かがみの孤城
小説
著者辻村深月
出版社ポプラ社
掲載誌asta*
レーベルポプラ文庫(文庫版)
キミノベル(児童書版)
発売日ハードカバー版:2017年5月11日
文庫版:2021年3月5日
児童書版:2022年3月16日
連載期間2013年11月号 - 2014年10月号
巻数ハードカバー版:全1巻
文庫版:全2巻
児童書版:全2巻
漫画
原作・原案など辻村深月
作画武富智
出版社集英社
掲載誌ウルトラジャンプ
レーベルヤングジャンプコミックス・ウルトラ
発表号2019年7月号 - 2022年3月号
発表期間2019年6月19日[1] - 2022年2月19日[2]
巻数全5巻
話数全29話
映画
原作辻村深月
監督原恵一
脚本丸尾みほ
キャラクターデザイン佐々木啓悟
音楽富貴晴美
制作A-1 Pictures
配給松竹
封切日2022年12月23日
上映時間116分
テンプレート - ノート
プロジェクト漫画・アニメ
ポータル文学・漫画・アニメ
『かがみの孤城』(かがみのこじょう、英: THE SOLITARY CASTLE IN THE MIRROR[3][4][5][注 1])は、辻村深月による日本の小説[3]。『asta*』2013年11月号から2014年10月号にかけて連載され、大幅な加筆修正を施した上で[7]、2017年5月にポプラ社より刊行された[3][4][5]。2023年10月時点で累計発行部数は200万部を突破しており[8]、2018年には本屋大賞も受賞している[9]。
当初は「かがみの城」というタイトルにする予定だったものの、担当編集者が提案した「敵に囲まれて身動きが取れなくなっている城」を意味する「孤城」を名付けたという[10]。
作者の辻村深月は、本作が誰かの「城」のような居場所になればいいという思いを込めながら書いたと述べている[11]。また、自身にいじめや不登校の経験はないものの、学校に特段の楽しさを感じていたわけでもなく、そのことが学校を舞台にした小説を書く原動力になったと思う、とも述べている[12]。
本作のオーディオブックも出されている[13]ほか、『ウルトラジャンプ』(集英社)にて2019年7月号から2022年3月号までコミカライズ版が連載された[1][2]。作画担当は武富智[1]。
2020年、本作を原作とした舞台の公演が成井豊の脚本・演出で行われた[14]。
2022年2月には劇場アニメ化が発表され[15]、同年12月23日に公開された[16]。 2005年、中学1年生の女の子・安西こころは、同級生から受けたいじめが原因で不登校が続き、子供育成支援教室(フリースクール)にも通えずに家に引き籠もる生活を続けていた。5月のある日、自室の鏡が光り、吸い込まれたこころは、その向こうのオオカミさまという狼面をつけた謎の少女が仕切る絶海の孤城で、自分と似た問題を抱える中学生リオン、フウカ、スバル、マサムネ、ウレシノ、アキと出会う[10][17][18]。 子供たちを「赤ずきん」と呼ぶオオカミさまは、この孤城の中に隠された「願いの鍵」を見つけられた1人だけが願いの部屋へ入ることができ、どんな願いでも叶えられると説明する。ただし、孤城にはルールがあり、日本時間の午前9時から午後5時までは鏡を通って現実世界から来て良いが、午後5時以降に孤城に1人でも残っていると、その日に城内にいた者は連帯責任で狼に喰われる。そして、誰かが願いを叶え、この城から出た時点で全員の記憶が消えるという。鍵を探す以外には特に何も起こらない城内でこころは、いじめなどしないマイペースな中学生たちと穏やかな友人関係を築いていく。 ある時、アキがこころと同じ制服を着て城に来たことで、リオンを除く全員が同じ雪科第五中の生徒であることが判明する。リオンも同じ中学に通うはずだったが、母親に厄介払いとしてハワイにサッカー留学させられているのだ。マサムネは三学期の始業式に、リオン以外のみんなに1日だけでいいから学校で会いたいと申し出たが、当日学校に行くと誰とも会えず、お互いの在籍すら確認できなかった。マサムネは、自分たちがパラレルワールドの住人同士だから、現実の世界で会えないのだと推理するが、オオカミさまは違うと答える。 こころは仲違いしていたクラスメイトの東条萌と和解する。萌の家で童話『7匹の子山羊』という山羊が狼に襲われる絵本を見たこころは、鍵の在り処のヒントが「赤ずきん」ではなく「7人」という人数だと気づいた。だが同じ頃、家庭内の問題から精神的に帰宅できなくなったアキが、5時を過ぎても城に残っていたために、ルール違反で狼に喰われた。こころの部屋の鏡は砕け、同じ日に城にいたリオン、フウカ、ウレシノ、マサムネ、スバルも連帯責任で狼に喰われる。こころは鏡の割れ残りの部分をくぐって城ヘ向かう。『7匹の子山羊』の絵本では、6匹目までは狼に喰われる。7匹目の子山羊の隠れ場所が鍵の在り処だと突き止めたこころは、アキのルール違反を「なかったこと」にするよう願い、仲間たちを取り戻した。 願いが叶い、一同が現実世界に戻る支度をする間に、オオカミさまがリオンの死んだ姉・ミオだということが判明する。皆がフルネームを教え合い、鏡をくぐって帰る中、リオンはオオカミさまである懐かしい姉に感謝と別れの言葉を伝え、孤城で過ごした記憶を残して欲しいと頼む。オオカミさまは善処するといい、狼面を外し、リオンに微笑みかけると、リオンは鏡から元の世界へ戻った。 現実世界の7人はパラレルワールドの住人ではなく、実は生まれた年代が何年も隔たっていたのだった(詳細は後述)。先に生まれたアキは孤城の記憶を持っているようで、フリースクールのカウンセラーとなり、後に成長したこころたちに寄り添うことになる。 2006年、孤城の記憶はないが、新学年から学校へ通う決心をして登校したこころは、校門前で転校生である水守理音(リオン)に声をかけられ一緒に歩く。 声の項はオーディオブック版 / 劇場版を示し、ミオ、養護の先生、アキの義父、スバルの祖母、スバルの祖父、マサムネの母、マサムネの父、ウレシノの母、ピアノ教室の先生、喜多嶋の同僚、池田仲太は劇場版のみを示す。また、リオンの父と鮫島はオーディオブック版のみを示す。
あらすじ
登場人物
こころ / 安西 こころ(あんざい こころ)
声 - 花守ゆみり[13] / 當真あみ[16]本作の主人公。中学1年生。おとなしく内気な性格でこれといった取り柄がなく、自分に自信が持てないでいた。物語序盤はいじめに遭ったこともあり、物事をネガティブに考え、悩むことも多かったが、城のメンバーとの交流を経て徐々に変わっていく。