセント・プライスがアップルゲイト役に配役された。1970年代後期および1980年代初頭、映画俳優のヴァン・ジョンソンは全米の夏季公演プロダクションでアップルゲイト役を演じた。1981年7月、ニューヨーク州ワントーにあるジョーンズ・ビーチ・マリン・シアターにて上演され、ニューヨーク・ジェッツの元クォーターバックジョー・ネイマスがジョー・ボイド役を演じたことで話題となった[7]


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